CASE STUDY / 事例・削減実績
中規模総合病院 / 特別高圧受電(病床数280床)
病床数280床の中規模総合病院が、医療機器への影響を最小化しながらデマンド制御システムを導入。 非医療設備を対象に精緻なピークカット制御を実施することで、契約電力を1,800kWから1,400kWへ引き下げ、 基本料金を年間22%・約1,000万円削減しました。 医療施設特有の「止められない設備」がある中での施策設計を詳しく解説します。
| 施設種別 | 総合病院(内科・外科・循環器・整形外科等) |
| 病床数 | 280床 |
| 立地 | 関東圏(郊外型) |
| 受電区分 | 特別高圧(22kV) |
| 契約電力(見直し前) | 1,800kW |
| 契約電力(見直し後) | 1,400kW |
| 年間使用電力量 | 約8,200,000kWh |
| 見直し前の年間電気代 | 約1億1,300万円 |
| 稼働状況 | 24時間・365日(ICU・ER常時稼働) |
STEP 1
まず全電気設備を「医療系(手術室・ICU・医療機器・生命維持)」と「非医療系(空調・照明・給湯・厨房・駐車場)」に分類。医療系設備は制御対象から完全除外し、非医療系のみを対象とした。制御対象設備の電力容量合計は約350kW。
STEP 2
30分単位のデマンド値をリアルタイムで監視し、予測デマンドが設定値(1,350kW)の90%に達した段階でアラートを発し、自動的に非医療系設備の出力を段階的に制限するシステムを導入。医療系設備とは独立した制御回路で実装。
STEP 3
夏季3ヶ月間を試験期間として実際に制御を稼働させ、医療業務への影響がないことを確認した上で、本格運用へ移行。試験期間中の最大デマンドが1,380kWに収まったことを確認後、契約電力を1,400kWに変更申請。
| 設備 | 制御内容 | 削減効果 |
|---|---|---|
| 空調設備(中央管理型) | デマンドアラート時に出力を80%に制限(10分間) | 約80kW削減 |
| 給湯ヒーター群 | ピーク時間帯に沸き増しを一時停止(蓄熱量で補完) | 約60kW削減 |
| 冷水・温水ポンプ | インバーター制御で出力を段階的に絞る | 約40kW削減 |
| 非医療系照明(廊下・駐車場) | デマンドアラート時に50%調光 | 約30kW削減 |
| 電気温水器(厨房補助) | ピーク帯での使用を制限し夜間に移動 | 約20kW削減 |
| 合計 | 約230kW削減 | |
| 項目 | 見直し前 | 見直し後 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 契約電力 | 1,800kW | 1,400kW | ▲400kW(▲22%) |
| 基本料金(月額) | 3,816,000円 | 2,968,000円 | ▲848,000円 |
| 電力量料金(月額) | 4,280,000円 | 4,190,000円 | ▲90,000円 |
| 燃料費調整額(月額) | 1,340,000円 | 1,310,000円 | ▲30,000円 |
| 合計(月額) | 9,436,000円 | 8,468,000円 | ▲968,000円 |
| 合計(年額) | 約1億1,300万円 | 約1億160万円 | ▲約1,140万円 |
▲22%(約85万円/月)削減
代表的な4か月の制御前後のデマンド値と基本料金削減額の比較
| 月 | 制御前デマンド | 制御後デマンド | 基本料金削減額 |
|---|---|---|---|
| 8月(夏季ピーク) | 1,780kW | 1,370kW | 約870,000円 |
| 1月(冬季) | 1,640kW | 1,360kW | 約594,000円 |
| 4月(中間期) | 1,510kW | 1,350kW | 約340,000円 |
| 10月(秋季) | 1,480kW | 1,340kW | 約297,000円 |
※基本料金削減額は契約電力変更後(1,400kW)の基本料金単価×削減kW数で試算。実際の削減額は変更後の月から確定します。
「医療施設でデマンド制御は難しいと思っていましたが、制御対象を非医療系設備に絞れば十分効果があることがわかりました。 試験期間中に一度も医療側からクレームはありませんでした。 年間1,000万円以上の削減は想定を超える結果で、今後は使用量そのものの削減にも取り組む予定です。」
― 施設管理部 電気主任技術者
「医療機器があるからデマンド制御は無理」と思っている施設でも、設備を適切に分類することで十分な効果が得られます。デマンドの仕組みを理解した上で、 まず過去1〜2年の最大デマンド値を確認することを推奨します。
※本ページの事例は、複数の実務相談内容をもとに再構成したモデルケースです。数値は業界平均を参考にした概算値であり、実際の削減効果は条件により異なります。
A.①自社と類似業種・規模の事例から打ち手のヒントを得る、②投資判断の参考にする、③社内説明資料の根拠にする、の3用途が代表的です。
A.業種により異なり、製造業で5〜15%、商業施設で7〜20%、オフィスビルで10〜25%が一般的な削減レンジです。設備更新と運用改善の組合せで最大化します。
A.①規模・業種が似ているか、②削減手法が再現可能か、③前提条件(契約・地域・補助金)が近いか、④投資回収期間が現実的か、の4点を確認します。
A.「単価のみで切替→市場連動で大失敗」「準備不足での切替→空白期間発生」「過大な投資→回収困難」など、典型的失敗パターンを把握することが重要です。
A.業界団体の事例集、補助金事業の成果報告、コンサルティング会社の公開資料、本サイトの事例DBで入手可能。3〜5事例の比較が判断精度を高めます。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
現在の契約電力と実際の使用状況を入力して、基本料金の削減余地を確認しましょう。
記事を読んで気になった点があれば、エネルギー情報センターにお気軽にご相談ください。法人・自治体の電力契約に精通したスタッフが、中立的な立場で判断材料を整理します。初回相談は無料です。
中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。