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宿泊・レジャー系 / シティホテル・リゾートホテル

シティホテル・リゾートホテルの電気料金はなぜ上がりやすい?値上がりリスク・契約プラン・見直しポイント

シティホテルは客室・レストラン・宴会場・スパ等の複合施設で24時間稼働し、稼働率が下がっても電力コストが下がりにくい業態です。消費構造、上がりやすい理由、契約プランの考え方、見直しの方向性を整理します。

このページで分かること

  • 複合施設としての電力消費の重なり方と、共用部の固定負荷が利益に与える影響
  • 施設タイプ別の消費中心(空調・給湯・照明など)と、請求書で見るべき分解の観点
  • 固定単価・市場連動の考え方と、設備・運用・EMSを含めた見直しの進め方

水道光熱費の目安

売上高の5〜8%

フルサービス型では6〜8%前後、温泉を有する施設では7〜10%以上になるケースもあります。100室規模のシティホテルで月間100万〜200万円程度、大規模施設では年間1億円を超えることもあります。

電気代の位置づけ

光熱費の約60〜70%

光熱費全体の中で電気代が占める割合は最も大きく、電力コストの管理がホテル経営の収益に直結します。

稼働率とコスト

閑散期でも共用は維持

客室稼働率が下がっても、ロビー・廊下・セキュリティなど共用部の空調・照明は止めにくく、売上に対するコスト比率が悪化しやすい構造があります。

シティホテル(宴会場あり)の電力構成イメージ

施設タイプによって中心となる設備は変わりますが、宴会場の大きいシティホテルでは空調と照明の比率が目立ちやすいです。リゾートホテルでは給湯やプール関連の比率が上がる点も押さえておきたいところです。

空調

30〜35%

客室・宴会場・ロビーなど、快適性維持のための負荷が重なります。

照明

20〜25%

客室・共用部・宴会場の照明。演出要件も含めて比率が上がりやすいです。

給湯・ポンプ・エレベーター等

15〜20%

給湯ポンプや揚水、エレベーターなど動力系が積み上がります。

厨房

10〜15%

レストラン・宴会厨房の稼働に連動して変動します。

その他

5〜10%

細目の動力や付帯設備など、施設によって差が出ます。

シティホテル・リゾートホテルの電気料金はなぜ上がりやすいのか

シティホテルやリゾートホテルは、法人の中でも電力消費の構造が複雑で、かつコスト管理が難しい業態のひとつです。その理由は、客室・レストラン・宴会場・ロビー・スパ・駐車場など多岐にわたる施設が、それぞれ異なる時間帯に異なる負荷を生むためです。24時間稼働が前提であり、深夜でもロビー・廊下・セキュリティの照明と空調、サーバー類は止められません。

宿泊業における水道光熱費は、売上高の5〜8%が目安とされています。シティホテルやフルサービス型では6〜8%前後、温泉を有する施設では7〜10%以上になるケースもあります。100室規模のシティホテルで月間100万〜200万円程度、大規模施設では年間1億円を超えることもあります。

光熱費全体の中で電気代が占める割合は約60〜70%と最も大きく、電力コストの管理がホテル経営の収益に直結します。

スーパーマーケットが「冷蔵・冷凍設備を止められない」ことを課題に持つのに対し、ホテルは「客室の快適性、宴会場の演出、厨房の稼働、すべてを止められない」という、より広い範囲での制約を持ちます。しかも、稼働率が下がっても共用部の電力コストは変わらないため、閑散期には売上に対するコスト比率が跳ね上がります。

この業種で電気を多く使う場所

省エネルギーセンターの調査によると、ホテルの電力利用の用途として大きいのは、照明・コンセント(22.4%)、空調(15.7%)、冷熱(14.2%)、温熱(10.7%)、給湯(9.9%)です。ただしこれは全体のエネルギーに占める電力の比率で、施設タイプによって大きく異なります。

シティホテル(宴会場あり)の場合:空調30〜35%、照明20〜25%、給湯ポンプ・エレベーター等15〜20%、厨房10〜15%、その他5〜10%。リゾートホテル(大浴場・プールあり)の場合:空調25〜30%、給湯(大浴場加温含む)20〜25%、照明15〜20%、プール関連10〜15%、その他10〜15%。

つまり、ホテルの電気料金を考えるときは、施設タイプごとに「何が消費の中心か」を把握する必要があります。宴会場が大きいシティホテルでは空調と照明、大浴場を持つリゾートホテルでは給湯が、それぞれ最大の消費要因になります。

1日の負荷イメージ(チェックイン〜夜間まで)

日中は相対的に落ち着き、夕方以降のチェックインや宴会に合わせて負荷が上がりやすいパターンの一例です。共用部は深夜帯も一定のベース負荷が残りやすい点が、ホテル特有の土台になります。

※概念図であり、施設・運用条件により異なります。

給湯負荷は24時間の中で朝(7〜9時)と夜(22時前後)の「2こぶ型」になるのが特徴です。チェックイン後の入浴と朝の身支度・朝食時間帯に集中します。

シティホテル・リゾートホテルの電気料金が上がりやすい理由

稼働率が下がっても電力コストが下がりにくい

ホテルの電力消費の大部分はロビー、廊下、エレベーター、セキュリティ等の共用部で発生します。客室稼働率が50%に下がっても、共用部の空調・照明は100%稼働が必要です。閑散期でも電力コストの固定部分は大きく変わらないため、売上に対する電力コスト比率が悪化します。

宴会場の使用が消費を大きく変動させる

宴会が集中する週末や繁忙期には、宴会場の照明・空調・厨房が一気に稼働し、消費がスパイク的に増加します。宴会場は普段使っていない時間帯が長いため、稼働日のデマンド値が基本料金を押し上げるリスクがあります。

給湯のエネルギー消費が大きい

ホテルは大量の温水を必要とします。客室のシャワー・バス、厨房の洗浄、大浴場(ある場合)の加温と循環。給湯はガスとの併用が一般的ですが、ヒートポンプ式給湯の場合は電力消費が大きくなります。

インバウンド需要の変動

為替や外交関係によるインバウンド需要の変動は稼働率を左右しますが、電力コストの固定部分は変わりません。インバウンドが減少した月でも電力コストは同じ水準で発生するため、収益が圧迫されやすいです。

24時間稼働で消費の谷が浅い

チェックイン(15時〜)からチェックアウト(〜11時)にかけて客室の消費がピークとなりますが、共用部は24時間稼働のためベースロードが高い「フラット型に近い」パターンです。

ホテルで電気料金が重くなりやすい流れ(整理)

1. 共用部の固定負荷

ロビー・廊下・セキュリティなど、稼働率に関わらず維持が必要な消費が土台になりやすい

2. 宴会・給湯などの変動要因

宴会日の立ち上げや給湯の二こぶ型など、時間帯で負荷が跳ねやすい

3. 単価・調整項目の上昇

燃料費調整や再エネ賦課金など、使用量が大きい施設ほど影響が積み上がりやすい

4. 収益への波及

稼働率低下と重なると、売上に対するコスト比率の悪化として現れやすい

請求書や見積書で確認したいポイント

ホテルが電気料金を見直すときは、まず「部門別」の消費比率を把握することが重要です。客室、宴会場・レストラン、ロビー・共用部、厨房、大浴場(ある場合)、駐車場のそれぞれがどの程度の消費を占めているかを分解します。

デマンド値の推移は、宴会がある日とない日で分けて見ます。宴会日にのみデマンド値が跳ね上がっている場合、宴会開始前の空調・照明の段階的立ち上げでデマンドを抑制できる可能性があります。

稼働率と電力消費量の相関も確認します。稼働率が下がっても消費がほとんど変わらない場合、共用部の固定消費が大きすぎる可能性があり、不在フロアの空調停止等の運用改善が必要です。

燃料費調整単価の推移、再エネ賦課金の改定額も確認します。年間の電力消費量が大きいホテルでは、再エネ賦課金(2026年度4.18円/kWh)だけで年間数百万円の負担になっています。

部門別の見える化

単に「全体の単価」だけでなく、どの部門がどの比率で押し上げているかを把握すると、運用改善と投資判断がつながりやすくなります。

宴会日/非宴会日の切り分け

デマンドの山が宴会に紐づいているかどうかは、基本料金の見え方に直結しやすい確認ポイントです。

シティホテル・リゾートホテルに合いやすい契約プラン

大規模ホテルは消費量が大きいため、電力会社との交渉力があります。ただし、「ゲストの快適性」が最優先であるため、市場連動型プランで価格が高い時間帯に空調を落とすといった対応は困難です。

固定単価型プランのメリット

年間の電力コストを予測しやすく、宿泊料金の設定や予算管理に反映しやすいです。稼働率の変動が大きいホテルでは、電力コストだけでも安定させたいというニーズに合います。

固定単価型プランのデメリット

市場価格が下がった局面でもメリットを取り込めません。大規模ホテルは使用量が大きいため、固定で高止まりした場合のインパクトも大きいです。

市場連動型プランのメリット

市場価格が安定している時期にはコスト削減効果が期待できます。EMSが導入済みで、宴会場の非利用時等に細かな制御が可能であれば、一定のメリットは得られます。

市場連動型プランのデメリット

客室の空調を市場価格に応じて変動させることは事実上不可能です。宿泊客の快適性に影響を与える対応はできないため、市場連動型のリスク軽減余地は限定的です。繁忙期(年末年始、GW、お盆)に市場価格も高騰するリスクがあり、収入は増えてもコストも跳ね上がるという状況が起きえます。

2026年の米国・イラン情勢を踏まえると、どう考えるべきか

2026年春の中東情勢は、ホテルの電力コストに複合的に影響します。LNG供給不安による発電燃料コスト上昇は、燃料費調整単価を通じて電気料金を押し上げます。さらに、原油価格の高騰はガス料金(厨房・給湯)にも影響し、物流コストの上昇は食材費を押し上げます。ホテルはこれらすべてのコスト上昇を同時に受ける業態です。

インバウンド需要との関係も重要です。中東情勢が航空運賃に影響し、インバウンド客数が変動すると、稼働率が変わります。しかし、電力コストの固定部分は稼働率に関わらず発生し続けます。

  • 稼働率が不安定
  • 宴会場の利用頻度が減少傾向
  • 大浴場やプールを持ち給湯負荷が大きい
  • 空調設備が築15年以上で更新されていない
  • 電力契約を5年以上見直していない

というホテルは、2026年のような外部要因の大きい年ほど見直しの意味があります。

シティホテル・リゾートホテルで考えやすい対策

客室の在室・不在検知による空調・照明自動制御

最も投資効果が高い施策です。カードキー連動や人感センサーにより、ゲスト不在時(外出中)に客室の空調を抑制モード、照明を消灯にします。あるリゾートホテルでは、この仕組みにより電力使用量を15〜30%削減した事例があります。清掃時にもファンコイルを停止し、自然採光を活用する運用が推奨されています。

全館LED化と調光制御

照明は電力消費の20〜25%を占めるため、LED化の効果は大きいです。客室は電球色のLED、宴会場は調光対応LED、廊下は人感センサー制御と、エリアごとに最適な照明を選定します。

給湯のヒートポンプ化

ガスボイラーからヒートポンプ式給湯への切替は、特に大浴場を持つ施設で効果が大きいです。ヒートポンプは空気の熱を利用するため、エネルギー効率がガスボイラーの2〜3倍に達します。

宴会場の空調・照明の段階的立ち上げ

宴会開始の2〜3時間前から段階的に空調・照明を立ち上げることで、デマンド値のピークを抑えます。非利用日の宴会場は空調を最低限に抑えるルールを徹底します。

太陽光発電の設置

ホテルの屋上や駐車場は太陽光発電に適しています。PPAモデルであれば初期投資なしで導入可能です。日中の共用部電力を一部自賄いでき、再エネ賦課金の実質低減にもつながります。

EMSの導入によるエネルギーの見える化

部門別・時間帯別のエネルギー消費を「見える化」し、各部門の省エネ意識を高めます。ある事例では、EMSの導入で省エネ率20.2%、年間5,700万円のコスト削減を達成しています。

どんなホテルが早めに見直したいか

  • 水道光熱費が売上高の8%を超えている
  • 閑散期でも電気代がほとんど変わらない
  • 宴会場の利用頻度が減少している
  • 客室の在不在連動の空調制御がない
  • 空調設備が築15年以上
  • 照明のLED化率が50%未満
  • 大浴場やプールの給湯がガスボイラーのまま
  • 電力契約を5年以上見直していない
  • EMSが導入されていない

まとめ

シティホテル・リゾートホテルの電気料金が上がりやすいのは、24時間稼働の複合施設で共用部の固定消費が大きく、稼働率が下がってもコストが下がりにくい構造があるためです。光熱費の60〜70%を電気代が占め、売上高の6〜8%に達します。

見直しの出発点は「単価が高いかどうか」だけではありません。部門別の消費分解、デマンド管理、客室の在不在連動制御、給湯の効率化、宴会場の運用ルール、EMSによる見える化まで含めた総合的な検討が必要です。2026年のようにエネルギー価格と為替が同時に変動する年ほど、契約と設備の両面での見直しに意味があります。

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比較や見直しを進める

ホテルでは、共用部の固定負荷と宴会・給湯などの変動要因が重なりやすいため、契約条件と運用・設備を切り分けずに確認することが重要です。比較ページやシミュレーションで、自社の負荷構造に合う見直し方を確認してください。