料金が上がる理由を知る
容量拠出金とは、電力の安定供給を維持するための「容量市場」制度に基づき、小売電気事業者が支払う負担金のことです。本記事では法人の電気料金への影響を中心に、仕組み・負担額・請求書での確認方法まで整理します。
2024 年度から支払いが始まり、kWh あたり単価として電気料金に転嫁されるため、法人の電気代に影響する新たな制度要因となっています。
容量市場は、将来の電力供給力(発電所の維持・建設)を確保するために2020年に創設された市場です。 電力広域的運営推進機関(OCCTO)がオークションを実施し、発電事業者は4年後に必要な供給力を提供する対価として「容量確保契約金額」を受け取ります。
再生可能エネルギーの拡大に伴い、火力発電所の稼働率が低下し採算が悪化しています。 しかし、太陽光が発電できない夕方以降や、需給が逼迫する夏冬には火力が不可欠です。 容量市場は、こうした「必要だが採算が合いにくい」電源の維持費用を、電力利用者全体で負担する仕組みです。
容量市場の約定価格は年々上昇傾向にあります。2024年度(対象年度:2020年度オークション)は約3,495円/kWでしたが、 その後の供給力不足懸念や老朽火力の退出見通しを反映して、2026年度以降はさらに上昇する見通しです。
容量市場 約定価格の推移
発電事業者が受け取る対価(円/kW)。この金額が拠出金の原資となります。
※ 2027年度は市場動向をもとにした見通し値です。実際の約定価格はオークション結果により変動します。
容量拠出金は小売電気事業者に課されますが、最終的には電気料金を通じて需要家(法人・家庭)が負担します。 転嫁のされ方は契約タイプによって異なります。
契約単価にあらかじめ容量拠出金相当分が含まれているケースが多いです。 請求書上は「電力量料金」の中に埋もれるため、明示的には見えにくくなります。 ただし、契約更新時に単価が上がる形で反映されることがあります。
容量拠出金が独立した項目として請求されるケースがあります。 「容量拠出金」「容量市場費用」などの名称で、kWhあたりの単価として明記されることもあります。 見積比較の際にはこの項目の有無を必ず確認する必要があります。
法人の電気料金に上乗せされる制度要因には、再エネ賦課金、燃料費調整額(燃調費)、そして容量拠出金があります。 それぞれ性質が異なるため、混同しないことが重要です。
| 項目 | 目的 | 変動要因 | 請求書での見え方 |
|---|---|---|---|
| 再エネ賦課金 | 再エネ導入促進 | 年度ごと改定(全国一律) | 独立項目で明記 |
| 燃料費調整額 | 燃料価格変動の反映 | 毎月改定(燃料価格連動) | 独立項目で明記 |
| 容量拠出金 | 将来の発電所維持 | 年度ごと(オークション結果) | 契約により異なる(内包 or 別建て) |
再エネ賦課金と燃料費調整額は請求書に独立項目として現れますが、容量拠出金は契約タイプによって見え方が異なります。 固定プランでは単価に含まれて見えにくく、市場連動プランでは別建てで明記されるケースがあります。 詳しくは容量拠出金を踏まえて法人が確認したいことで整理しています。
容量拠出金の実際の支払いは2024年度から始まりました。初年度はkWhあたり約0.5円程度の影響でしたが、 約定価格の上昇に伴い、年度を追うごとに負担額は増加する見通しです。
容量拠出金のkWhあたり転嫁単価(推計)
小売電気事業者から需要家に転嫁される1kWhあたりの概算単価。
2026年度には1円/kWhを超える水準に達する見込みです。使用量の多い法人ほど影響額が大きくなるため、 予算策定や契約更新のタイミングで織り込む必要があります。 具体的な影響額は容量拠出金で電気代はどのくらい上がるのかで詳しく試算しています。
A.固定プランでは電力量料金(kWh 単価)に含まれて見えにくい形で、市場連動プランでは「容量拠出金」「容量市場費用」等の独立項目として請求書に明記されるケースがあります。契約タイプによって見え方が異なるため、契約書・請求書・見積書のいずれかでの確認が必要です。
A.2024 年度は kWh あたり約 0.5 円、2025 年度は約 0.8 円、2026 年度は約 1.1 円を超える水準と試算されています。年間使用量 10 万 kWh の法人で 2026 年度は概算 11 万円前後の負担増となり、使用量が大きいほど影響額も比例して大きくなります。
A.容量市場の約定価格は、老朽火力の退出や供給力不足懸念を背景に上昇傾向にあります。2024〜2026 年度までは段階的な上昇が見込まれ、2027 年度以降も現時点では下降要因が乏しいため、予算策定では横ばい〜上昇を前提に織り込むのが安全です。
A.市場連動プランでは独立項目として記載されることが多く、固定プランでは単価に内包され明示されにくい傾向があります。見積書の段階で「容量拠出金(または容量市場費用)が含まれているか / 別建てか」を小売電気事業者に確認し、契約更新時の単価差の説明根拠として使うのが実務的です。
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この記事の著者: 江田 健二(一般社団法人エネルギー情報センター 理事 / RAUL株式会社 代表取締役)— 電力・エネルギー業界20年以上、書籍20冊以上執筆、内閣府・中小企業庁・商工会議所登壇多数プロフィール →
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