電気料金の基本料金は、使用量がゼロでも毎月固定で発生するコストです。高圧電力では「契約電力(kW)× 基本料金単価 × 力率係数」で算出され、デマンド管理と力率の状態が基本料金の水準を左右します。
このページでは、基本料金の算出構造・契約電力の決まり方・力率割引の仕組みを解説し、基本料金を削減するための考え方を整理します。デマンド値について詳しくは デマンド値の見方 もあわせてご覧ください。
このページでわかること
電気料金の費用構造は大きく「固定費(基本料金)」と「変動費(電力量料金+調整費)」に分かれます。基本料金は使用量に関わらず毎月一定額が発生する固定費であり、節電による削減効果は直接には現れません。
基本料金(固定費)
電力量料金(変動費)
高圧電力(および特別高圧)の基本料金は、「契約電力(kW)× 基本料金単価(円/kW)× 力率係数」で算出されます。この3要素のいずれかを変えることで基本料金の増減が生じます。
例えば、契約電力が500kW・基本料金単価が1,500円/kW・力率割引率が0.97(力率97%の場合)であれば、基本料金は500 × 1,500 × 0.97 = 727,500円(消費税別)となります。月間使用量がどれだけ少なくても、この金額は毎月固定で発生します。
確認ポイント
高圧電力の契約電力は、過去1年間(当月を含む直近12か月)の最大需要電力(デマンド値)によって自動的に決定されます。これを「1年間固定制」といい、一度高いデマンドが記録されると、その後1年間は基本料金の計算基礎が高い水準に固定されます。
デマンド値は30分間の平均電力の最大値として計録されます。「たまたまその30分間だけ電力使用が集中した」という場合でも、年間の契約電力が決まってしまう点に注意が必要です。デマンドコントローラー(デマコン)の設置・運用によって意図的にデマンドを抑制することが、基本料金管理の基本的な手段です。
確認ポイント
力率とは、電力設備に供給された電力のうち、実際に仕事(熱・光・動力)として使われた割合を示す指標です。100%に近いほど効率よく電力が使われていることを示します。高圧電力では一般的に、力率が85%を超えた分については1%ごとに基本料金が0.5〜1%程度割り引かれます(電力会社・メニューによって異なる)。
一方、力率が85%を下回ると割増となり、基本料金が増加します。工場などで誘導電動機(モーター)を多用している施設は力率が低くなりやすい傾向があります。進相コンデンサーの設置によって力率を改善し、基本料金の割引を受けることは、初期投資に対して高いコスト削減効果が見込める対策の一つです。
確認ポイント
電力会社の料金メニューによっては、夏季・冬季に基本料金単価が通常期より高く設定されている「季節別料金」が適用される場合があります。例えば「7月〜9月は基本料金単価が10%高い」といった設定です。
季節による基本料金の変動がある場合、年間の基本料金総額は単純に「月額×12」では計算できません。見積書では各月の基本料金単価が記載されているかどうかを確認し、年間コストを正確に算出するために月別の試算を行ってください。
確認ポイント
基本料金は「契約電力×単価×力率係数」ですから、削減には①契約電力の引き下げ、②より安い単価のメニューへの変更、③力率の改善、の3つのアプローチがあります。
①契約電力の引き下げは、デマンド管理の強化によって最大需要電力を実際に抑えることが前提です。デマンドが下がれば翌年の契約電力が下がり、基本料金が自動的に下がります。②メニュー変更は見積比較によって実現します。③力率改善は設備投資(進相コンデンサー設置等)が必要ですが、効果が継続するため投資回収期間が比較的短くなるケースが多くあります。
確認ポイント
基本料金が月間請求額の何%を占めているかを把握することで、コスト削減の優先度が見えてきます。基本料金比率が50%を超えるような場合は、使用量削減(節電)よりも契約電力の引き下げやメニュー変更の方が削減効果が大きくなります。
逆に基本料金比率が20%以下であれば、電力量料金(単価×使用量)の見直しの方が効果的な場合があります。節電投資と電力会社変更・メニュー変更のどちらに注力すべきかを判断するための指標として、基本料金比率を把握しておくことが有用です。
確認ポイント
基本料金に関して請求書・見積書で確認すべき項目を整理します。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
| 確認項目 | 確認先 | 目的 |
|---|---|---|
| 契約電力(kW) | 請求書・契約書 | 基本料金の計算基礎を確認 |
| 基本料金単価(円/kW) | 請求書・見積書 | 見積比較の基準値 |
| 力率の実績値 | 請求書・デマンドデータ | 割引・割増の根拠確認 |
| デマンド実績(過去12か月) | 請求書・デマコン記録 | 契約電力の見直し余地の判断 |
| 季節別料金の有無 | 料金メニュー・見積書 | 年間コスト試算の精度向上 |
単価1,650円/kW、力率割引0.97で計算した場合の目安です。
| 施設規模 | 契約電力 | 基本料金(月額) | 年間基本料金 |
|---|---|---|---|
| 小規模オフィス | 100kW | 約16万円 | 約192万円 |
| 中規模工場 | 500kW | 約80万円 | 約960万円 |
| 大型商業施設 | 1,000kW | 約160万円 | 約1,920万円 |
| 大規模工場(特高) | 3,000kW | 約480万円 | 約5,760万円 |
デマンド値を10%削減できれば、500kW契約で年間約96万円の基本料金削減になります。
はい。電気を使用しなくても、契約電力(kW)に基本料金単価を掛けた金額が毎月発生します。基本料金は固定費的な性格を持つため、使用量削減だけでは削減できず、契約電力の見直しが必要です。
デマンド値(30分最大需要電力)を下げることで契約電力を引き下げ、基本料金を削減できます。デマンドコントローラーの導入やピーク時間帯の設備稼働調整が有効です。
力率(有効電力と皮相電力の比)が高いほど電気を効率よく使っているとみなされ、基本料金の割引が適用されます。高圧契約では力率85%を基準に1%ごとに0.5%の割引/割増が適用されます。
著者: 江田健二(一般社団法人エネルギー情報センター 代表理事)
公開日: 2026-04-10
基本料金の理解を深め、見直しや見積比較に活かすための関連ページです。
デマンド値の見方
デマンド値が契約電力・基本料金に与える影響と管理方法を詳しく解説。
電力量料金の見方
基本料金と対をなす変動費部分の構造と確認ポイント。
高圧電力の請求書の見方
高圧電力の請求書における基本料金の確認方法。
法人向け電気料金請求書の見方
請求書の全体構造と主要項目の読み方を整理。
高圧電力見積書の見方
見積書で基本料金単価を比較する際のポイント。
見積書比較表の作り方
複数の見積書を横並びで比較するための整理方法。
電力契約の見直しを始めるには
基本料金の見方を踏まえて、見直し手順のステップを確認できます。
市場連動プランと固定プランの違い
基本料金の構造を理解したうえで、プランの選択軸を整理できます。
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この記事の著者: 江田 健二(一般社団法人エネルギー情報センター 理事 / RAUL株式会社 代表取締役)— 電力・エネルギー業界20年以上、書籍20冊以上執筆、内閣府・中小企業庁・商工会議所登壇多数プロフィール →
契約電力・デマンドの情報をもとに、電気料金の固定費部分がどのように変化するかを試算できます。見直しの検討にお役立てください。
ここまで読んで基礎がつかめたら、次は自社の請求書を手元にシミュレーターで現状診断してみましょう。数値を前にしても判断に迷う論点があれば、一般社団法人エネルギー情報センターへ無料でご相談いただけます。
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