見直し実務が止まる原因の多くは、比較前に必要資料がそろっていないことです。このページでは、見直しに必要な8種類の資料について「入手先」「必要な理由」「なくても進められるか」を表で整理します。何から集めるかのフローも合わせて確認できます。
見直しの各フェーズ(現状把握・比較見積・切替手続き)で必要になる資料を一覧化しました。「なくても進められるか」の列で、着手に必須か任意かを確認してください。
| 資料名 | 入手先 | 必要な理由 | なくても進められるか |
|---|---|---|---|
| 直近12ヶ月の請求書 | 現在の電力会社(Web明細または紙) | 使用量・基本料金・燃調費の推移を把握し、比較見積の前提条件をそろえるために必須 | 不可(最低3ヶ月分は必須。12ヶ月あると精度が上がる) |
| 現行契約書(本文・別紙・覚書) | 契約締結時の書類、または電力会社に再発行依頼 | 契約期間・解約申出期限・違約金・燃調費の上限有無など、比較・切替判断に不可欠な条件が記載されている | 不可(更新条件が不明のまま比較すると、切替できないリスクがある) |
| 供給地点特定番号(22桁) | 請求書または電力会社のWebマイページに記載 | 他社へ見積依頼・切替申込をする際に必ず必要。この番号がないと正式な見積もりが取れない | 比較検討の初期段階は可能だが、見積依頼・切替手続きには必須 |
| 契約電力通知・デマンド実績 | 電力会社のWebマイページ、またはデマンド監視機器のログ | 実態と乖離した契約電力を確認し、基本料金削減余地を定量的に把握するために必要 | 可能(請求書の契約電力欄でも代用できるが、月別実績があると精度が上がる) |
| 月別使用量データ(30分値) | 電力会社のWebマイページ、または低圧スマートメーターデータ | 時間帯別・季節別料金メニューとの適合性を検証するために必要。単価体系が使用パターンに合っているか確認できる | 可能(月次集計のみでも概算比較は可能。30分値は精密な比較時に有効) |
| デマンドデータ(月別最大値) | 電力会社のWebマイページ、またはデマンド監視機器のログ | 基本料金は「過去最大デマンド」で決まるメニューがあるため、デマンドの実績推移で基本料金の適正化余地を判断できる | 可能(請求書の基本料金欄から概算で確認できるが、削減余地の定量化には実績値が必要) |
| 施設図面・設備一覧 | 施設管理担当部署または設備台帳 | 大型設備の更新予定・稼働変更予定がある場合、比較見積の前提を実態に合わせるために必要 | 可能(設備変更予定がない場合は省略可能だが、変更予定がある場合は見積前提が変わる) |
| 更新案内・改定通知 | 現在の電力会社から郵送またはメール | 更新条件の改定や料金改定が予告されている場合、比較の前提が変わる。最新の通知を確認することで判断精度が上がる | 可能(手元にない場合は電力会社に問い合わせて最新条件を確認する) |
※見積書の確認項目は 法人向け電気料金見積書の見方を参照してください。
資料収集は「すべてそろうまで動かない」よりも、着手できるものから段階的に集める方が実務は早く進みます。以下の順番で進めると、見直し実行のタイムラインを確保しやすくなります。
請求書(直近3〜12ヶ月)を入手する
電力会社のWebマイページにログインするか、紙請求書を保管場所から取り出す。Webマイページで過去12ヶ月分をダウンロードできる場合が多い
同時に:供給地点特定番号は請求書に記載されているため、同時に確認する
現行契約書・覚書を確認する
契約締結時の書類を保管場所(総務・経理)から取り出す。見つからない場合は電力会社へ再発行を依頼する
同時に:更新案内・改定通知も同時に探す
使用量・デマンドデータを取得する
電力会社のWebマイページで月別使用量と最大デマンドを確認・ダウンロードする。30分値が必要な場合は別途申請が必要なケースもある
同時に:施設図面・設備変更予定は施設管理担当に確認する
資料を4区分で整理する
「契約」「請求」「使用実態」「設備」の4区分でフォルダを作成し、入手した資料を分類する。複数拠点の場合は拠点ごとに分ける
同時に:不足資料を洗い出し、追加入手のアクションを設定する
多拠点法人では、拠点一覧と契約一覧を統一フォーマットで作成すると優先順位をつけやすくなります。拠点ごとの更新月と契約電力を一目で確認できる形が有効です。
資料は「契約」「請求」「使用実態」「設備」の4区分で整理し、比較前提との対応関係を明確にします。社内説明では資料根拠を示すことで判断の透明性が上がります。切替後の確認にも使えるよう、初回請求確認に必要な資料も同時に残しておくと実務効率が高まります。
A.契約満了の3〜6ヶ月前が理想です。現契約の解約通知期限を過ぎると自動更新で見直し機会を失うため、満了時期の1年前からモニタリング開始することを推奨します。
A.①単価、②契約期間、③違約金条項、④燃料費調整の仕組み、⑤市場価格調整の有無、⑥更新通知期限、⑦値上げ通知時の解約権、の7項目です。単価比較だけでは不十分。
A.一概に決まりません。新電力は単価で有利なケースが多い一方、供給安定性・サポート体制は大手が優勢。2022〜2023年の新電力撤退リスクを教訓に、事業継続性も評価軸に含めるべきです。
A.①スケールメリットで単価交渉力向上、②契約管理工数の集約、③データ統合によるエネマネ高度化、④グループCO2削減戦略の統一、が得られます。年間5億円規模で年数千万円の削減も。
A.①見積条件(契約電力・使用kWh想定)を統一、②全費用項目を含む総額比較、③契約期間の統一、④違約金条項の差を見落とさない、⑤長期のシナリオ試算を加える、の5点に注意します。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
当法人は法人向け電気料金の高騰リスク分析・脱炭素対応支援を行う非営利法人です。本記事は公的データ(経済産業省・OCCTO・JEPX・環境省等)と実務知見を基に編集しています。
この記事の著者: 江田 健二(一般社団法人エネルギー情報センター 理事 / RAUL株式会社 代表取締役)— 電力・エネルギー業界20年以上、書籍20冊以上執筆、内閣府・中小企業庁・商工会議所登壇多数プロフィール →
必要資料をそろえたら、使い方ページで入力前提を確認し、比較ページで条件差を同じ土台で評価して見直し判断を進めます。
記事を読んで気になった点があれば、エネルギー情報センターにお気軽にご相談ください。法人・自治体の電力契約に精通したスタッフが、中立的な立場で判断材料を整理します。初回相談は無料です。
中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。