CASE STUDY / 事例・削減実績
首都圏ビジネスホテル / 高圧受電(客室180室)
首都圏に立地する客室180室のビジネスホテルが、2023年に市場連動型電力プランへ切り替えたものの、 夏季・冬季のJEPXスポット価格高騰で電気代が予算を大幅に超過。 2024年4月に固定型プランへ再切り替えし、年間電気代を約592万円削減するとともに コスト予測の安定化を達成した事例です。 「安い」だけで選んだ市場連動プランのリスクと、固定プランの判断基準を詳しく解説します。
| 施設種別 | ビジネスホテル(シングル・ダブル中心) |
| 客室数 | 180室 |
| 立地 | 首都圏(東京電力管内) |
| 受電区分 | 高圧(6,600V) |
| 年間使用電力量 | 約1,450,000kWh |
| 市場連動プラン期間 | 2023年4月〜2024年3月(12ヶ月) |
| 固定プランへの切り替え | 2024年4月〜 |
| 施設の特徴 | 空調・給湯・照明の電力割合が高い。24時間稼働。 |
市場連動プランの実績値と、同期間に固定プランであった場合の試算値を比較
| 月 | 市場連動(実績) | 固定プラン(試算) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 3,820,000 | 2,980,000 | ▲840,000 |
| 2月 | 3,140,000 | 2,850,000 | ▲290,000 |
| 3月 | 2,650,000 | 2,520,000 | ▲130,000 |
| 4月 | 2,210,000 | 2,280,000 | +70,000 |
| 5月 | 2,180,000 | 2,290,000 | +110,000 |
| 6月 | 2,640,000 | 2,510,000 | ▲130,000 |
| 7月 | 3,980,000 | 2,890,000 | ▲1,090,000 |
| 8月 | 4,420,000 | 3,020,000 | ▲1,400,000 |
| 9月 | 3,310,000 | 2,870,000 | ▲440,000 |
| 10月 | 2,290,000 | 2,480,000 | +190,000 |
| 11月 | 2,850,000 | 2,620,000 | ▲230,000 |
| 12月 | 3,680,000 | 2,940,000 | ▲740,000 |
| 年間合計 | 37,170,000円 | 31,250,000円 | ▲5,920,000円 |
赤行は市場連動プランの方が安かった月(4月・5月・10月)。年間トータルでは固定プランが約592万円安い結果に。
1月
7月
8月
12月
年間ベースでの費目別比較(市場連動プラン実績 vs 固定プラン切替後)
| 費目 | 市場連動(年間) | 固定切替後(年間) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 電力量料金 | 約2,340万円 | 約1,890万円 | ▲450万円 |
| 市場価格調整額 | 約890万円 | なし(固定込み) | ▲890万円相当 |
| 基本料金 | 約480万円 | 約470万円 | ▲10万円 |
| 燃料費調整額 | 約980万円 | 約660万円(上限設定あり) | ▲320万円 |
| 再エネ賦課金 | 約480万円 | 約460万円 | ▲20万円 |
| 合計(年間) | 約3,717万円 | 約3,125万円 | ▲約592万円 |
※市場価格調整額は固定プランでは電力量料金に統合される形となるため、費目ベースの差額は参考値です。
このホテルが固定プランへの切り替えを決定した判断基準は以下の3点です。
宿泊客がいる以上、空調・給湯・照明を大幅に削減できない。市場価格高騰時にコスト回避手段がない。
賃借料・人件費と同様、電気代も固定費として管理する必要がある。月次P/L予測の精度が経営判断に直結。
固定プランの提示単価と市場連動の過去1年平均を比較し、固定プランの方が年間トータルで優位と試算。
「市場連動プランへ切り替えた当初は電気代が下がって喜んでいました。 ただ、夏に請求書を見て青ざめました。8月は前年比で180万円増でした。 固定に戻してからはコストが読めるようになり、財務計画の信頼性が格段に上がりました。 安定性を求める施設には固定プランが向いていると思います。」
― 管理部 総務・施設担当マネージャー
どちらが有利かは「節電余地があるか」「予算管理の優先度」「使用量の季節変動パターン」によって異なります。市場連動プランの仕組みとリスクと固定プランの特徴を合わせてご確認ください。
※本ページの事例は、複数の実務相談内容をもとに再構成したモデルケースです。数値は業界平均を参考にした概算値であり、実際の削減効果は条件により異なります。
A.①自社と類似業種・規模の事例から打ち手のヒントを得る、②投資判断の参考にする、③社内説明資料の根拠にする、の3用途が代表的です。
A.業種により異なり、製造業で5〜15%、商業施設で7〜20%、オフィスビルで10〜25%が一般的な削減レンジです。設備更新と運用改善の組合せで最大化します。
A.①規模・業種が似ているか、②削減手法が再現可能か、③前提条件(契約・地域・補助金)が近いか、④投資回収期間が現実的か、の4点を確認します。
A.「単価のみで切替→市場連動で大失敗」「準備不足での切替→空白期間発生」「過大な投資→回収困難」など、典型的失敗パターンを把握することが重要です。
A.業界団体の事例集、補助金事業の成果報告、コンサルティング会社の公開資料、本サイトの事例DBで入手可能。3〜5事例の比較が判断精度を高めます。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
現在の電気代・使用量・契約内容を入力することで、プラン変更の効果と高騰リスクを確認できます。
記事を読んで気になった点があれば、エネルギー情報センターにお気軽にご相談ください。法人・自治体の電力契約に精通したスタッフが、中立的な立場で判断材料を整理します。初回相談は無料です。
中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。