当法人は法人向け電気料金の高騰リスク分析・脱炭素対応支援を行う非営利法人です。本記事は公的データ(経済産業省・OCCTO・JEPX・環境省等)と実務知見を基に編集しています。
この記事の著者: 江田 健二(一般社団法人エネルギー情報センター 理事 / RAUL株式会社 代表取締役)— 電力・エネルギー業界20年以上、書籍20冊以上執筆、内閣府・中小企業庁・商工会議所登壇多数プロフィール →
SUBSIDY / 補助金・助成金
SBT認証・脱炭素経営支援の活用
大手企業からのサプライチェーン脱炭素要請や投資家のESG評価対応に追われる企業が増えています。 環境省の「SHIFT事業」はGHG排出量の算定・削減計画策定・SBT認証取得に係る費用を支援する制度で、 電力コスト削減につながる省エネ・再エネ投資と組み合わせることで経営上のメリットを最大化できます。
2025年以降、上場企業へのTCFD開示義務化や欧州CSRDの適用拡大により、 日本企業はサプライチェーン全体のGHG排出量(Scope1〜3)の把握と削減計画の開示を求められています。 これは大企業だけでなく、サプライチェーン上の中小・中堅企業にも波及しています。
SHIFT事業はこうした背景を受け、GHG算定・削減計画策定・認証取得という「脱炭素の入口」を補助します。 計画策定後に省エネ設備更新(SII補助金)や再エネ調達(PPA補助金)を実施することで、 電力コストの削減と脱炭素経営の両立が現実的な選択肢になります。
※ 補助率・上限額・公募時期は年度により変更されます。必ず環境省の最新公募要領をご確認ください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業名 | 脱炭素化に向けた省エネ等の推進事業(SHIFT事業) |
| 実施機関 | 環境省 |
| 主な支援内容 | GHG排出量算定・削減計画策定・SBT等認証取得費用、省エネ設備導入 |
| 補助率(目安) | 対象費用の概ね1/2〜2/3以内(事業区分・規模による) |
| 補助上限額(目安) | 計画策定支援: 最大2,000万円 / 設備導入支援: 最大1億円(中小)、最大5,000万円(大企業) |
| 対象企業 | SBT認証の取得を目指す企業、GHG排出削減計画を策定する中小〜大企業 |
| 公募時期(目安) | 2026年6月〜8月(一次公募予定)※環境省公式サイトで要確認 |
| 採択率(参考) | 過去実績から概ね50〜60%程度(年度・区分により変動) |
| 特徴 | 削減計画策定後の設備投資(SII省エネ補助金・PPA補助金)との組み合わせが効果的 |
※ 以下は2026年4月時点の概算です。正式な上限額・補助率は公募要領でご確認ください。年度途中の変更・追加公募の可能性があります。
| 支援区分 | 補助率(目安) | 中小企業 上限額(目安) | 大企業 上限額(目安) |
|---|---|---|---|
| 計画策定支援(GHG算定・SBT申請等) | 2/3以内 | 最大2,000万円 | 最大2,000万円 |
| 設備導入支援(省エネ・再エネ設備) | 1/2以内 | 最大1億円 | 最大5,000万円 |
※ 採択率は過去実績から概ね50〜60%程度とされていますが、年度・区分・申請内容により変動します。申請書の完成度が採否を大きく左右します。
サプライチェーン排出量(Scope1〜3)の算定に係るコンサルタント費用・システム費用
SBT・RE100等の認定基準に沿った削減目標・行動計画の策定コンサルタント費用
SBT(Science Based Targets)の申請・審査費用の一部
専門機関による省エネ診断の実施に係る費用
脱炭素化推進のための社内研修・教材作成費用(条件による)
※ 補助対象費用の範囲は年度・区分により異なります。必ず最新公募要領で確認してください。
※ 以下はあくまで想定例です。実際の補助額・効果は事業規模・区分・申請内容により異なります。
※ SBT取得によりサプライチェーン要請をクリアする中小企業が増加中
※ SHIFT事業で計画を策定し、SII補助金で設備更新する二段活用が効果的
※ グループ全体でのGHG管理体制構築に有効
SHIFT事業で「脱炭素削減計画」を策定した後、その計画に沿って省エネ設備投資(SII補助金)や 再エネ調達(需要家主導型PPA補助金)を実施すると、電力コスト削減と脱炭素化が同時に進みます。
※ 各補助金の同一設備への重複申請は不可です。費用の内訳を整理したうえで申請計画を策定してください。
公募要領の確認・区分の選択
SHIFT事業は複数の区分に分かれている場合があります。自社の状況(中小・中堅・大企業、Scope1〜3の対象等)に合った区分を選択する。
GHG排出量の現状把握
現状のScope1〜3排出量を概算でも把握しておくと申請書の説得力が増す。既存の環境報告書や電力使用量データを活用する。
コンサルタント・実施機関の選定
SHIFT事業では登録コンサルタント等を経由する場合があります。補助金申請実績のある事業者を選ぶと採択率が上がる傾向があります。
事業計画書・申請書の作成
削減目標・スケジュール・予算計画を明記する。電力コスト削減への具体的な言及が評価される。
採択・計画策定の実施
採択後に計画策定を開始。途中報告が求められる場合があります。
完了報告・補助金受領
計画策定完了後に実績報告書を提出して補助金を受領する。
SHIFT 事業の活用パターンは、業種ごとの脱炭素施策の優先度で変わります。下記は業界の典型値レンジで、自社の業種・規模・既存設備状況に応じて選定するのが実務的です。
製造業(電化転換型)
物流業(電動化+冷蔵電化型)
商業施設(高効率設備型)
ホテル業(給湯電化型)
出典: 環境省 SHIFT 事業公開資料、業界平均レンジで作成。実数値は事業区分・規模で変動します。
SHIFT事業は計画策定を支援しますが、その後の設備投資は別の補助金(SII等)を組み合わせる必要があります。計画策定後のロードマップを見据えて動くことが重要です。
SBT申請費用のうち補助対象外となる費用がある場合があります。公募要領で補助対象費用の定義を必ず確認してください。
採択後に実際の削減施策が進まないと、次回の申請や顧客への説明に矛盾が生じます。実行可能な目標設定が重要です。
GHG算定にはScope2(電力由来)の正確なデータが必要です。事前に電力使用量の実績データを取引電力会社から入手しておきましょう。
本ページの情報は2026年4月時点の公開情報をもとにしています。補助金制度は年度ごとに内容・補助率・上限額が変更される場合があります。 申請前に必ず各実施機関の最新公募要領をご確認ください。
A.省エネ補助金、カーボンニュートラル投資促進税制、レジリエンス強化型蓄電池導入支援、各自治体独自補助金など。年間100種類以上の制度があります。
A.①経産省・環境省・自治体の補助金検索サイト、②商工会議所の補助金相談、③業界団体の情報提供、④認定支援機関への相談、の4ルートが効率的です。
A.制度により大きく異なり、20%〜80%のレンジ。中小企業向けは比較的高め、大型補助金は競争率が高い傾向。事業計画書の品質が採択を左右します。
A.原則として同一事業に対する複数補助金の併用は不可。ただし、設備別・部門別・税制との組合せで複数活用は可能。事前に補助事業者・税理士と確認します。
A.①公募開始前から準備、②事業計画書の練り込み、③見積書・図面など添付書類整備、④採択後の実績報告対応、⑤会計処理(圧縮記帳等)、の5点に注意します。
①GHG 排出量算定・SBT 等認証取得に係る費用(コンサルティング・第三者検証費用等)、②脱炭素削減計画策定費用、③設備導入支援(高効率設備・燃料転換設備)の 3 系統が対象です。計画策定支援は最大 2,000 万円、設備導入支援は中小企業で最大 1 億円・大企業で最大 5,000 万円が上限の目安です。
業種制限は基本的になく、製造業・商業・サービス業・物流業など幅広い業種が対象です。代表的な転換パターンは①ガス → 電気(高効率ヒートポンプ・電気ボイラー)、②石油 → 電気(電化設備・蓄熱式)、③化石燃料 → バイオマス・水素、の 3 系統で、CO2 排出削減量と経済性のバランスで選択します。
業界平均レンジとして、過去 3 年(2024〜2026 年度)の補助率は対象費用の 1/2〜2/3 以内が目安です。中小企業ほど補助率が高く設定される傾向があり、SBT 認証取得済み・取得申請中の企業は加点評価される事例があります。年度・区分で変動するため、最新の公募要領で要確認です。
①GHG 排出量の算定実績(Scope 1・2 必須、Scope 3 推奨)、②脱炭素削減計画の策定(中長期目標含む)、③SBT 等の第三者認証取得(または取得意思)、④設備投資計画の妥当性、⑤財務健全性の 5 点が標準的な前提条件です。GHG 算定が初めての企業は、計画策定支援を先行で受けてから設備導入支援に進むのが定石です。
過去採択事例の傾向として、製造業(電化転換)・物流業(電動車両・冷蔵倉庫電化)・商業施設(高効率空調・冷凍機)・ホテル業(ヒートポンプ給湯・電化厨房)が多く見られます。CO2 削減量と費用対効果のバランスが良い事業が高採択率となる傾向があり、業界平均で概ね 50〜60% 程度の採択率と言われています。
①公募要領確認(環境省公式サイト)、②申請書類準備(事業計画書・GHG 算定資料・設備仕様書等)、③SII 等の窓口へ電子申請、④審査・採択発表(公募から 2〜3 か月)、⑤交付決定・事業実施、⑥実績報告・補助金支払い、の 6 ステップが標準フローです。設備発注は交付決定後でないと補助対象外となる点に注意が必要です。
著者: 江田健二(一般社団法人エネルギー情報センター 代表理事)
公開日: 2026-04-17
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
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容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
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GHG削減計画を策定するには、現在の電力使用量・コスト・排出量の実態把握が必要です。シミュレーターで電力コストのリスク診断をまず行ってください。
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