低圧電力の電気料金は、2019年から2025年にかけて変動幅が大きく推移しました。2020年から2021年は低下傾向 が見られましたが、2022年に急上昇し、2023年以降も高いレンジで上下しています。動力設備を持つ店舗・作業場・ 小規模工場では、単価変動が利益に与える影響が大きいため、年次推移の把握が重要です。
年平均の推移を見ると、低圧電力の平均単価は2019年が26.3円/kWh、2020年が25.4円/kWh、2021年が 25.2円/kWhでした。そこから2022年に30.3円/kWhへ急上昇し、2023年は28.6円/kWh、2024年は29.9円/kWh、 2025年は30.2円/kWhと高止まりしています。2019年比では約14.8%高い水準です。
月次データではピークが2022年11月の36.8円/kWh、ボトムが2021年01月の20.0円/kWhでした。
| 年 | 年平均単価(円/kWh) | 前年比 |
|---|---|---|
| 2019 | 26.3 | - |
| 2020 | 25.4 | -3.3% |
| 2021 | 25.2 | -0.9% |
| 2022 | 30.3 | +20.5% |
| 2023 | 28.6 | -5.7% |
| 2024 | 29.9 | +4.5% |
| 2025 | 30.2 | +1.0% |
月次データの折れ線と、年平均の棒グラフで低圧電力単価の推移を可視化しています。2022年以降の急変幅が大きく、 低圧電灯より振れ幅が出やすい傾向が確認できます。
2019年から2025年の推移は、大きく3つのフェーズに分けると構造的な変化を整理しやすくなります。
コロナ禍による需要減と燃料安が重なり、低圧電力の年平均は26.3円→25.2円/kWhへと緩やかに低下しました。 低圧電力は動力設備(エアコン・冷凍機・モーター等)を中心とした契約のため、施設稼働率の低下が使用量・単価双方に影響しました。 この時期の水準が「コロナ前の基準値」として、後の急騰の比較対象になります。
LNG価格急騰・ウクライナ侵攻・円安の三重苦で単価が上昇しました。 低圧電力の年平均は25.2円→30.3円/kWhへ+20%超の急騰を記録し、月次では36円台の高値も出現しています。 低圧電力は燃料費調整額の変動幅が大きく、卸市場価格の高騰が単価に強く反映される区分です。 動力設備を多く持つ飲食店・美容院・工場・倉庫業などで電気代の急増が経営に直撃しました。
補助金効果で急騰は一服しましたが、低圧電力の年平均は2025年も30.2円/kWhとコロナ前比+15%の高止まりです。 さらに2024〜2025年にかけて再上昇の動きが続いており、「落ち着いた」とは言い難い状況が継続しています。 容量拠出金・再エネ賦課金という固定的なコスト要因が下値を支え、燃料安になっても単価が下がりにくい構造となっています。
2019年の低圧電力は、年平均で26.3円/kWhでした。月別では23.6円~28.4円/kWhと、低圧電灯よりも振れ幅が 大きく、動力需要の影響を受けやすい特徴が見られます。この時期は燃料費調整額の変動幅も比較的小さく、 再エネ賦課金は2.95円/kWhと上昇中だったものの、全体的には予算策定しやすい安定した単価レンジでした。 動力設備を持つ店舗や小規模工場にとっては、電気代が経営上の変動費として管理しやすい時期です。
2020年の年平均は25.4円/kWhで、2019年の26.3円/kWhから約3.4%低下しました。年後半は上下を繰り返しつつも、全体として は前年より低めのレンジです。新型コロナウイルスの感染拡大により飲食店・美容院・エステ・整体院などの動力設備を持つ 小規模事業者が営業自粛や時短営業を余儀なくされ、使用量・単価の双方が低下しました。 原油・LNG価格の軟化が燃料費調整額の低下につながり、低圧電力にも波及した年です。
2021年の年平均は25.2円/kWhで、2020年の25.4円/kWhからわずかに低下しました(前年比約0.8%低下)。 1月は20.0円/kWhまで下がる一方、11月は29.1円/kWhまで上がっており、年内でも変動幅が大きい点が特徴です。 年初の低値はコロナ禍の需要低迷が続いた影響で、後半の上昇はLNGスポット価格の急騰と燃料費調整額の上振れが背景にあります。 低圧電力は燃料費調整額の反映が大きい区分のため、国際エネルギー市況の変化が翌月以降の単価に比較的素早く反映されます。 2021年後半の上昇傾向が翌年2022年の本格急騰への前兆となりました。
2022年の年平均は30.3円/kWhで、2021年(25.2円)から前年比20.2%増という大幅上昇でした。 秋以降の上昇が顕著で、11月には36.8円/kWhまで上昇しています。 2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を機に国際LNG・石炭価格が急騰し、円安(115円→150円近辺)も重なって輸入コストが急増しました。 低圧電力は燃料費調整額の変動幅が大きく、急騰局面でのコスト負担が他の区分より重くなりやすい特性があります。 動力設備を持つ飲食店・食品加工・小売・倉庫では電気代急増が直接利益を圧迫し、料金改定や省エネ投資を迫られた事業者も多くありました。
2023年の年平均は28.6円/kWhで、2022年(30.3円)から5.6%低下しました。ただし、年内には30円台の月も複数あり、 平時より高い単価レンジが続いています。政府の電気・ガス価格激変緩和対策(低圧向け値引き)が下支えしましたが、 補助を除いた実力値は依然高く、補助政策の下支えがあっても高止まり感は残る結果となりました。 2023年6月の大手電力規制料金値上げにより低圧電力の単価水準も底上げされており、 補助金終了後の単価上昇が各方面で懸念された年でもあります。
2024年の年平均は29.9円/kWhで、2023年(28.6円)から前年比4.5%上昇しました。春から初夏にかけて上昇し、年末には34.0円/kWh まで上がっています。2024年度から容量拠出金の本格賦課が始まり、固定的なコスト要因が単価下限を押し上げました。 また、激変緩和補助金の段階的縮小・終了が価格の戻りを加速させた側面もあります。 低圧電力は設備稼働の影響も受けやすいため、単価と使用量を分けて管理する視点が重要です。 夏の猛暑や冬の寒波が電力需給に影響し、単価の季節変動が大きくなった年でもあります。
2025年の年平均は30.2円/kWhで、2024年(29.9円)から1.0%上昇しました。夏場に一時低下する月はあるものの、春・初夏・ 年末には30円台が続き、高止まり基調が継続しています。2019年(26.3円)比で約15%高い水準が定着しており、 コロナ前の単価感覚での予算策定はもはや実態と乖離しています。 容量拠出金・再エネ賦課金という固定コストが下値を形成しており、燃料市況が落ち着いても単価がまとまって下がる局面は見えにくくなっています。 動力設備を持つ小規模事業者にとって、電気代の高止まりを前提とした経営モデルへの転換が急務です。
この7年間の推移は、(1)2019〜2021年の緩やかな低下、(2)2022年の急騰、(3)2023〜2025年の高止まり、 の流れで整理できます。低圧電力は月次の振れ幅が大きく、単価変化が月次収支に直結しやすい区分です。
実務では、年間平均だけでなくピーク月・ボトム月・前後年比較を合わせて確認することで、契約見直しや予算編成の 判断精度を上げられます。特に高騰局面では、単価トレンドの継続性を四半期単位で点検することが有効です。
低圧電力の電気料金は、2019年の26.3円/kWhから2025年は30.2円/kWhへ上昇しました。2022年に急騰した後、 2023年以降も高い単価レンジが続いています。単価変動の影響が大きい契約区分のため、年次推移と月次ピークを 併せて確認することが重要です。
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