料金が上がる理由を知る
容量拠出金の仕組みを踏まえたうえで、このページでは法人の電気代への具体的な影響額を整理します。 契約区分別の年間コスト増、再エネ賦課金・燃料費調整額との比較、市場連動プランと固定プランでの出方の違いを確認できます。
容量拠出金のkWhあたり転嫁単価は、容量市場の約定価格と小売電気事業者の販売電力量をもとに算出されます。 2024年度は約0.5円/kWh程度でしたが、約定価格の上昇に伴い、2026年度には約1.1円/kWhに達する見込みです。
2024年度
約0.5円/kWh
2025年度
約0.8円/kWh
2026年度
約1.1円/kWh
※ 上記は容量市場の約定価格・販売電力量から概算した参考値です。実際の転嫁額は小売電気事業者の方針により異なります。
年間使用量によって影響額は大きく変わります。特別高圧の大口需要家は年間数百万円単位、高圧でも数十万円単位の影響が見込まれます。
契約区分別 容量拠出金の年間影響額(概算)
2024年度と2026年度の比較。使用量が大きい区分ほど影響額が拡大します。
| 契約区分 | 年間使用量(目安) | 2024年度 | 2026年度 | 増加額 |
|---|---|---|---|---|
| 特別高圧 | 800万 kWh | 約400万円 | 約880万円 | +480万円 |
| 高圧 | 60万 kWh | 約30万円 | 約66万円 | +36万円 |
| 低圧電力 | 6万 kWh | 約3万円 | 約6.6万円 | +3.6万円 |
| 低圧電灯 | 3万 kWh | 約1.5万円 | 約3.3万円 | +1.8万円 |
※ 年間影響額 = kWhあたり転嫁単価 × 年間使用量 で概算。実際の金額は契約内容により異なります。
容量拠出金は、再エネ賦課金(2025年度: 約3.5円/kWh)と比べると金額は小さいものの、燃料費調整額と同規模の影響に成長しつつあります。制度要因が複数重なることで、合計の負担増は無視できない水準です。
法人向け電気料金の構成要素(kWhあたり概算)
基本料金+電力量料金、燃調費、再エネ賦課金、容量拠出金の積み上げ推移。
再エネ賦課金
1.4円 → 3.5円(2023→2026)
容量拠出金
0円 → 1.1円(2023→2026)
制度負担 合計増
+3.2円/kWh
容量拠出金の転嫁方法は、契約タイプによって異なります。市場連動プランと固定プランのどちらを選んでいるかで、見積比較の際の注意点が変わります。
固定プランと市場連動プランでの容量拠出金の出方
固定プランは単価に内包、市場連動プランは別途請求されるケースが多い。
容量拠出金が増加している主な背景として、以下の要因が挙げられます。
当面は相当規模の拠出金が継続する見通しであり、法人の電気料金コストの構造的な上昇要因の一つとして認識する必要があります。
容量拠出金はプラン選択では回避できない制度負担ですが、以下の対応が有効です。
A.燃料費(LNG・石炭)の国際価格上昇、再エネ賦課金の増加、容量拠出金の新設、託送料金改定、カーボンプライシング導入が主な要因です。複数要因が同時に進行し、中長期的に上昇圧力が続きます。
A.LNG・石炭・原油の輸入価格変動を電気料金に反映する調整額です。kWhあたりで加減算され、原油価格が高騰すると料金全体が大きく上昇します。毎月更新され、請求書に別項目で記載されます。
A.2012年度の0.22円/kWhから2024年度は3.45円/kWh程度まで上昇。再エネ普及とともに今後も上昇傾向で、2030年度には4円/kWh超の可能性があります。年間使用量100万kWhなら賦課金だけで約345万円の負担です。
A.将来の供給力確保のため、小売電気事業者が負担する料金で、2024年度から本格稼働。需要家には小売料金を通じて転嫁されます。kWhあたり数十銭〜1円程度の上昇要因となります。
A.①プラン見直し(固定・市場連動・TOU)、②切替先との相見積もり、③デマンド削減による基本料金圧縮、④再エネPPA・自家発電の検討、⑤省エネ投資、の順で取り組むのが効果的です。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
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当法人は法人向け電気料金の高騰リスク分析・脱炭素対応支援を行う非営利法人です。本記事は公的データ(経済産業省・OCCTO・JEPX・環境省等)と実務知見を基に編集しています。
この記事の著者: 江田 健二(一般社団法人エネルギー情報センター 理事 / RAUL株式会社 代表取締役)— 電力・エネルギー業界20年以上、書籍20冊以上執筆、内閣府・中小企業庁・商工会議所登壇多数プロフィール →
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