補助政策と当社団が運営している「新電力ネット」のデータから読む年明けの変化
2026年1月使用分の法人向け電気料金は、2025年秋から続いていた上昇基調に、ひとまずブレーキがかかった月として見ることができます。 当社団が運営している「新電力ネット」の推移データを見ると、2025年9月に少し値上がりし、10月にも上昇したあと、 2026年1月使用分で大きく値下がりしています。
ただし、この値下がりは、電力市場そのものが急に安定したというより、政府補助の再拡大・強化が料金に強く反映された結果と見たほうが実態に近いです。 資源エネルギー庁によると、2026年1月・2月使用分では、電気料金支援として低圧4.5円/kWh、高圧2.3円/kWhの補助が実施されています。
法人にとって重要なのは、1月使用分でなぜ料金が下がって見えたのか、低圧・高圧・特別高圧で意味合いがどう違うのか、 その改善をどこまで安心材料と見てよいのかを切り分けて考えることです。
2026年3月末時点では、3月使用分で補助縮小が始まっており、4月使用分からは補助終了の予定です。 そのため、2026年1月使用分の値下がりを振り返ることは、単なる過去の確認ではなく、 「補助が厚かった局面はどこまでだったのか」を確認する作業でもあります。
この記事では、当社団が運営している「新電力ネット」のデータと政府の公表情報をもとに、 2026年1月使用分の電気料金動向を、低圧・高圧・特別高圧ごとに法人向けに整理します。
当社団が運営している「新電力ネット」のデータをもとに、契約区分ごとのkWhあたり単価を整理しました。
特別高圧
16.5円/kWh
高圧
20.5円/kWh
低圧電灯
25.5円/kWh
低圧電力
27.0円/kWh
※消費税および再生可能エネルギー発電促進賦課金を含まない参考値です。
当月を含む直近6ヶ月のkWh単価推移を、契約区分別に表示しています。
※縦軸は表示期間内の最小値〜最大値を基準に自動調整しています。
補助がなかった場合の実力値(薄色部分)と、補助適用後の単価を並べて表示しています。 特別高圧は補助対象外のため含まれていません。
※実力値は補助単価を加算した概算値です。実際の請求額は電力会社・契約条件により異なります。
同じ1月で過去の水準と比較すると、現在の料金がどのあたりに位置しているかを把握しやすくなります。
| 契約区分 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | 2026年 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 特別高圧 | 23.9円 | 18.5円 | 18.3円 | 16.5円 | ▼1.8円 |
| 高圧 | 27.5円 | 21.0円 | 22.2円 | 20.5円 | ▼1.7円 |
| 低圧電灯 | 31.3円 | 24.7円 | 27.3円 | 25.5円 | ▼1.8円 |
| 低圧電力 | 31.5円 | 26.4円 | 28.6円 | 27.0円 | ▼1.6円 |
※単位は円/kWh。消費税および再生可能エネルギー発電促進賦課金を含まない参考値です。
2026年1月使用分を理解するうえで最初に押さえたいのは、近年の電気料金が燃料価格だけでなく、政府補助の有無にも大きく左右されるという点です。 ここ数年は、燃料価格高騰への対応策として行われた補助政策の開始や終了によって、月ごとの料金の見え方が変わりやすい状況が続いています。
その中で2026年1月使用分は、補助の効果が非常に分かりやすく表れた月でした。当社団が運営している「新電力ネット」のデータでは、 2025年9月に少し値上がりし、その後10月も値上がりし、さらに2026年1月使用分で大きく値下がりしています。 この変化の大きな背景にあるのが、政府補助です。
資源エネルギー庁の案内でも、2026年1月・2月使用分の支援額は低圧4.5円/kWh、高圧2.3円/kWhとされています。 2025年夏の支援と比べても、冬の支援は単価が高めで、年明けの料金を押し下げる効果が大きかったことが読み取れます。
つまり、2026年1月使用分の値下がりは、電力小売各社の料金戦略だけでなく、政策的な下支えが前面に出た結果として理解するのが自然です。 企業としては、ここを「市場が完全に落ち着いた」と受け取るのではなく、補助が厚く入っていた局面の変化として見る必要があります。
低圧は、一般的に小規模事業所や店舗などで使われる契約区分です。法人でも、照明、空調、厨房機器、業務機器などの用途に応じて利用されています。
2026年1月使用分の低圧では、1kWhあたり4.5円の補助が入るため、料金の見え方がかなり改善しやすい状況でした。実務上は、1月使用分の補助効果が 請求書には2月請求分として表れやすいため、経理や総務の担当者はその点も意識して見たほうが分かりやすいです。
こうした企業では、1拠点あたりの電力使用量は高圧ほど大きくなくても、補助単価が大きいため、1月使用分(2月請求分)で 「かなり楽になった」と感じやすい月だったと考えられます。
ただし、その改善は補助によるものです。現在はすでに3月使用分で補助縮小が始まっており、4月使用分からは終了予定のため、 1月使用分の請求水準をそのまま今後の基準にするのは避けたいところです。
高圧は、工場、病院、学校、商業施設、物流施設、オフィスビルなどで広く使われる契約区分です。2026年1月使用分の高圧では、 1kWhあたり2.3円の補助が入っており、低圧より補助単価は小さいものの、使用量が大きい施設では総額への影響はかなり大きくなります。
実務上は、こちらも1月使用分の改善が2月請求分に出やすいため、月次管理では「使用月」と「請求月」を分けて見ることが大切です。
これらの企業では、1月使用分の補助によって請求額が下がりやすく、月次予算の面では一定の安心感が出やすいです。一方で、高圧は低圧よりも 契約条件の差、燃料費調整の影響、使用時間帯の違いなどが結果に表れやすく、単純に「みんな同じだけ楽になる」とは言い切れません。
そのため高圧の企業では、2026年1月使用分を「下がった月」として受け止めるだけでなく、秋からの上昇局面がどこでいったん和らいだかを確認する月、 そして契約条件や見積条件を見直す入り口の月として捉えるほうが実務的です。
特別高圧は、大規模工場、データセンター、大型商業施設、自治体の基幹施設、大規模病院など、非常に大きな電力需要を持つ事業者が中心です。 特別高圧は低圧・高圧と異なり、政府補助の対象外であり、主に天然ガスや石炭の価格変動の影響を受けます。
このため、2026年1月使用分についても、特別高圧では低圧・高圧のような「補助による分かりやすい下押し」は前面に出ません。
こうした需要家では、1月使用分単月の請求額よりも、燃料価格が今後どう動くか、需給が厳しくなる季節にどう備えるか、 調達先や契約条件をどう組むかのほうが重要です。
特別高圧では、2026年1月使用分の変化を「補助で下がった月」として見るよりも、低圧・高圧とは違って構造要因が中心であることを 再確認する月と捉えたほうが実態に近いでしょう。
2026年1月使用分は、すべての法人に同じように効いたわけではありません。影響は契約区分と使用量構成によって差が出るため、 自社の契約ポートフォリオに引きつけて確認する必要があります。
2026年1月使用分は、低圧・高圧で大きく下がって見えやすい月でしたが、背景は補助です。現在は3月使用分で補助縮小が始まり、 4月使用分から終了予定であるため、「このまま安定する」と判断するのは早計です。
2026年1月使用分を見て「ようやく落ち着いた」「このまま安定していきそうだ」と判断するのは少し早いかもしれません。 企業としては、1月使用分の結果だけを見るのではなく、補助縮小後の変化を先読みしておく必要があります。
2026年1月使用分の下押し要因として補助は非常に大きいですが、それだけで全体像を説明することはできません。 電気料金が上下する主な要因としては、LNGと石炭の価格変動、国内の電力供給力不足、再エネ賦課金の価格変動が挙げられます。
とくに日本の電力は火力発電への依存が大きく、燃料価格の上昇は電気料金に反映されやすい構造です。つまり、2026年1月使用分は 請求額が下がって見えていても、その背後にある構造リスクが消えたわけではありません。法人としては、目先の請求額の改善と 中期的なコストリスクを分けて考える必要があります。
2026年1月使用分の主要指標をまとめました。
| 契約区分 | 補助単価(1月・2月) | 前月(12月)比変化 | 主な変動要因 |
|---|---|---|---|
| 低圧(電灯・電力) | 4.5円/kWhの補助が適用 | 大幅低下(補助拡大による) | 政府補助の再拡大・強化(激変緩和再設定) |
| 高圧 | 2.3円/kWhの補助が適用 | 低下(補助効果が総額に大きく影響) | 補助単価は低圧より小さいが使用量が大きく総額は改善 |
| 特別高圧 | 補助対象外 | 構造要因による変動 | 燃料費調整・需給の推移が主要因 |
| 今後の見通し | 3月から補助縮小、4月から終了予定 | − | 1月水準をベースに計画を組まないことが重要 |
※補助単価は資源エネルギー庁の公表情報をもとにした参考値です。実際の請求額は電力会社・契約条件により異なります。
2026年1月使用分は、政府補助によって低圧・高圧の料金が大きく押し下げられた月でした。一方で、特別高圧は補助対象外であり、 同じ「1月の値下がり」でも意味合いは契約区分で異なります。
現在はすでに3月使用分で補助縮小が始まり、4月使用分からは終了予定です。1月使用分は安心し切るための月ではなく、補助が厚かった 局面の水準を確認し、反動局面に備えるための基準点として活用することが重要です。
振り返りデータを踏まえて、自社の契約条件やリスクを専門家と一緒に確認しませんか。