EMERGENCY / 緊急対応
新電力会社から「契約を解除する」「供給を停止する」という通知が届いた瞬間、電力供給が途絶えるカウントダウンが始まります。 最終保障供給への自動移行があるため即座に停電になることはありませんが、 料金は大幅に上昇します。このページでは通知受領当日から切替完了までの 初動・手続き・切替先選定を時間軸で整理しています。
通知書面の内容確認(当日)
契約解除日・供給停止日・解除理由・連絡窓口を確認する。供給停止日が明記されている場合、その日から逆算してスケジュールを組む。
一般送配電事業者への連絡(翌日以内)
供給停止が差し迫っている場合、最終保障供給への自動移行が可能かどうかを地域の一般送配電事業者(東京電力パワーグリッドなど)に確認する。
経営層・財務への速報(翌日以内)
供給停止リスク・最終保障供給移行時のコスト影響・切替スケジュールの概要を速報する。意思決定を早期に仰ぐことで行動スピードが上がる。
電力使用量データの取得(翌日以内)
過去12〜24カ月の使用量データ(30分コマ別が望ましい)を新電力または一般送配電事業者から即日取得依頼する。切替見積もりに必須。
切替候補の相見積もり開始(3日以内)
最低3社に並行して見積もりを依頼する。緊急時はエネルギーブローカーや一括比較サービスの活用が有効。条件は若干緩めてでも供給確保を優先する。
切替先の決定・手続き開始(1週間以内)
供給停止日から逆算し、切替完了に必要な期間(通常30〜60日)を確保できる候補を優先する。完了が間に合わない場合は最終保障供給を一時利用する計画も同時進行させる。
新電力への違約金・未払い請求の確認(2週間以内)
契約解除に伴う違約金・精算金の請求が来る可能性がある。契約書の解除条件を確認し、不当な請求については法律的な観点から対応を検討する。
| タイミング | やること | 優先度 |
|---|---|---|
| 当日 | 通知内容確認・供給停止日の把握・スケジュール逆算 | ★★★ |
| 翌日以内 | 一般送配電事業者へ連絡・使用量データ取得依頼・経営層速報 | ★★★ |
| 3日以内 | 最低3社への見積もり依頼完了 | ★★★ |
| 1週間以内 | 切替先の決定・申込手続き開始 | ★★★ |
| 2週間以内 | 新電力との精算・違約金確認・書面での確認完了 | ★★ |
| 30〜60日後 | 新供給会社からの供給開始・切替完了の確認 | ★★★ |
Q1: 供給停止日まで30日以上あるか?
Q2: 新電力が事実上倒産・廃業状態か?
Q3: 解除の責任は新電力側にあるか?
| 解除原因 | 状況の特徴 | 対応策 |
|---|---|---|
| 新電力の事業撤退・廃業 | 会社ごと事業を停止するケース。複数の顧客が同時に影響を受ける。 | 最終保障供給への自動移行を確認しつつ、即座に切替先を探す。敷金・保証金の回収も並行して対応。 |
| 燃料費高騰による供給コスト超過 | 市場価格が契約料金を超え、供給を継続できなくなるケース。 | 次の契約では燃調上限ありの固定料金メニューを優先。同じリスクを繰り返さない契約条件を確認。 |
| 特定エリア・電圧区分からの撤退 | 一部の地域や電圧区分(高圧など)から選択的に撤退するケース。 | 同エリア・同電圧区分で供給実績のある電力会社を優先的に選定。 |
| 新電力の経営悪化・信用不安 | 倒産前の段階で契約を終了させるケース。前兆として料金の支払い遅延などがある場合も。 | 財務健全性の高い電力会社(大手電力・財務情報公開の新電力)へ切替を検討。 |
✕ 通知を無視・後回しにする
供給停止日は待ってくれません。通知を受け取った当日に対応を開始しないと、最悪の場合は電力供給が途絶えるリスクがあります。
✕ 新電力の言いなりで違約金を即支払う
契約解除の責任が新電力側にある場合、違約金の支払いは不要なことがあります。契約書を確認し、必要に応じて法的助言を求めてください。
✕ 1社だけ打診して決定する
緊急時でも相見積もりは必須です。「緊急だから仕方ない」と高い料金を受け入れると、その後も高コストが継続します。
✕ 最終保障供給をゴールにする
最終保障供給は最長9カ月の緊急避難的な制度です。ここに長期在籍することはコストが非常に高くなります。あくまでも次の供給先が決まるまでの一時的措置として扱ってください。
✕ 口頭だけで電力会社に問い合わせる
すべての問い合わせ・合意はメールまたは書面で行い、記録を保管してください。口頭でのやり取りは後日トラブルの原因になります。
| 報告先 | タイミング | 報告内容 |
|---|---|---|
| 経営層(社長・役員) | 当日〜翌日 | 解除通知の事実・供給停止日・コスト影響・対応方針案 |
| 財務・経理部門 | 翌日以内 | 最終保障供給移行時の追加コスト・切替完了までの期間とコスト見込み |
| 施設管理・総務部門 | 翌日以内 | 切替活動の開始・見積もり取得の進捗・電力供給の継続性確認 |
| 法務部門 | 1週間以内 | 解除通知の法的妥当性・違約金・精算金の確認 |
以下に該当する場合は、自社だけでの対応は困難です。専門家への無料相談をご活用ください。
Q. 新電力が廃業した場合、電気はすぐに止まりますか?
A. 新電力が廃業しても電力供給は即座には止まりません。地域の一般送配電事業者による最終保障供給に自動的に移行し、最大9カ月間は電力の供給が継続されます。ただし料金は大幅に上昇します。
Q. 最終保障供給に移行したら何をすればいいですか?
A. 最終保障供給は緊急避難的な制度です。移行後は即座に切替先の選定を開始し、通常30〜60日かかる切替手続きを進めてください。期間内(最大9カ月)に完了しないと供給の保証がなくなります。
Q. 新電力が一方的に契約解除した場合、違約金は誰が払いますか?
A. 原則として、一方的な解除を行った側(新電力)が損害賠償責任を負います。ただし契約書の内容によって異なります。解除通知を受け取ったら、契約書を確認し、必要に応じて法律の専門家に相談してください。
Q. 緊急で切替先を探す効率的な方法はありますか?
A. エネルギーブローカーまたは一括比較・マッチングサービスを利用すると、複数社への同時打診が可能です。また経済産業省が公表している電力小売事業者リストから、自社の電圧区分に対応した事業者を確認することも有効です。
Q. 切替手続きに必要な書類は何ですか?
A. 主に必要なものは①現在の供給設備情報(電力需給地点特定番号=供給地点番号)②過去の使用量データ③法人登記情報です。供給地点番号は現在の請求書または一般送配電事業者に確認できます。
Q. 緊急時でも相見積もりは必要ですか?
A. 必要です。「緊急だから」と1社だけで決めると、市場相場より高い料金を承諾してしまうリスクがあります。時間が限られていても最低3社に並行して打診し、比較することが重要です。
Q. 同じ問題が起きないようにするには?
A. 次の契約では①供給会社の財務健全性②固定料金型か市場連動型かの確認③中途解約条件と違約金④複数年契約の安定性を確認してください。また定期的に供給会社の経営状況をモニタリングする体制を整えることも重要です。
A.①一般送配電事業者に最終保障供給を申込み、②並行して新しい小売事業者の見積取得、③切替手続き、の順で進めます。空白期間を作らないことが最優先です。
A.新電力との新規契約で通常1〜2ヶ月、最終保障供給は数日〜2週間。緊急性が高い場合は特急対応してくれる事業者もあります。
A.①BCP発動、②非常用電源起動、③節電要請レベル別アクション実施、④業務優先度に応じた縮退、⑤顧客・取引先への通知、を準備しておきます。
A.①BCP計画書、②緊急連絡網、③非常用電源確保、④代替供給先候補リスト、⑤現契約の解約・違約金条項把握、の5点を平常時に整備します。
A.①通知内容を精査(理由・幅・実施日)、②複数社で見積取得、③切替か継続か判断、④違約金条項を確認、⑤期限内に意思決定、を進めます。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
当法人は法人向け電気料金の高騰リスク分析・脱炭素対応支援を行う非営利法人です。本記事は公的データ(経済産業省・OCCTO・JEPX・環境省等)と実務知見を基に編集しています。
この記事の著者: 江田 健二(一般社団法人エネルギー情報センター 理事 / RAUL株式会社 代表取締役)— 電力・エネルギー業界20年以上、書籍20冊以上執筆、内閣府・中小企業庁・商工会議所登壇多数プロフィール →
新電力からの解除通知に対応するため、シミュレーターで現状を把握し、専門家に相談して切替先を素早く確保しましょう。
記事を読んで気になった点があれば、エネルギー情報センターにお気軽にご相談ください。法人・自治体の電力契約に精通したスタッフが、中立的な立場で判断材料を整理します。初回相談は無料です。
中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。