固定プランは、契約期間中の電力量料金単価を読みやすく抑えた設計の電力契約です。市場価格の短期変動に左右されにくく、 法人の予算管理・稟議対応のしやすさを重視する場面で選ばれます。ただし「固定」とされるのは電力量料金部分が中心で、燃料費調整額・再エネ賦課金・容量拠出金は別建てで変動するケースがほとんどです。本ページでは料金構成・メリット・デメリット・ 月額シミュレーション・注意点を整理します。
固定プランは、契約期間中の電力量料金単価が大きく変わりにくい設計のため、月次・四半期・年度単位での予算管理を行いやすい点が特徴です。 担当者にとっては、契約期間中の見積もり精度を高めやすく、稟議資料の作成でも説明軸を揃えやすくなります。
一方で、固定プランだからといって請求額がまったく変わらないわけではありません。 電力量料金以外の費目(燃調費・再エネ賦課金・容量拠出金)は変動するため、 これらを含めた総額ベースで管理する視点が必要です。詳しくは固定プランでも燃調費は変わるのかをあわせて確認してください。
法人向け固定プランの請求は、複数の費目で構成されています。「固定」の対象範囲を費目ごとに把握することが、 実際の予算管理精度を高める第一歩です。
| 費目 | 固定プランでの扱い | 変動するか | 確認ポイント |
|---|---|---|---|
| 基本料金 | 契約電力(kW)に単価を乗じた固定費 | 原則固定 | 契約kWの設定が実態と合っているか確認 |
| 電力量料金 | 使用量(kWh)に対して契約単価を乗じた従量費 | 原則固定(契約期間中) | 季節・時間帯別単価の有無を確認 |
| 燃料費調整額(燃調費) | 固定プランでも別建てで加算されるケースが多い | 変動あり | 燃調費込みか込みでないかを契約書で確認 |
| 再生可能エネルギー賦課金 | 国が定める単価を使用量に乗じて加算 | 毎年度改定あり | 2026年度単価: 3.49円/kWh |
| 容量拠出金 | 容量市場落札量に応じて電力会社が転嫁 | 変動あり | 2024年度以降は明細への反映が拡大中 |
※ 各費目の実際の適用条件は電力会社・契約プランによって異なります。契約書・料金明細で個別に確認してください。
固定プランは安定性に優れる一方、自社の事業状況や市況によっては不利になる局面もあります。 以下の比較表で観点ごとに整理してください。
| 観点 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 予算管理 | 年度予算・月次予実の精度を上げやすい | 実使用量が想定より増えると予算超過になりやすい |
| 価格変動リスク | 市場高騰局面で請求額の上振れを抑えられる | 市場下落局面では相対的に割高になる可能性がある |
| 社内説明 | 単価の根拠が明確で稟議・説明資料を作りやすい | 相場変動を理由にした値下げ交渉が難しい |
| 契約条件 | 契約期間中は突然の単価改定リスクが低い | 中途解約や途中変更に違約金が発生するケースがある |
| 調整費の扱い | 電力量料金部分は読みやすく管理しやすい | 燃調費・再エネ賦課金・容量拠出金は別途変動する |
固定プランと市場連動プランのどちらが自社に合うかは、事業環境・使用量規模・予算管理方針によって異なります。市場連動プランと固定プランの違いで詳細な比較を確認してください。
高圧契約・月間使用量50,000kWh(500kW契約)の法人を想定した月額試算です。 「固定」の電力量料金以外に、燃調費・再エネ賦課金・容量拠出金が別途加算されることを確認してください。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
| 費目 | 単価 | 数量 | 月額(税抜) |
|---|---|---|---|
| 基本料金 | 1,800円/kW | 500kW | 900,000円 |
| 電力量料金 | 16.00円/kWh | 50,000kWh | 800,000円 |
| 燃料費調整額 | 2.50円/kWh | 50,000kWh | 125,000円 |
| 再生可能エネルギー賦課金 | 3.49円/kWh | 50,000kWh | 174,500円 |
| 容量拠出金(概算) | 0.50円/kWh | 50,000kWh | 25,000円 |
| 合計(月額概算) | 約2,024,500円 | ||
※ 単価は2026年4月時点の想定値です。実際の請求額は契約内容・電力会社・適用単価によって異なります。 燃調費・容量拠出金は変動費のため、時期によって合計額は増減します。
自社の契約条件で詳細な試算を行いたい場合は、料金メニュー比較診断をご利用ください。
固定プランへの切り替えや更新時には、以下の5点を契約書・料金明細で事前に確認してください。
燃調費・賦課金が「別建て」かどうかを確認する
「固定プラン」と案内されていても、燃料費調整額や再エネ賦課金が別途加算される契約が大半です。明細の費目を必ず確認し、固定なのは電力量料金部分のみかどうかを把握してください。
契約期間と中途解約の条件を確認する
固定プランは1〜3年の契約期間を設定しているケースが多く、期間途中での解約には違約金が発生する場合があります。事業計画や拠点変更の予定を踏まえて期間を選定してください。
自動更新・更新時の単価改定を確認する
契約満了後に自動更新される条件を見落とすと、更新後の単価が変わっていても気づかないケースがあります。更新通知の時期と更新後の単価条件を事前に確認してください。
容量拠出金の転嫁状況を確認する
2024年度以降、容量市場の拠出金が電気料金明細に反映される事例が増えています。固定プランでも容量拠出金が別建てで加算されているかどうかを明細と契約書で確認してください。
市場連動プランとの単価差を比較検討する
固定プランは安定性に優れる一方、市場が落ち着いている局面では市場連動プランの方が安くなることがあります。現在の電力市況と自社の使用量規模を踏まえ、定期的に比較検討することが重要です。
契約の更新・解約条件の詳細については、電力契約の解約・更新条件も参照してください。
自社が固定プランに向いているかどうかの判断基準については、固定プランに向いている法人の特徴で詳しく解説しています。
固定プランは契約単価が固定されますが、燃料費調整額(燃調費)や再エネ賦課金は固定プランでも変動します。そのため請求額が毎月同じになるわけではありません。単価の安定性と請求額の安定性は別物と理解することが重要です。
どちらが安いかは市場動向によって異なります。市場価格が高い局面では固定が有利になりやすく、市場価格が低い局面では市場連動が有利になりやすいです。単純な比較より、自社のリスク許容度と予算管理の観点から選択することが重要です。
年間予算を固定的に管理したい法人、電気代の変動が損益に大きく影響する業種(飲食・小売など)、電力コストを担当するリソースが限られている法人が向いています。予算管理の安定性を優先する場合に適しています。
著者: 江田健二(一般社団法人エネルギー情報センター 代表理事)
公開日: 2025-08-20
固定プランを深く理解するために、市場連動プランとの比較・燃調費の扱い・向いている法人像を確認してください。
市場連動プランと固定プランの違い
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この記事の著者: 江田 健二(一般社団法人エネルギー情報センター 理事 / RAUL株式会社 代表取締役)— 電力・エネルギー業界20年以上、書籍20冊以上執筆、内閣府・中小企業庁・商工会議所登壇多数プロフィール →
固定プランの仕組みを理解した後は、実際の使用量・契約条件をもとに試算することで判断精度が上がります。比較診断ツールやシミュレーターをご活用ください。
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