サーバールームの24時間稼働
社内サーバー、開発サーバー、テスト環境がオフィス内にある場合、これらの機器と冷却用空調が24時間稼働し、ベースロードを押し上げます。サーバールームの消費は在席率に関係なく一定です。
IT・テクノロジー系 / IT企業オフィス
IT企業オフィスは一般オフィスに加えてサーバールームやGPU搭載開発機の消費が上乗せされ、リモートワーク普及で在席率が変動する中でのコスト管理が求められる業態です。見直しの方向性を整理します。
サーバールーム
24時間のベース負荷
オンプレミスのサーバーやネットワーク機器は在席率と切り離れやすく、空調と一体でコストの土台になります。
開発環境
GPUで電力が上乗せ
GPU搭載ワークステーションは一般オフィスPCの2〜3倍の電力になりやすく、AI開発ではさらに負荷が増えやすいです。
リモートワークの影響
在席率と請求のズレ
在席率が下がってもサーバーや共用設備の消費はすぐに半減しにくく、面積あたり効率の悪化が論点になりやすいです。
IT企業オフィスは、一般的なオフィスと消費構造が似ていますが、いくつかの追加的な消費要因があります。社内サーバールーム(オンプレミスのサーバー、ネットワーク機器、ストレージ等)は24時間稼働し、空調とともにベースロードを押し上げます。開発用PC(GPU搭載のワークステーション)を多数使用する環境では、一般的なオフィスPCの2〜3倍の電力を消費します。AI開発チームがGPUクラスターを社内に持つ場合、消費がさらに跳ね上がります。
リモートワークの普及により、オフィスの在席率が大きく変動しています。在席率が50%に下がっても、サーバールームやネットワーク機器の消費は変わりません。共用部の空調・照明もすぐには半分にできないため、「人は減ったのに電気代が下がらない」状況が生じています。面積あたりの消費効率(1人あたりのコスト)が悪化しやすい構造です。
空調30〜35%(サーバールームの冷却を含む)、照明・コンセント(開発PC含む)30〜35%、サーバールーム(IT機器+冷却)15〜25%、その他(エレベーター・共用設備等)5〜10%。
サーバールームを持つIT企業では、サーバールーム関連が全消費の15〜25%を占めることがあり、一般オフィスとの最大の差はここです。GPU搭載の開発機が多い場合はコンセント系統の消費比率がさらに高くなります。
平日日中の消費パターンは一般オフィスと同様ですが、サーバールームは24時間稼働。エンジニアのフレックス勤務で深夜まで稼働する場合は夜間消費がやや高めです。
サーバールームを持つ場合の目安で、GPU搭載機が多い環境ではコンセント系統の比率がさらに高まりやすいです。
空調(サーバールーム冷却を含む)
30〜35%
執務エリアとサーバールームの冷却が重なると、底上げ要因として効きやすいです。
照明・コンセント(開発PC含む)
30〜35%
GPU搭載PCが多いフロアでは、この区分の伸びが目立ちやすくなります。
サーバールーム(IT機器+冷却)
15〜25%
一般オフィスとの差が出やすい領域で、サブメーター有無が改善の着手点になります。
その他(エレベーター・共用設備等)
5〜10%
ビル共用の動力や付帯設備も、テナント契約の見え方とあわせて確認したいです。
横軸はおおまかな時間帯の区切り(1マスがおよそ2時間分のイメージ)です。執務エリアは日中に相対的に高く、サーバールームは夜間も下がりにくいイメージを示しています。
執務・共用の相対負荷
サーバールーム(IT+冷却)
社内サーバー、開発サーバー、テスト環境がオフィス内にある場合、これらの機器と冷却用空調が24時間稼働し、ベースロードを押し上げます。サーバールームの消費は在席率に関係なく一定です。
AI開発やデータサイエンスのチームがGPU搭載ワークステーションやGPUサーバーを使用する場合、一般的なオフィスPCの消費(100〜200W)に対して500W〜1kW以上を消費し、コンセント系統の負荷が急増します。
在席率の低下でオフィスの人体発熱は減りますが、サーバールーム、ネットワーク機器、空調の基本運転は維持が必要です。照明の人感センサー制御がなければ、無人のフロアで照明がつけっぱなしになるケースもあります。面積あたりの消費効率が悪化し、「オフィスを縮小すべきか」「在席率に応じた運用に切り替えるべきか」という経営判断が求められます。
社内サーバールームをクラウド(AWS、Azure、GCP等)に移行すれば、オフィスの消費を大幅に削減できます。しかし、セキュリティ要件や遅延の問題でクラウド移行が難しいシステムもあり、「一部はクラウド、一部はオンプレ」というハイブリッド状態が続くケースが多いです。
オフィスの消費とサーバールームの消費を分離して把握します。サブメーターが設置されていない場合は、サーバールーム用の電力メーターの設置を検討します。消費の「どこにどれだけ」が見えないと、改善の優先順位が立てられません。
在席率と消費量の相関を確認します。在席率が50%の日と100%の日で消費がどの程度変わるかを見ると、固定消費(サーバールーム等)の比率が明確になります。
GPU搭載開発機の台数と稼働時間を把握します。AIの学習ジョブが特定の時間帯に集中している場合、デマンド値を押し上げている可能性があります。
一般オフィスと同様に、高圧契約であれば複数社からの見積もり取得が可能です。テナントとして入居している場合はビルオーナーの契約方式に従う必要があります。
サーバールームの24時間消費がベースロードになっている場合、時間帯別料金プランで夜間の安い単価が活きます。GPU学習ジョブの夜間シフトも、時間帯別プランと組み合わせるとコスト最適化が可能です。
IT企業にとって2026年の課題は、「オフィスの在り方」と「電力コスト」の関係をどう整理するかです。リモートワーク定着でオフィス面積を縮小する動きがある一方、AIの社内開発環境(GPU)の拡大で消費が増えるトレンドもあります。
「サーバールームをクラウドに移行する」だけで、オフィスの電力消費を15〜25%削減できるケースは珍しくありません。クラウド移行の検討は、IT戦略であると同時に電力コスト対策でもあります。
IT企業オフィスで最もインパクトの大きい施策です。社内サーバー、開発環境、テスト環境をクラウドに移行すれば、IT機器の消費に加えて、サーバールームの冷却空調の消費もゼロになります。クラウドの利用料は発生しますが、サーバールームの電力コスト、空調コスト、サーバーのハードウェア保守コスト、スペースコスト(オフィス賃料の一部)を含めたトータルコストで比較すると、クラウドの方が安くなるケースが多いです。
在席率が変動するIT企業では、フロアのゾーンごとに空調のON/OFFを制御し、人がいるゾーンだけを空調する運用が有効です。CO2センサーや在席検知システムと連動させることで、自動的に最適化できます。
リモートワークで在席率が低い日は、無人のフロアやエリアの照明を人感センサーで自動消灯します。
AI学習ジョブの実行を夜間(電力単価が安い時間帯)にスケジューリングすることで、時間帯別料金プランのメリットを活かしつつ、日中のデマンド値を抑えます。
仮想デスクトップ(VDI)環境を活用し、個人のPCの消費を抑える方法があります。重い処理をサーバー側(またはクラウド側)で行い、手元の端末は表示のみにすることで、オフィス内の端末消費を大幅に削減できます。
IT企業オフィスの電気料金が上がりやすいのは、一般オフィスの消費に加えてサーバールームの24時間稼働とGPU開発機の高消費が上乗せされ、リモートワークの在席率変動で面積あたりの効率が悪化するためです。
サーバールームのクラウド移行がオフィスの消費を15〜25%削減できる最もインパクトの大きい施策であり、在席率連動の空調制御と組み合わせることで、「人がいるところだけ快適に、いないところはコストをかけない」運用に転換できます。
データセンターとITオフィスは負荷の型が近いため、あわせて読むと見直しの比較がしやすくなります。
IT企業オフィスでは、固定負荷の可視化とクラウド移行のトータル比較が起点になりやすいです。比較ページとシミュレーターで、自社の前提に合う見直し方を確認してください。