請求額が上がると、再エネ賦課金だけが原因だと捉えられることがあります。しかし、法人の料金判断では、賦課金を含む総額だけでなく、 ベース単価そのものがどう動いているかを分けて確認する必要があります。
このページでは、再エネ賦課金を含まない推移データを前提に、2019年から2021年との比較で高止まり傾向を整理し、 実務上の見方を解説します。
再エネ賦課金は、太陽光・風力など再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT/FIP)を支えるために、電気使用量に 応じて電気料金に上乗せされる制度負担です。燃料費調整額とは別項目で、毎年度に単価が見直されます。
標準家庭(300kWh/月)で見ると、2012年度の月額66円から2026年度は月額1,254円まで上昇し、買い取り単価は約19.0 倍になっています。
ご提示いただいたデータをそのまま掲載しています。2023年度は単価が一時的に低下した一方、2024年度に大きく反発し、 2026年度は4.18円/kWhとなっています。
| 年度 | 適用期間 | 買い取り単価 | 昨年度比 | 標準家庭の負担(300kWh/月) |
|---|---|---|---|---|
| 2012年度 | 2012年8月分〜2013年3月分 | 0.22 円/kWh | – | 年額 792 円、月額 66 円 |
| 2013年度 | 2013年4月分〜2014年4月分 | 0.35 円/kWh | +0.13円(+59%) | 年額 1,260 円、月額 105 円 |
| 2014年度 | 2014年5月分〜2015年4月分 | 0.75 円/kWh | +0.40円(+114%) | 年額 2,700 円、月額 225 円 |
| 2015年度 | 2015年5月分〜2016年4月分 | 1.58 円/kWh | +0.83円(+111%) | 年額 5,688 円、月額 474 円 |
| 2016年度 | 2016年5月分〜2017年4月分 | 2.25 円/kWh | +0.67円(+42%) | 年額 8,100 円、月額 675 円 |
| 2017年度 | 2017年5月分〜2018年4月分 | 2.64 円/kWh | +0.39円(+17%) | 年額 9,504 円、月額 792 円 |
| 2018年度 | 2018年5月分〜2019年4月分 | 2.90 円/kWh | +0.26円(+10%) | 年額 10,440 円、月額 870 円 |
| 2019年度 | 2019年5月分〜2020年4月分 | 2.95 円/kWh | +0.05円(+2%) | 年額 10,620 円、月額 885 円 |
| 2020年度 | 2020年5月分〜2021年4月分 | 2.98 円/kWh | +0.03円(+1%) | 年額 10,728 円、月額 894 円 |
| 2021年度 | 2021年5月分〜2022年4月分 | 3.36 円/kWh | +0.38円(+13%) | 年額 12,096 円、月額 1,008 円 |
| 2022年度 | 2022年5月分〜2023年4月分 | 3.45 円/kWh | +0.09円(+3%) | 年額 12,420 円、月額 1,035 円 |
| 2023年度 | 2023年5月分〜2024年4月分 | 1.40 円/kWh | -2.05円(-59%) | 年額 5,040 円、月額 420 円 |
| 2024年度 | 2024年5月分〜2025年4月分 | 3.49 円/kWh | +2.09円(+149%) | 年額 12,564 円、月額 1,047 円 |
| 2025年度 | 2025年5月分〜2026年4月分 | 3.98 円/kWh | +0.49円(+14%) | 年額 14,328 円、月額 1,194 円 |
| 2026年度 | 2026年5月分〜2027年4月分 | 4.18 円/kWh | +0.20円(+5%) | 年額 15,048 円、月額 1,254 円 |
2012年度から2026年度までの買い取り単価と、標準家庭(300kWh/月)の月額負担を可視化しています。2023年度の 一時的な低下と、2024年度以降の反発が読み取れます。
今回の2019年から2025年の年平均データは、再エネ賦課金を含まない単価です。つまり、請求書上の一時的な負担項目ではなく、 電気料金のベースに近い部分の動きを見ています。
そのため、ここで確認できる上昇は「賦課金が高いから上がっている」という説明だけでは捉えきれません。ベースコスト側の変化を読み取ることが重要です。
再エネ賦課金を除いたデータでも、2025年は2019年から2021年平均を上回っています。特別高圧は約52%、高圧は約41%、 低圧電灯は約24%、低圧電力は約18%高い水準です。
この傾向は、請求明細の一項目だけでなく、契約単価や調達条件を含む基礎部分の見直しが必要なことを示しています。
請求額は、使用量、季節、補助金、各種調整項目で短期的に見え方が変わります。これだけで判断すると、 料金環境が改善したのか、単に一時的に抑えられているだけなのかを見誤る可能性があります。
法人の実務では、ベース単価がどの水準にあるのかを先に押さえ、そこに補助や制度要因がどう重なるかを分けて見ると、 契約見直しの優先順位を付けやすくなります。
ベース単価の高止まりを考えるときは、特定項目だけでなく複数要因の重なりを前提に見ることが大切です。一般的には次のような要因が影響します。
A.2014年から2024年で平均約40〜60%上昇。特に2022年のウクライナ戦争後は年間20%以上の上昇を経験した企業も多く、高騰・高止まりが続いています。業種・契約種別により上昇率は異なります。
A.燃料価格の国際動向、再エネ普及ペース、制度改正(GX-ETS・化石燃料賦課金)、地政学リスクで変動します。2030年までは構造的な上昇圧力が続き、大幅な低下は期待しにくい見通しです。
A.はい。火力依存度が高いエリア(東京・北海道)は燃料高騰の影響を強く受け、再エネ比率が高いエリア(九州・四国)は比較的安定する傾向があります。エリア別のモニタリングが重要です。
A.電力多消費業種(製造業・データセンター・冷凍倉庫)は上昇率も大きく、経営インパクトが直接的。サービス業・小売は電気代比率が小さく影響は緩やかですが、月次変動は無視できません。
A.年率3〜6%の上昇シナリオを基本に、保守・標準・高騰の3シナリオで試算。PPA等の長期契約・省エネ投資・再エネ調達などヘッジ手段を組合せて、年次で見直すことを推奨します。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
賦課金以外の要因も含めて見ると、契約見直しの論点を整理しやすくなります。
請求総額だけでなく、単価構造まで確認しながら比較すると、自社に合う契約条件を判断しやすくなります。
記事を読んで気になった点があれば、エネルギー情報センターにお気軽にご相談ください。法人・自治体の電力契約に精通したスタッフが、中立的な立場で判断材料を整理します。初回相談は無料です。
中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。