補助金終了後の最初の本格的上昇月・暖房シーズン入り
2025年11月使用分の法人向け電気料金は、激変緩和補助金終了から2ヶ月目として、実力値ベースの上昇が本格的に現れた月です。 当社団が運営している「新電力ネット」のデータでは、10月の補助終了による上昇傾向がそのまま継続し、さらに暖房シーズンの入りによる 需要増加がこれに重なった動きが確認されています。
低圧では33〜34円/kWh程度、高圧では21〜22円/kWh程度、特別高圧では16〜17円/kWh程度の水準となり、 10月に比べてさらに上昇しています。LNG価格の季節的な上昇も、この時期の押し上げ要因として働いています。
11月は、補助なし実力値での上昇が「本物かどうか」を企業が初めてしっかり確認できる月でもあります。 10月はまだ補助終了直後の「切り替わりの月」という感覚がありましたが、11月になると暖房需要が加わり、 料金上昇が補助終了によるものだけでないことが明確になります。
この記事では、当社団が運営している「新電力ネット」のデータと政府の公表情報をもとに、 2025年11月使用分の電気料金動向を、低圧・高圧・特別高圧ごとに法人向けに整理します。
当社団が運営している「新電力ネット」のデータをもとに、契約区分ごとのkWhあたり単価を整理しました。
特別高圧
16.8円/kWh
高圧
21.3円/kWh
低圧電灯
27.3円/kWh
低圧電力
33.6円/kWh
※消費税および再生可能エネルギー発電促進賦課金を含まない参考値です。
当月を含む直近6ヶ月のkWh単価推移を、契約区分別に表示しています。
※縦軸は表示期間内の最小値〜最大値を基準に自動調整しています。
同じ11月で過去の水準と比較すると、現在の料金がどのあたりに位置しているかを把握しやすくなります。
| 契約区分 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 特別高圧 | 21.5円 | 18.4円 | 18.5円 | 16.8円 | ▼1.7円 |
| 高圧 | 25.6円 | 21.7円 | 22.0円 | 21.3円 | ▼0.7円 |
| 低圧電灯 | 29.8円 | 25.6円 | 26.6円 | 27.3円 | ▲0.7円 |
| 低圧電力 | 36.8円 | 33.0円 | 33.3円 | 33.6円 | ▲0.3円 |
※単位は円/kWh。消費税および再生可能エネルギー発電促進賦課金を含まない参考値です。
2025年11月使用分の上昇が本格的だった理由を理解するには、補助終了という構造変化と暖房シーズン入りという季節要因の 重なりを把握することが重要です。
10月に激変緩和措置が正式終了し、料金は実力値ベースへの切り替わりが完了しました。しかし10月はまだ気温が高めで、 暖房需要はそれほど大きくありませんでした。11月に入ると気温が下がり始め、暖房設備の稼働時間が増加します。 この需要増加が、10月から続く実力値上昇に乗っかる形で11月の料金をさらに押し上げました。
燃料面では、LNG(液化天然ガス)の市場価格が冬場に向けて季節的な上昇傾向を示しており、燃料費調整額を通じて 電気料金に反映されやすい時期に入っています。当社団が運営している「新電力ネット」のデータでも、この時期の上昇が 複合要因によるものであることが読み取れます。
法人にとって重要なのは、この上昇が補助終了という一時的な切り替え効果にとどまらず、冬季には継続・拡大する可能性が あると見ておくことです。
低圧は、小規模事業所や店舗などで使われる契約区分です。2025年11月使用分では33〜34円/kWh程度の水準となり、 10月(29〜30円/kWh程度)から大きく上昇しています。暖房需要の開始が料金に直接影響しやすい契約区分です。
実務上は、11月使用分の請求が12月に届くため、年末の資金繰りや予算管理に影響が出やすい時期です。 特に多店舗展開の小売・飲食・サービス業では、複数拠点の合算で見ると予算との乖離が大きくなりやすいです。
低圧の事業者は、補助があった頃(10円/kWh以上の補助が入っていた時期)の感覚で予算を組んでいると、 11月以降の請求額に大きなギャップを感じる可能性があります。年度内の予算見直しを早めに行うことが重要です。
高圧は、工場、病院、学校、商業施設、物流施設、オフィスビルなどで広く使われる契約区分です。2025年11月使用分では 21〜22円/kWh程度の水準となり、暖房需要開始と燃料費調整の季節上昇が重なっています。
高圧の事業者は使用量が大きいため、単価の上昇が総額に与えるインパクトも大きくなります。 11月使用分で単価が1円/kWh上昇するだけでも、月間100万kWhを超えるような大型施設では100万円以上のコスト増になります。
高圧の事業者にとって11月は、冬季のコスト増加が現実化する最初の月であり、12月・1月に向けてさらに上昇が予想されます。 契約条件の確認や次回更新時の見直し準備を始めるタイミングとして最適な時期です。
特別高圧は、大規模工場、データセンター、大型商業施設、自治体の基幹施設などが中心です。2025年11月使用分では 16〜17円/kWh程度の水準となり、政府補助の対象外であるため、燃料価格と需給の動向をストレートに反映しています。
特別高圧では、暖房シーズン入りによる全国的な電力需要増加が卸電力市場価格に影響し、特に市場連動型の契約では 11月以降の価格変動リスクが高まります。また、LNG価格の冬場上昇は燃料費調整額を通じて2〜3ヶ月遅れで 請求に反映されるため、先行きを注視する必要があります。
特別高圧の事業者は、11月の水準を基準に12月・1月・2月の冬季リスクを試算し、年度内予算の見直しと 来年度契約の調達戦略を並行して検討することが重要です。
11月使用分は全体的に上昇しましたが、影響の深刻度は契約区分・業種・拠点数によって異なります。 自社の契約ポートフォリオを確認し、どの拠点・区分での影響が大きいかを把握することが先決です。
2025年11月使用分は、補助終了後の上昇が本格化した月ですが、冬季の本番(12月〜2月)はさらに上昇が続く可能性があります。 この意味で11月は「過渡期」であり、ここで対策を打てるかどうかが冬季のコスト管理を左右します。
11月の時点で動いておくことで、12月・1月のピーク請求を受けてから慌てる状況を避けることができます。
2025年11月使用分の上昇要因として補助終了が大きいことは確かですが、それ以外の構造要因も重なっています。 LNGと石炭の冬場価格上昇、容量拠出金の継続、再エネ賦課金の上乗せ、そして暖房需要による需給タイト化です。
日本の電力は火力発電への依存が高く、燃料価格の変動が電気料金に反映されやすい構造です。 11月以降の冬季は、寒波や気温急低下による急激な需要増加リスクもあり、卸電力市場価格が 急騰した場合には市場連動型契約の事業者が特に大きな影響を受けます。
法人としては、補助終了という「見えやすいリスク」だけでなく、これらの構造リスクも並行して 確認しておくことが、年間コスト管理の精度を高めることにつながります。
2025年11月使用分の主要指標をまとめました。
| 契約区分 | 2025年11月水準(目安) | 前月(10月)比変化 | 主な変動要因 |
|---|---|---|---|
| 低圧電灯・低圧電力 | 33〜34円/kWh程度 | 上昇(3〜4円増) | 暖房シーズン入り・LNG価格の季節上昇 |
| 高圧 | 21〜22円/kWh程度 | 上昇(1〜2円増) | 暖房需要増・燃料費調整の季節上昇 |
| 特別高圧 | 16〜17円/kWh程度 | 横ばい〜小幅上昇 | 需給タイト化・LNG冬場価格反映の時間差 |
| 今後の見通し | 12月・1月にさらなる上昇の可能性 | − | 冬季本番・暖房ピーク・LNG価格の本格反映 |
※水準は当社団運営「新電力ネット」掲載データをもとにした目安です。実際の請求額は電力会社・契約条件により異なります。
2025年11月使用分は、激変緩和補助金終了後2ヶ月目として実力値ベースの上昇が本格化し、暖房シーズン入りとLNG価格季節上昇が 重なった月でした。低圧では33〜34円/kWh程度、高圧では21〜22円/kWh程度、特別高圧では16〜17円/kWh程度と、 全体的に10月からさらに上昇しています。
11月は冬季本番の前段として、予算の再設定と契約見直しの準備を進める最後のチャンスとなります。 12月・1月・2月のピーク局面を乗り越えるための実務的な準備を、11月のデータを手がかりに進めることが重要です。
暖房シーズンの上昇が本格化する前に、自社の電気料金リスクを定量的に把握しておきましょう。シミュレーターで冬季の見通しを確認できます。