kW・kWh・kVAの違い
電気料金の請求書や見積書には、kW・kWh・kVAという3種類の単位が登場します。それぞれが「何を表すのか」「料金のどの部分に影響するのか」を正確に理解しておくことで、契約内容の妥当性を自分で検証できるようになります。このページでは具体例と表を使って、3つの単位の違いをわかりやすく整理します。
3つの単位を一言で整理する
まず、3つの単位の意味と役割を一覧でつかんでおきましょう。
| 単位 | 読み方 | 意味 | たとえるなら | 請求書での登場箇所 |
|---|---|---|---|---|
| kW | キロワット | ある瞬間の電力の大きさ | 水道の蛇口の太さ | 契約電力、デマンド値 |
| kWh | キロワットアワー | 一定時間に使った電力の量 | バケツに溜まった水の量 | 月間使用量、電力量料金 |
| kVA | キロボルトアンペア | 見かけ上の電力(皮相電力) | 蛇口から出る水の勢い(ロスを含む) | 変圧器容量、一部の契約電力 |
kWとkWhの違いを具体例で理解する
kWは「電力の大きさ(瞬間の消費速度)」、kWhは「実際に使った量(消費速度×時間)」です。 電気料金への影響も異なります。kWは基本料金(契約電力・デマンド)に、kWhは電力量料金に直接結びつきます。
| 状況 | kW(瞬間の電力) | 時間 | kWh(使った量) | 料金への影響 |
|---|---|---|---|---|
| エアコン1台を1時間運転 | 3kW | 1時間 | 3kWh | 電力量料金: 3kWh×16円=48円 |
| エアコン1台を8時間運転 | 3kW | 8時間 | 24kWh | 電力量料金: 24kWh×16円=384円 |
| エアコン10台を同時に1時間 | 30kW | 1時間 | 30kWh | 電力量料金: 30kWh×16円=480円 + デマンド30kWが契約電力に影響 |
| 工場の機械を朝一斉起動 | 500kW(ピーク) | 0.5時間 | 250kWh | デマンド500kWが契約電力→基本料金に直結 |
ポイント: kWが大きいと基本料金に、kWhが大きいと電力量料金に影響します。機械を一斉起動するような「瞬間的なピーク」が大きいと、使用量が少なくても基本料金が割高になるケースがあります。
kVAとkWの関係(力率の話)
kVAは「皮相電力」と呼ばれ、電気設備が見かけ上消費している電力の大きさを表します。実際に仕事に使われる電力(有効電力・kW)と、無効電力が合わさったものです。
計算式: kVA = kW ÷ 力率
力率85%の場合、100kWの実効電力を得るには約118kVAの皮相電力が必要になります。
力率が高いほど無駄な電力が少なく、電力会社から見ると「効率的な需要家」とみなされます。高圧・特別高圧の契約では、力率に応じて基本料金に割引または割増が適用されます。
| 力率 | 100kWの設備に必要なkVA | 力率割引/割増 | 基本料金への影響 |
|---|---|---|---|
| 100% | 100kVA | 15%割引 | 最も安い |
| 95% | 105kVA | 10%割引 | やや安い |
| 85%(基準) | 118kVA | ±0(基準) | 標準 |
| 75% | 133kVA | 10%割増 | やや高い |
| 65% | 154kVA | 20%割増 | 最も高い |
※ 力率による割引・割増率は電力会社・契約メニューによって異なります。上記は一般的な高圧契約の目安です。
請求書・見積書のどこに出てくるか
実際の電気料金請求書・電力会社からの見積書で、これらの単位がどの項目に使われているかを整理します。請求書を手元に置きながら確認してみましょう。
| 書類の項目 | 使われる単位 | 何を確認するか |
|---|---|---|
| 契約電力 | kW | 基本料金の前提。実態より大きすぎないか |
| 最大需要電力(デマンド) | kW | 過去12ヶ月の最大値。契約電力の決定根拠 |
| 月間使用量 | kWh | 電力量料金の計算根拠。前年同月と比較 |
| 変圧器容量 | kVA | 設備の受電容量。高圧受電の場合に記載 |
| 力率 | %(kW÷kVA) | 85%が基準。基本料金の割引/割増に影響 |
| 電力量料金単価 | 円/kWh | 使用量に掛ける単価 |
| 基本料金単価 | 円/kW | 契約電力に掛ける単価 |
負荷率とは(kWとkWhの関係指標)
負荷率は、契約電力(kW)に対して実際にどれだけ使用量(kWh)があるかを示す指標です。 負荷率が高いほど「契約電力を効率よく使えている」ことを意味し、基本料金の割合が相対的に小さくなります。
計算式: 負荷率(%)= 月間使用量(kWh)÷(契約電力(kW)× 24時間 × 30日)× 100
| 施設タイプ | 契約電力 | 月間使用量 | 負荷率 | 意味 |
|---|---|---|---|---|
| オフィス(平日昼間のみ) | 200kW | 40,000kWh | 28% | ピーク型。基本料金の負担割合が大きい |
| 工場(2交代) | 500kW | 200,000kWh | 56% | 中間型。バランスが取れている |
| 病院(24時間稼働) | 300kW | 160,000kWh | 74% | ベースロード型。電力量料金が主 |
| データセンター | 1,000kW | 650,000kWh | 90% | 超安定型。負荷率が非常に高い |
負荷率が低い施設(オフィスなど)は、ピーク時の電力を抑えること(デマンドコントロール)で契約電力を下げ、基本料金を削減できる可能性があります。
まとめ
- ▶kW(キロワット)は瞬間の電力の大きさ。契約電力・デマンド値として基本料金に影響する。
- ▶kWh(キロワットアワー)は実際に使った電力量。月間使用量として電力量料金に影響する。
- ▶kVA(キロボルトアンペア)は見かけ上の電力。力率(kW÷kVA)が低いと基本料金に割増が発生する。
- ▶負荷率(kWhとkWの比率)が低い施設はデマンドコントロールで基本料金削減の余地がある。
- ▶請求書・見積書の各項目がどの単位で表されているかを把握することが、電気料金を自社で管理する第一歩。
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