POWER SUPPLY / 電力調達の仕組みを知る
9エリアの発電ミックスを比較する
日本の電力系統は9つのエリアに分かれており、エリアごとに電源構成(発電ミックス)がまったく異なります。 東京はLNG火力が55.7%、北陸は石炭53.8%、関西は原子力34.8%──この違いが、燃料費調整額の変動幅やJEPX市場価格の エリア差となって法人電気料金に直接影響しています。30分値の実績データ(30万件超)をもとに、各エリアの「顔」を可視化します。
2024〜2026年の30分値実績データ(計307,229レコード)を集計した平均電源構成比率です。 横軸の100%が各エリアの総発電量に対応します。
出典: 各一般送配電事業者公表の30分値データを集計(2024年2月〜2026年4月)
| エリア | 原子力 | LNG | 石炭 | 水力 | 太陽光 | 風力 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 0.0 | 10.3 | 37.8 | 13.9 | 10.5 | 9.9 |
| 東北 | 3.0 | 28.3 | 36.0 | 10.0 | 9.5 | 4.5 |
| 東京 | 0.2 | 55.7 | 20.2 | 4.7 | 10.7 | 0.4 |
| 中部 | 0.0 | 49.6 | 22.3 | 9.0 | 13.5 | 0.6 |
| 北陸 | 0.0 | 6.7 | 53.8 | 26.9 | 5.9 | 0.6 |
| 関西 | 34.8 | 27.1 | 16.5 | 9.0 | 7.0 | 0.3 |
| 中国 | 6.4 | 12.5 | 43.9 | 5.4 | 15.8 | 0.7 |
| 四国 | 17.1 | 6.1 | 45.5 | 7.9 | 11.9 | 1.7 |
| 九州 | 29.5 | 11.8 | 30.1 | 3.5 | 13.3 | 0.9 |
LNG・石炭依存度が高いエリアほど、国際燃料価格の変動が燃調費に直結します。 東京(LNG 55.7%)や北陸(石炭 53.8%)は変動幅が大きくなりやすい構造です。
太陽光が多いエリアは昼間の市場価格が低下しやすい一方、夕方のランプアップで急騰リスクがあります。 市場連動型プランの企業にとって電源構成はコストの「形」を決めます。
原子力が稼働しているエリア(関西・九州)はベースロード電源が安定。停止中のエリアは 火力フル稼働が前提となり、燃料調達や設備トラブル時の供給逼迫リスクが高まります。
各エリアの電源構成の特徴と料金影響リスクの概要です。
LNG火力が55.7%を占め、国際ガス価格に最も敏感なエリア。太陽光は出力最大だがシェア10.7%に留まる。
主なリスク要因
LNG価格高騰 → 燃調費急上昇
原子力34.8%(稼働率100%)がベースロードを担い、燃料費変動リスクが相対的に低い。揚水発電の活用も全国最積極的。
主なリスク要因
原発停止リスク → 火力代替で急騰
石炭53.8%+水力26.9%という独自の構成。水力の豊富さが料金安の一因だったが、石炭価格高騰で2023年大幅値上げ。
主なリスク要因
石炭価格高騰 + 水力渇水
原子力29.5%(稼働率100%)と太陽光13.3%の組合せ。太陽光出力制御が全国最多(昼間13.8%)で、余剰電力を他エリアへ輸出。
主なリスク要因
太陽光抑制拡大 → 再エネ投資効率低下
石炭37.8%、風力9.9%(全国最高)、太陽光10.5%。再エネ比率は季節変動が極めて大きく、5月61.2%→1月30.5%。
主なリスク要因
冬季の化石燃料依存 + 連系線制約
LNG49.6%で東京に次ぐ高依存度。製造業の電力需要が多く、太陽光13.5%は中位水準。
主なリスク要因
LNG価格変動の影響大
石炭36.0%+LNG28.3%の火力主体だが、太陽光9.5%+風力4.5%の再エネも伸長。全国最大の電力輸出エリア。
主なリスク要因
再エネ抑制拡大リスク
石炭43.9%と高い化石燃料依存。太陽光15.8%は全国上位だが、島根原発再稼働で構成変化の可能性。
主なリスク要因
石炭価格高騰リスク
石炭45.5%+原子力17.1%(伊方稼働率78%)。太陽光抑制率10.5%と高く、需要規模が小さいため余剰吸収が課題。
主なリスク要因
太陽光抑制 + 石炭価格上昇
原子力の稼働状況はエリアの電源構成を大きく左右します。関西・九州は100%稼働でベースロードを担う一方、 北海道・中部・北陸は完全停止で火力に全面依存しています。
| エリア | 平均出力(MW) | 最大出力(MW) | 稼働時間率 |
|---|---|---|---|
| 関西 | 5,368 | 6,605 | 100.0% |
| 九州 | 3,378 | 4,906 | 100.0% |
| 四国 | 680 | 882 | 78.0% |
| 中国 | 415 | 812 | 51.9% |
| 東北 | 392 | 845 | 50.3% |
| 東京 | 59 | 1,321 | 5.3% |
| 北海道 | 0 | 0 | 0.0% |
| 中部 | 0 | 0 | 0.0% |
| 北陸 | 0 | 0 | 0.0% |
電源構成はエリアごとに全く異なり、それが法人電気料金の「変動の仕方」を決定づけます。 LNG依存エリアはガス価格、石炭依存エリアは石炭価格、原子力エリアは稼働リスクがそれぞれ主要な料金変動要因です。
自社の事業所がどのエリアに属し、そのエリアの電源構成がどのような特徴を持つかを理解したうえで、 固定価格型・市場連動型などの契約タイプを選ぶことで、 リスクに見合った電力調達が可能になります。
A.①自社発電、②相対契約(特定発電事業者から購入)、③JEPX市場、④先物市場、⑤再エネPPA、の5経路が主流です。各事業者の調達構成は公表されています。
A.需給バランスで決まります。需要が高い・供給が逼迫すると価格上昇、再エネ大量発電や需要低下で価格下落。30分単位で売買されます。
A.将来の供給力(発電所)を確保するための市場です。2020年に初回オークション開始、2024年から供給開始。コストは小売事業者経由で需要家に転嫁されます。
A.容量市場は「将来の発電能力」を取引、需給調整市場は「リアルタイムの調整力」を取引。両者は補完関係にあり、安定供給の二本柱です。
A.東京商品取引所(TOCOM)・欧州エネルギー取引所(EEX)で取引可能。大手法人がリスクヘッジ目的で活用する事例があります。中小企業には敷居が高め。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
現在の契約内容をもとに、燃料費変動・容量拠出金・再エネ賦課金のリスクを総合的に数値化できます。
記事を読んで気になった点があれば、エネルギー情報センターにお気軽にご相談ください。法人・自治体の電力契約に精通したスタッフが、中立的な立場で判断材料を整理します。初回相談は無料です。
中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。