企業の脱炭素対応は、排出量の把握、削減計画、再エネ調達、情報開示の4段階で設計します。それぞれの実務ポイントと関連制度を整理します。
気候変動対応は、2015年のパリ協定を起点に、世界の機関投資家と大手取引先からの要求事項として急速に広がりました。日本でも2050年カーボンニュートラル宣言、2030年GHG46%削減目標が国策として示され、上場企業を中心に有価証券報告書でのサステナビリティ情報開示が義務化されています。
中小企業にとっても、大手サプライヤーからのScope3(サプライチェーン排出量)の情報提供要請が増えており、脱炭素対応は競争条件の一部に組み込まれつつあります。コストではなく取引継続の条件として整理する企業が増えています。
第1段階は「測る」。自社のScope1(直接排出)、Scope2(電力由来)、Scope3(その他間接)を把握し、排出源を特定します。法人向け電気料金に関わるのは主にScope2です。
第2段階は「減らす」。省エネ投資、設備更新、運用改善でそもそもの消費量を下げます。第3段階が「変える」で、電力調達を再エネに切り替えます。手段はPPA、非化石証書購入、再エネ電力プラン契約の3つが主流です。
第4段階は「伝える」。CDP・TCFD・SBTiなどの国際枠組みに沿って、投資家や取引先に進捗を開示します。開示の品質は第三者保証の有無で評価が分かれます。
電力調達の観点では、①再エネ100%プラン、②非化石証書の自主購入、③コーポレートPPAの3択です。コストは①と②が近く、③は長期契約で単価を固定できる代わりに契約期間が10年以上と長くなります。
Scope2の報告では「マーケット基準」と「ロケーション基準」の両方を開示するのが原則で、マーケット基準ではトラッキング付き非化石証書や再エネメニューを反映できます。
このテーマの理解を深めたら、シミュレーターで自社の電気料金リスクを確認しましょう。