法人向けの電気料金では、契約電力とデマンドという2つの概念が請求書・見積書に登場します。どちらも使用量とは異なる数値であり、基本料金の大きさや見積比較の前提条件に直結します。
このページでは、契約電力とデマンドそれぞれの意味、両者の関係、そして請求確認・コスト管理での実務的な活用法を、全国需要データを交えて整理します。
契約電力は、電力契約の前提条件を表す重要な数値です。実際に使った電力量そのものではなく、基本料金や契約条件を読む起点になります。
そのため、請求書や見積書では使用量とは別に確認し、契約前提としての整合性を見ていく必要があります。使用量が少ない月でも、基本料金は契約条件の影響を受けるため、「あまり使っていないのに高い」と感じる場合は、契約電力と基本料金の関係確認が必要です。
基本料金の構造については 基本料金とはで詳しく確認できます。
※ 本記事は中立的な情報整理を目的としており、特定の電力会社・契約形態を推奨するものではありません。
デマンドは、短い時間に電力使用がどれだけ集中したかを見る考え方です。高圧・特別高圧では、30分単位のピーク値が契約電力の理解に関係しやすく、基本料金の見方にも影響します。
月間使用量が同じでも、使い方の時間配分が違えばピークの出方は変わります。デマンドは「使用量は同じなのに請求感が違う」理由を説明する入口になります。
たとえば、A社が朝9時に空調・照明・設備を一斉稼働し、B社が設備の立ち上げ時間を分散して稼働したとします。月間使用量が近くても、短時間のピークはA社の方が出やすく、契約電力や基本料金の見え方に差が出ることがあります。
デマンド値の読み方と基準については デマンド値の見方ガイドもあわせて確認できます。
※ 本記事は中立的な情報整理を目的としており、特定の電力会社・契約形態を推奨するものではありません。
| 項目 | 契約電力 | デマンド | 使用量 |
|---|---|---|---|
| 意味 | 契約条件の前提になる数値 | 短時間の使用集中の大きさ(30分ピーク) | 実際に使った月間電力量 |
| 主に関係するもの | 基本料金・契約条件 | 契約電力・基本料金の理解 | 電力量料金 |
| 実務で見る場面 | 見積比較・契約更新・見直し | ピーク負荷・固定費の確認 | 月次請求確認・使用実績把握 |
使用量が少ない月でも、基本料金は契約条件の影響を受けます。契約電力が大きいほど、使わない月の固定費にも影響しやすい点を見落とさないことが重要です。法人向け電気料金の内訳で料金全体の構造を確認できます。
契約電力が異なる前提で算出された見積同士は単純比較できません。単価が安く見える見積を受け取っても、契約電力の前提が現在契約より大きければ固定費が増える可能性があります。 必ず同じ契約電力・同じ使用条件で比較しているかを確認します。電気料金見積書の見方も参考になります。
空調設備の更新、生産ラインの増設、稼働時間帯の変更、拠点統廃合などがあると、過去の契約条件が現在の実態に合わなくなることがあります。 使用量やピークの出方が変わった時は見直しトリガーです。
※ 本記事は中立的な情報整理を目的としており、特定の電力会社・契約形態を推奨するものではありません。
請求額の増加要因を自社側で整理したい場合は 電気料金が高い会社の特徴もあわせて確認すると、見直しの優先順位を決めやすくなります。
※ 本記事は中立的な情報整理を目的としており、特定の電力会社・契約形態を推奨するものではありません。
全国の実測データ(OCCTO公表データ集計)をもとに、電力需要がどのような時間帯パターンを持つかを確認します。需要のピーク構造を知ることが、契約電力の最適化につながります。
11時台(111,061MW)と18時台(111,247MW)にダブルピークが発生しています。この二山構造が契約電力の決定に影響します。
実際の全国電力需要データ(OCCTO公表データ集計)から、デマンドが高くなりやすい月・日を確認します。季節的なパターンを把握することが、デマンド管理のタイミングを決める上で重要です。
1〜2月(11.2万MW)が年間最大、5月(8.5万MW)が最小。冬の暖房需要が大きく、夏の冷房需要も7〜8月に顕著に現れます。
| 順位 | 日付 | 曜日 | ピーク需要(MW) |
|---|---|---|---|
| 1 | 2020-08-20 | 木 | 164,910 |
| 2 | 2022-08-02 | 火 | 164,890 |
| 3 | 2020-08-21 | 金 | 164,720 |
| 4 | 2019-08-02 | 金 | 163,540 |
| 5 | 2018-08-03 | 金 | 163,390 |
| 6 | 2021-08-05 | 木 | 163,260 |
| 7 | 2018-07-23 | 月 | 163,030 |
| 8 | 2022-08-03 | 水 | 162,900 |
| 9 | 2018-08-02 | 木 | 162,860 |
| 10 | 2022-08-01 | 月 | 162,590 |
Top10は全て7〜8月の平日。最大は2020年8月20日の164,910MW。猛暑×平日がデマンドのワーストケースであり、夏季の平日を重点的に管理することが最も効果的です。
| 区分 | 平均需要(MW) |
|---|---|
| 平日 | 103,243 |
| 休日 | 90,939 |
| 差分 | +12,304 MW(+11.9%) |
平日は休日より+12,304MW(+11.9%)高いため、平日の需要パターンがデマンド値(ひいては契約電力)を決定します。休日に需要が下がっても、平日ピークが契約電力に反映される点に注意が必要です。
※ 本記事は中立的な情報整理を目的としており、特定の電力会社・契約形態を推奨するものではありません。
負荷率とは「平均需要 ÷ 最大需要」の比率です。低下するほどピークが尖鋭化しており、契約電力の最適化が重要になります。
| 年度 | 東京エリア負荷率 |
|---|---|
| FY2016 | 61% |
| FY2017 | 61% |
| FY2018 | 58% |
| FY2019 | 58% |
| FY2020 | 57% |
| FY2021 | 57% |
| FY2022 | 54% |
| FY2023 | 58% |
東京エリアの負荷率はFY2016の61%→FY2022の54%に低下。ピークが尖鋭化しており、契約電力の最適化がますます重要になっています。
契約電力とデマンドの意味合いは契約区分によって見え方が異なります。請求書・見積書では以下の順番で確認します。
請求書の読み方は 電気料金の請求書で確認したいポイントで、見積書の比較ポイントは 法人向け電気料金見積書の見方で確認できます。
高圧・特別高圧の請求構造については 高圧電力の料金の見方および 特別高圧電力の料金の見方もあわせて確認すると実務で使いやすくなります。
デマンド管理とは、短時間のピーク集中を抑制することで、契約電力の最適化を図る取り組みです。特に夏季・冬季の平日に有効です。
電力量料金の仕組みについては 電力量料金とはで確認できます。料金全体が上昇する背景については 電気料金が高い会社の特徴も参考になります。
※ 本記事は中立的な情報整理を目的としており、特定の電力会社・契約形態を推奨するものではありません。
契約電力は電力会社との契約上の最大電力(kW)で、基本料金の算定基準になります。デマンドは実際に計測された30分間の平均最大電力です。デマンドが契約電力を超えると翌年度の契約電力が引き上げられ基本料金が上がります。
はい。デマンド値(最大需要電力)が下がれば契約電力を引き下げられ、基本料金の削減につながります。ピーク時間帯の消費を抑えるデマンド管理が有効です。
契約電力の変更は、申請から実際の変更まで1〜3か月程度かかるケースが多く、電力会社によって手続き方法や時期が異なります。更新タイミングや現行契約の条件を事前に確認することが重要です。
著者: 江田健二(一般社団法人エネルギー情報センター 代表理事)
公開日: 2025-08-01
契約電力(kW)と力率を入力すると、月額・年額の基本料金を試算します。力率割引・割増の効果も反映します。
85%基準、±1%で±0.85%変動
調整後単価
1,570円/kW
力率割引/割増 8.50%
月額基本料金
785,070円
年額基本料金
9,420,840円
※ 単価は2026年時点の概算(税込)。実際の単価は電力会社・契約条件で変動します。詳細は契約書・請求書をご確認ください。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
契約電力・デマンドの理解を、請求確認・見積比較・コスト管理の実務に接続するための導線です。
法人向け電気料金の内訳とは
料金全体の構造を俯瞰して確認できます。
電気料金の請求書で確認したいポイント
請求書で見る順番と確認項目を整理できます。
法人向け電気料金見積書の見方
見積比較で契約条件をどう確認するかが分かります。
高圧電力の料金の見方
契約電力が請求構造にどう影響するかを確認できます。
特別高圧電力の料金の見方
より大口契約での影響の見方を整理できます。
基本料金とは
基本料金の計算前提と削減の考え方を確認できます。
デマンド値の見方ガイド
デマンド値の読み方と基準を実務目線で整理できます。
電力量料金とは
電力量料金の仕組みと変動要因を確認できます。
基礎から知るカテゴリ一覧
法人電気料金の基礎知識をカテゴリ別でまとめて確認できます。
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市場連動プランと固定プランの違い
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当法人は法人向け電気料金の高騰リスク分析・脱炭素対応支援を行う非営利法人です。本記事は公的データ(経済産業省・OCCTO・JEPX・環境省等)と実務知見を基に編集しています。
この記事の著者: 江田 健二(一般社団法人エネルギー情報センター 理事 / RAUL株式会社 代表取締役)— 電力・エネルギー業界20年以上、書籍20冊以上執筆、内閣府・中小企業庁・商工会議所登壇多数プロフィール →
契約電力とデマンドの関係を整理したら、現行契約と候補条件を同一前提で比較して見直し余地を確認できます。
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中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。