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医療・福祉系 / 総合病院(200床以上)

総合病院の電気料金はなぜ上がりやすい?値上がりリスク・契約プラン・見直しポイント

総合病院は、24時間365日の稼働とMRI等の高電力医療機器を前提に、電力の安定供給が患者の生命に直結する施設です。電力コストを診療報酬では転嫁できない中での消費構造、上がりやすい理由、契約プランの考え方、見直しの方向性を整理します。

このページで分かること

  • 総合病院で空調・照明・医療機器がどう請求額に響きやすいか
  • デマンド、供給安定性、BCPを含めて確認したいポイント
  • 2026年のエネルギー情勢も踏まえた契約と設備対策の考え方

主な負荷

空調と照明が中心

空調約38%、照明約37%が中心で、これに医療機器が重なって請求額の土台を作ります。

構成比の目安

空調・照明で約75%

まずは大きい2費目を押さえ、そのうえで部門別の医療機器負荷を見分けたい業種です。

経営面の特徴

医業赤字割合 74.6%

診療報酬で転嫁しにくいため、電力コスト管理が経営継続とBCPの両面に関わります。

総合病院の電力構成イメージ

空調と照明が大きく、そこへ医療機器と動力設備が加わる構造です。

空調

約38%

病棟、手術室、ICU、検査室などで精密な温湿度管理が必要になりやすい領域です。

照明

約37%

病棟、廊下、診察室など広い範囲で長時間使用され、夜間も一定の照度維持が必要です。

医療機器

10〜15%

MRIやCTなどの大型機器は、待機電力や突入負荷まで含めて見たい項目です。

エレベーター・OA機器等

各4%程度

比率は大きくなくても、24時間稼働する施設では積み上がりが無視しにくくなります。

総合病院の電気料金はなぜ上がりやすいのか

総合病院は、法人の中でも電気料金の負担が極めて大きい施設のひとつです。その理由は、24時間365日の空調・照明・医療機器の稼働が前提であり、「電力を落とす」という選択肢がほぼ存在しないためです。500床規模の大病院では年間の電気代が1億円を超えるケースもあり、100床規模でも年間2,000万円以上になることは珍しくありません。四病院団体協議会の調査では、2024年度に100床あたりの電気料金が半期で約1,173万円に達しており、前年度比7.2%増となっています。

スーパーマーケットが「冷蔵・冷凍設備を止められない」ことを課題に持つのと同様に、病院は「空調・医療機器・照明のすべてを止められない」という、より広い範囲での制約を持ちます。しかも、電力コストの増加を診療報酬制度では転嫁できないという構造的な問題があります。診療報酬は公定価格であり、電力コストが上がっても患者負担に上乗せする仕組みがありません。つまり、電力コストの上昇は病院の利益をそのまま圧迫します。

医業赤字の病院割合が2024年度に74.6%に達している現状を踏まえると、電力コスト管理は病院経営の存続に関わる問題です。

この業種で電気を多く使う場所

総合病院で最も大きな電力消費を占めるのは空調設備です。省エネルギーセンターの調査によると、病院の消費電力は空調が約38%、照明が約37%を占め、この2つで全体の約75%に達します。これにエレベーター・OA機器が各4%程度、医療機器が10〜15%程度で続きます。

ただし、医療機器の消費は台数と使用頻度で大きく異なります。MRIは1台で年間10〜20万kWhを消費し、CT装置も撮影時に大きな瞬時電力を必要とします。手術室のクリーンルーム空調、ICUの精密温湿度管理、検査室の恒温恒湿環境など、一般的なオフィス空調とは質的に異なる空調が求められます。

さらに、入院患者用の給湯と厨房のガス消費も大きく、電力とガスの両方で大きなエネルギーコストを抱えます。総合病院の電気料金を考えるときは、空調と照明の合計が約75%を占める構造をまず見つつ、医療機器の消費を病棟・外来・診療の部門別に分解する必要があります。

総合病院の電気料金が上がりやすい理由

24時間365日稼働でベースロードが極めて高い

病棟の空調・照明は24時間止められません。夜間は照明を落としますが、患者の安全と快適性のため、空調は通年で維持する必要があります。外来が終了する夕方以降も、病棟、ICU、手術室、検査室、ナースステーション、サーバールームは稼働を続けます。消費の谷が浅い「フラット型」の消費パターンであり、ベースロードそのものが高い構造です。

手術室・クリーンルームの精密空調が高負荷

手術室は温度・湿度・清浄度を厳密に管理する必要があり、一般的な空調と比べて数倍のエネルギーを消費します。陽圧維持のための換気量も大きく、手術件数が多い平日の方が休日より消費が高くなる傾向があります。

MRI等の高電力医療機器

MRIは冷却システムが24時間稼働し、使用していない時間帯でも待機電力が大きい設備です。CT装置は撮影時に大きな突入電力が発生し、デマンド値を押し上げることがあります。

診療報酬で電力コスト増を転嫁できない

診療報酬は2年に1度改定されますが、電力コストの上昇がそのまま反映されるわけではありません。医業赤字の病院が74.6%に達している中で、電力コスト増は経営を直接圧迫します。

非常用電源の維持コストと夏冬のダブルピーク

患者の生命に関わるため、停電に備えた非常用発電機の維持が必須です。さらに、外来が集中する日中に空調・照明・医療機器の稼働がピークとなり、夏季は冷房負荷、冬季は暖房に加えて給湯負荷が増加します。

総合病院で電気料金が重くなりやすい流れ

1. 24時間の医療・病棟運営

病棟、ICU、検査室などで電力使用の谷が浅く、ベースロードが高止まりしやすい

2. 精密空調と大型医療機器

手術室空調やMRI、CTの負荷が重なり、デマンドと使用量の両方を押し上げやすい

3. 単価や外部要因の上振れ

燃料費調整や再エネ賦課金の影響を、大きい使用量のまま受けやすい

4. 経営とBCPへ波及

診療報酬で転嫁しにくく、供給安定性や非常用電源の確保まで課題になりやすい

請求書や見積書で確認したいポイント

総合病院が電気料金を見直すときは、まずデマンド値の推移を確認します。外来診療開始時の空調と医療機器の立ち上げが重なる時間帯にデマンド値が跳ね上がっていないかを見ます。CT撮影が集中する時間帯のピークも確認したい項目です。デマンド値が年間の基本料金を決めるため、ピーク管理は基本料金の削減に直結します。

次に、燃料費調整単価と再エネ賦課金の影響額を算出します。使用量が大きい総合病院では、再エネ賦課金だけで年間数百万〜千万円単位の負担になっていることがあります。この項目の年次推移を追うことで、外部要因によるコスト増のトレンドが見えます。

電力契約の種類と条件も確認します。特別高圧で受電している場合は複数社から見積もりを取る交渉力があります。一方で、新電力に切り替えている場合は、供給安定性や最終保障供給への移行リスクも確認する必要があります。設備面では、チラーの効率、ボイラーの運転状況、照明のLED化率、医療機器の待機電力管理状況を確認します。

総合病院に合いやすい契約プラン

総合病院は使用量が非常に大きいため、電力会社との交渉力が強い施設です。ただし、「電力供給の信頼性」が最優先であり、単価の安さだけで契約先を選ぶことは危険です。新電力の撤退リスクを考慮し、供給安定性と価格のバランスで判断する必要があります。

固定単価型プランのメリット

年間の電力コストを予測しやすく、病院経営の予算管理に適しています。診療報酬改定のサイクルに合わせた収支計画を立てる際に、電力コストの変動幅を抑えられることは大きなメリットです。24時間稼働で消費がフラットな病院では、固定単価型の安定性が特に活きます。

固定単価型プランのデメリット

市場価格が下がった局面でもメリットを取り込めません。ただし、病院の消費パターンは時間帯の調整余地が極めて小さいため、市場連動型のメリットも限定的です。固定単価型の方がリスク管理上は安全と考えやすいです。

市場連動型プランのメリット

市場価格が安定している時期にはコスト削減効果が期待できます。コージェネレーションや蓄電池を導入済みの病院であれば、市場価格が高い時間帯に自家発電で補い、安い時間帯に購入電力を増やすといった最適化も考えられます。

市場連動型プランのデメリット

病院では24時間すべての設備が稼働しており、電力市場価格が高い時間帯を避けることはほぼ不可能です。夏季の空調ピーク時に市場価格が高騰しても、患者のいる病棟の空調を止めることはできません。市場連動型のリスクは、他の商業施設以上に大きいと考えた方が安全です。

供給安定性を重視した選定

新電力の価格が魅力的でも、経営基盤が脆弱な事業者は避けるべきです。供給安定性の観点から、大手電力会社や経営基盤のしっかりした新電力を優先することが実務的です。

2026年のエネルギー情勢を踏まえると

2026年春の中東情勢の緊迫化は、病院の電力コストにも影響します。LNG調達リスクの顕在化は、燃料費調整単価の上昇を通じて電気料金を押し上げます。さらに、非常用発電機の燃料やボイラー用ガスの価格上昇も加わるため、病院が受けるエネルギーコストの影響は電気だけにとどまりません。

病院にとって大事なのは、「電気代がいくら上がるか」だけでなく、「電力の安定供給が維持されるか」という視点です。2026年のように地政学リスクが高まる局面では、非常用電源の燃料確保や運転計画の見直しが必要になります。

  • 非常用発電機の燃料在庫が少ない
  • 新電力の経営状況が不安定
  • 電力契約を5年以上見直していない
  • チラーやボイラーが築15年以上で更新されていない
  • MRIや大型医療機器の増設を予定している
  • エネルギーコストが医業収益の3%以上を占めている

総合病院で考えやすい対策

コージェネレーションの導入

病院はガスによる給湯・蒸気需要が大きいため、コージェネの熱利用効率が高く、導入効果が大きい業態です。停電時にも自立運転できるため、BCP対策にもなります。

高効率チラーへの更新

空調が全電力の約38%を占めるため、チラーの効率改善は最もインパクトの大きい施策です。15年以上前のチラーは、最新型と比べてCOPが30〜50%劣ることがあります。

手術室の非稼働時空調抑制

手術が行われていない時間帯に、手術室の空調を待機モードへ切り替えることで、清浄度を維持しつつ空調負荷を抑えられます。

LED照明への全面切替

照明が全電力の約37%を占めるため、LED化の効果は非常に大きいです。病棟の夜間照明、廊下・階段の人感センサー制御など、エリアごとの最適化が可能です。

医療機器の待機電力管理と太陽光・蓄電池

使用していない時間帯の医療機器の待機電力を管理することで、積み上がりの消費を抑えられます。加えて、屋上や駐車場への太陽光発電と蓄電池の導入は、日中ピーク対策とBCP対策を両立しやすい選択肢です。

どんな病院が早めに見直したいか

総合病院では、部門別に消費を分解し、どこにどれだけの負荷が集中しているかを把握することが見直しの出発点です。

  • 電力コストが医業収益の3%以上を占めている
  • チラーやボイラーが築15年以上で更新されていない
  • 照明のLED化率が50%未満
  • 手術室の非稼働時に空調がフル運転のまま
  • MRIやCTの増設を予定している
  • 新電力の契約で供給安定性に不安がある
  • 非常用発電機の燃料在庫が十分でない
  • 電力契約を5年以上見直していない

まとめ

総合病院の電気料金が上がりやすいのは、単に使用量が多いからではありません。24時間365日空調・照明・医療機器を止められず、手術室やMRIなどの高負荷設備を持ち、しかも診療報酬制度ではコスト増を転嫁できない構造があるためです。空調と照明で全電力の約75%、これに医療機器が加わり、ベースロードの高い「フラット型」の消費パターンです。

見直しの出発点は「単価が高いかどうか」だけではありません。部門別の消費分解、デマンド管理、設備効率、契約の供給安定性、BCPまで含めた総合的な検討が必要です。2026年のような国際情勢の不安定な年ほど、コージェネレーションや蓄電池によるBCP対策と、契約の供給安定性確保を同時に進める方が実務に合います。

医療・福祉系の関連業種

近い施設形態もあわせて見ると、負荷構造や見直しの優先順位の違いを整理しやすくなります。

比較や見直しを進める

総合病院では、契約単価だけでなく、24時間負荷、供給安定性、設備更新、BCPまでまとめて見ると判断しやすくなります。比較ページやシミュレーターで、自院に近い見直しの優先順位を確認してください。