POWER SUPPLY / 電力調達の仕組みを知る
昼と夕方で電力市場価格が変わる理由
ダックカーブとは、太陽光発電の普及により昼間の「ネット需要」(総需要から太陽光・風力を差し引いた残余需要)が大きく落ち込み、夕方に太陽光が沈むと急激に跳ね上がる現象のこと。 グラフの形がアヒル(ダック)の背中と首に似ていることから名付けられました。JEPX 市場価格の昼間低下・夕方急騰として法人の電気料金に直接影響する、電力調達の最重要キーワードです。
昼12時ネット需要
7,819 MW
1日の最低点(ダックの腹)
夕方18時ネット需要
11,923 MW
1日の最高点(ダックの首)
ランプアップ幅
4,104 MW
12時→18時の6時間で急上昇
太陽光ピーク(11時)
3,949 MW
9エリア合計の平均出力
9エリア合計の平均値です。青線が総需要、赤線がネット需要(需要−太陽光−風力)、黄色が太陽光出力。 昼間にネット需要が沈み込み、夕方に急上昇する「アヒルの形」が鮮明です。
出典: 各一般送配電事業者公表の30分値データを集計(2024年2月〜2026年4月)
| 時刻 | 総需要 | ネット需要 | 太陽光 | 風力 |
|---|---|---|---|---|
| 0:00 | 9,251 MW | 9,083 MW | 0 MW | 168 MW |
| 6:00 | 9,835 MW | 9,301 MW | 376 MW | 157 MW |
| 9:00 | 12,152 MW | 8,894 MW | 3,109 MW | 150 MW |
| 11:00 | 12,211 MW | 8,109 MW | 3,949 MW | 154 MW |
| 12:00 | 11,829 MW | 7,819 MW | 3,852 MW | 158 MW |
| 15:00 | 11,989 MW | 9,962 MW | 1,862 MW | 165 MW |
| 18:00 | 12,123 MW | 11,923 MW | 33 MW | 167 MW |
| 21:00 | 10,915 MW | 10,751 MW | 0 MW | 163 MW |
6時から太陽光出力が急増し、8時には2,181MW。火力発電所は出力を下げて太陽光に道を譲ります。
11〜12時に太陽光は約3,900MWに達し、ネット需要は7,819MWまで低下。JEPX市場価格も昼間は最安水準に。 余剰が大きいエリアでは出力制御が発生します。
15時から太陽光が急減し、18時にはほぼゼロ。一方で夕方の電力需要は12,123MWとピーク水準。 火力発電所が一斉にフル稼働する必要があり、燃料消費が急増。JEPX市場価格は1日の最高値をつけやすい時間帯です。
21時以降は需要自体が減少し、火力も出力を下げていきます。翌朝に再び同じサイクルが繰り返されます。
昼間(10〜14時)はJEPX価格が低く、電気代が安くなります。しかし夕方(17〜19時)には 価格が急騰するため、この時間帯の電力使用量が多い業種(飲食・小売・オフィスの残業時間)は コスト増のリスクがあります。
昼間の安い電力を蓄電池に充電し、夕方の高い時間帯に放電する「アービトラージ」が 経済的に成立しやすくなっています。昼夕の価格差が大きいほど蓄電池の投資回収が早まります。
生産設備や空調の稼働スケジュールを昼間にシフトできれば、安い時間帯のメリットを最大化できます。 EV充電を昼間に行うことも有効です。
固定価格型プランであれば 昼夕の市場価格変動は影響しません。ただし市場連動型より単価が高く設定されていることが一般的です。
ダックカーブは太陽光の普及がもたらした構造変化であり、今後さらに深化していきます。 法人にとっては「いつ電力を使うか」が「どれだけ使うか」と同等に重要な時代になっています。 自社の使用パターンを把握し、市場連動型か固定価格型かの選択、蓄電池導入の検討、 需要シフトの余地を探ることが、コスト最適化の鍵です。
A.①自社発電、②相対契約(特定発電事業者から購入)、③JEPX市場、④先物市場、⑤再エネPPA、の5経路が主流です。各事業者の調達構成は公表されています。
A.需給バランスで決まります。需要が高い・供給が逼迫すると価格上昇、再エネ大量発電や需要低下で価格下落。30分単位で売買されます。
A.将来の供給力(発電所)を確保するための市場です。2020年に初回オークション開始、2024年から供給開始。コストは小売事業者経由で需要家に転嫁されます。
A.容量市場は「将来の発電能力」を取引、需給調整市場は「リアルタイムの調整力」を取引。両者は補完関係にあり、安定供給の二本柱です。
A.東京商品取引所(TOCOM)・欧州エネルギー取引所(EEX)で取引可能。大手法人がリスクヘッジ目的で活用する事例があります。中小企業には敷居が高め。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
市場連動型プランの場合、時間帯別の使用パターンがコストを左右します。シミュレーターで診断できます。
記事を読んで気になった点があれば、エネルギー情報センターにお気軽にご相談ください。法人・自治体の電力契約に精通したスタッフが、中立的な立場で判断材料を整理します。初回相談は無料です。
中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。