EMERGENCY / 緊急対応・トラブル解決
停電は予告なく発生し、サーバーダウン・生産停止・食品廃棄など大きな損失につながります。このページでは停電発生直後の5ステップ初動フローから、計画停電の事前準備チェックリスト、設備別の保護・復旧手順、保険対応、BCPとの連携まで体系的に解説します。印刷して施設管理部門に配備することを推奨します。
停電発生直後は混乱しがちです。このフローを順番に進めることで、重大な見落としを防ぎます。
安全確認・人員確認(発生直後)
まず従業員・来訪者の安全を確認する。エレベーター閉じ込め・暗所での転倒・医療機器への影響を最優先でチェックする。非常照明の作動状態を確認し、要支援者がいれば速やかに誘導する。
停電範囲・原因の初期確認(5分以内)
自拠点のみか、周辺エリア全体か、電力会社の計画停電かを確認する。電力会社の停電情報サービス・公式Webサイト・スマートフォンアプリで最新情報を取得する。
重要設備の緊急停止・保護措置(10分以内)
サーバー・生産ライン・冷蔵・冷凍設備を優先順位に従って保護処置する。UPS稼働中はシステムの正常シャットダウンを実施。非常用発電機が起動している場合は優先負荷を確認する。
関係者への連絡・情報共有(15分以内)
社内責任者・上司・施設管理部門へ状況報告する。顧客・取引先への影響が想定される場合は速やかに連絡する。電力会社への問い合わせ窓口に復旧見込み時刻を確認する。
復電後の設備再起動・被害確認(復電直後)
復電後は一斉起動を避け、優先度の高い設備から順次再起動する。停電中の設備ダメージ・データ損失・食品廃棄等の被害を記録し、保険申請に備える。
「停電発生から何分以内に何をすべきか」を一覧で確認してください。
| タイミング | やること | 優先度 |
|---|---|---|
| 発生直後 | 人員安全確認・エレベーター確認・非常照明確認 | ★★★ |
| 5分以内 | 停電範囲・原因・復旧見込みの確認 | ★★★ |
| 10分以内 | 重要設備の停止保護・UPS状態確認 | ★★★ |
| 15分以内 | 社内連絡・顧客・取引先への速報 | ★★ |
| 1時間以内 | 食品・医薬品等の温度管理設備の状態記録 | ★★ |
| 復電直後 | 段階的設備再起動・被害記録開始 | ★★★ |
| 復電翌日以内 | 被害集計・保険会社への連絡・報告書作成 | ★★ |
計画停電は事前通知があります。通知を受けたら以下を停電前日までに完了させてください。
設備種別ごとに、停電時の停止操作・保護処置・復電後の再起動手順が異なります。
| 設備 | 停電時の操作 | 停電中の保護 | 復電後の対応 |
|---|---|---|---|
| サーバー・IT機器 | UPSのバッテリー時間内に正常シャットダウンを実施 | データバックアップ状態の確認・UPS稼働ログの保存 | 電圧安定確認後に順次起動・ログ確認 |
| 生産ライン・工作機械 | 非常停止ボタンで安全停止・加工中ワークを固定 | 制御盤ブレーカーをOFFにして過電流保護 | 安全確認後に制御盤から順番に起動 |
| 冷蔵・冷凍設備 | 扉を開けず密閉状態を維持(2〜4時間は温度維持) | 温度計・記録計で温度推移を記録・写真撮影 | 復電後すぐに起動・温度回復ログを保存 |
| 空調・換気設備 | 特別な停止操作は不要(停電で自動停止) | 密閉空間の換気状態に注意(CO₂蓄積リスク) | 段階的に起動(電力突入電流集中を防止) |
| 医療・介護機器 | バッテリー内蔵機器の残量確認・外部電源への切替 | 使用者の安全を最優先・担当者に即報告 | 機器メーカーの手順に従い再起動 |
復電直後に一斉起動すると突入電流が集中し、ブレーカートリップや設備損傷のリスクがあります。以下の順序で段階的に再起動してください。
Phase 1: 電源・通信インフラの復旧(復電後 5分以内)
受電設備・分電盤の状態確認 → 通信機器(ルーター・交換機)の起動 → サーバーの順次起動(基幹系から優先)
Phase 2: 生産・業務設備の再起動(復電後 15分以内)
制御盤の電源投入 → 各設備の安全確認(センサー・リミットスイッチ) → 試運転→本稼働。生産ラインは設備保全担当者が立ち会いのうえ再起動すること。
Phase 3: 空調・照明・その他の復旧(復電後 30分以内)
空調は段階的に起動(全台一斉起動は避ける)。照明・その他設備は問題がなければ通常通り起動。設備ダメージがあれば即報告・修理手配。
保険請求・損害賠償請求には証拠記録が不可欠です。復電後48時間以内に以下を実施してください。
保険会社への連絡タイミング
企業向け火災保険・機械保険・企業総合保険に停電被害が補償対象として含まれている場合があります。被害確認後、できるだけ早く(48時間以内が目安)保険会社または代理店に連絡し、立会い調査の日程を設定してください。被害物を勝手に廃棄・修理すると補償対象外となる場合があります。
停電シナリオをBCPに組み込んでいない場合、今回の停電を機に整備することを強く推奨します。
最低限BCPに記載すること
停電訓練の実施ポイント
Q. UPSのバッテリー時間はどの程度あれば十分ですか?
A. サーバーの正常シャットダウンには一般的に5〜15分の時間が必要です。サーバー台数や処理負荷によって異なるため、実際の所要時間を事前に計測したうえでUPS容量を選定することが重要です。重要データを扱うシステムは最低でも30分以上の稼働時間を確保することを推奨します。
Q. 計画停電の通知はどこで確認できますか?
A. 各電力会社の公式Webサイト、停電情報アプリ、および緊急速報メール(一部エリア)で確認できます。大口需要家(高圧・特別高圧)の場合、電力会社の営業担当者から直接連絡が来ることが多いです。スマートメーター設置済みの場合は遠隔確認も可能です。
Q. 停電で設備が壊れた場合、電力会社に損害賠償を請求できますか?
A. 電力会社の過失(設備故障・工事ミスなど)による停電の場合は損害賠償請求が可能なケースがあります。ただし、自然災害・第三者の過失・計画停電など、電力会社に帰責がない場合は請求困難です。損害の記録を保存したうえで弁護士や保険会社に相談することを推奨します。
Q. 非常用発電機の定期点検はどのくらいの頻度で行うべきですか?
A. 消防法上、特定防火対象物に設置された非常用発電機は年1回以上の負荷試験が義務付けられています。それ以外の施設でも、月1回の無負荷試運転と年1回の負荷試験を実施することが推奨されます。バッテリー・冷却水・燃料残量の定期点検も忘れないようにしましょう。
Q. 停電時に冷凍食品を廃棄しなければならない基準は何ですか?
A. 食品衛生法上の明確な「廃棄義務時間」は定められていませんが、冷凍食品の安全基準として「-15℃以下を維持」が必要です。停電中に冷凍庫の温度が一定以上上昇した場合、食品事業者は自社の衛生管理基準に基づき判断する必要があります。温度記録を保存しておくことが重要です。
Q. BCPに停電シナリオを組み込む際の最低限のポイントは何ですか?
A. ①停電時の指揮命令系統と連絡先リスト、②重要システムのバックアップ電源稼働時間、③代替手段(紙運用・別拠点への移行)、④顧客・取引先への対応基準、⑤復旧優先順位の明確化——の5点が最低限必要です。年1回以上の訓練で手順の実効性を確認することを推奨します。
電力会社の過失(設備故障・工事ミスなど)による停電の場合は損害賠償請求が可能なケースがあります。ただし、自然災害・第三者の過失・計画停電など、電力会社に帰責がない場合は請求困難です。損害の記録を保存したうえで弁護士や保険会社に相談することを推奨します。
消防法上、特定防火対象物に設置された非常用発電機は年1回以上の負荷試験が義務付けられています。それ以外の施設でも、月1回の無負荷試運転と年1回の負荷試験を実施することが推奨されます。
停電時の指揮命令系統と連絡先リスト、重要システムのバックアップ電源稼働時間、代替手段(紙運用・別拠点への移行)、顧客・取引先への対応基準、復旧優先順位の明確化の5点が最低限必要です。年1回以上の訓練で手順の実効性を確認することを推奨します。
著者: 江田健二(一般社団法人エネルギー情報センター 代表理事)
公開日: 2026-04-12
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
自社の電力コストリスクをシミュレーターで把握し、停電対策・BCP整備について専門家に相談しましょう。
記事を読んで気になった点があれば、エネルギー情報センターにお気軽にご相談ください。法人・自治体の電力契約に精通したスタッフが、中立的な立場で判断材料を整理します。初回相談は無料です。
中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。