市場価格調整額とは、卸電力市場(JEPX)の価格動向を電気料金に反映する調整項目です。 燃料費調整額と似た役割を持ちますが、参照する価格が「燃料CIF価格」ではなく「JEPX市場価格」である点が決定的に異なり、変動幅・反映タイミング・上限ルールも大きく違います。
このページでは、市場価格調整額の仕組み、計算方法、JEPXシステムプライス推移との関係、燃料費調整額(燃調費)との違い、法人契約で注意すべきポイントを、実データとグラフで整理します。
市場価格調整額は、電気の仕入れコストの一部が JEPX 価格に連動する場合に、 その変動を料金に反映するための調整項目です。契約書・約款では「市場調整額」「電源調達調整額」「市場連動調整」 など複数の名称で記載されます。
市場価格調整額の根拠は JEPX スポット市場(一日前市場)のシステムプライスです。 参考までに、2016〜2025 年度の年度平均システムプライスの推移を確認しておきます。
出典: 日本卸電力取引所(JEPX)公表値。2022年度は 20.37 円/kWh と過去最高。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
| 比較観点 | 市場価格調整額 | 燃料費調整額 |
|---|---|---|
| 参照指標 | JEPX市場価格 | 燃料CIF価格 |
| 反映タイミング | 月次(当月 or 前月実績) | 3〜5ヶ月ラグ |
| 変動の幅 | 大きい(市場動向をほぼそのまま) | 中程度(基準単価で緩和) |
| 契約上の上限 | 原則なし(自由設計) | 規制料金のみあり |
| 表示 | 契約によって名称が異なる | 統一的に「燃料費調整額」 |
なお、料金上昇の制度要因としては市場価格調整・燃料費調整額に加え、2024 年度から転嫁が始まった容量拠出金も見落とせません。固定プランでは単価に内包されて見えにくいため、契約更新時の単価差の説明根拠として必ず確認してください。
市場連動の基礎は 市場連動プランとは、契約タイプ比較は 市場連動プランと固定プランの違いで確認できます。
月間50,000kWh使用の高圧事業所で、基準単価10円/kWhの場合の影響試算です。
| 市場環境 | JEPX月平均 | 調整単価 | 月額影響 | 過去の該当時期 |
|---|---|---|---|---|
| 安定期 | 7〜9円 | ▲1〜3円 | ▲5〜15万円 | 2020年春〜秋 |
| やや上昇 | 12〜15円 | +2〜5円 | +10〜25万円 | 2023〜2024年通常期 |
| 高騰期 | 20〜30円 | +10〜20円 | +50〜100万円 | 2022年通年 |
| 異常高騰 | 50円超 | +40円超 | +200万円超 | 2021年1月 |
※ 上限設定がない契約では、異常高騰時に月額が数百万円単位で増加する可能性があります。
「固定」「市場連動」といった名称は、契約の全体像を示す入口に過ぎません。実際の比較では、どの項目が固定で、どの項目が後から動くかを分けて確認することが、 契約後のギャップを減らす近道です。
見積比較で確認したいポイントは以下のとおりです。
市場価格調整額は、卸電力市場(JEPX)の価格動向を電気料金に反映する調整項目です。燃料費調整額と似た役割を持ちますが、参照している価格が「燃料CIF価格」ではなく「JEPXの市場価格」である点が異なります。電力会社ごとに名称や算定ルールが異なります。
市場価格調整額はJEPX市場価格を参照し月次で反映されるため変動幅が大きく、上限が原則ありません。一方、燃料費調整額は燃料CIF価格を参照し3〜5ヶ月のラグで反映され、規制料金には上限が設定されています。
はい。固定単価プランでも、別立てで市場連動項目(市場価格調整額)が含まれているケースがあります。契約書の末尾の小さな条項に算定ルールが記載されていることが多いため、見積比較時には注意が必要です。
著者: 江田健二(一般社団法人エネルギー情報センター 代表理事)
公開日: 2025-08-11
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この記事の著者: 江田 健二(一般社団法人エネルギー情報センター 理事 / RAUL株式会社 代表取締役)— 電力・エネルギー業界20年以上、書籍20冊以上執筆、内閣府・中小企業庁・商工会議所登壇多数プロフィール →