法人が電気を契約する際、電圧や使用規模によって「低圧電灯」「低圧電力」「高圧」「特別高圧」の4つの区分に分かれます。区分が異なると料金体系・受電設備の要否・切替手続きの複雑さがすべて変わります。このページでは、各区分の特徴を一覧で整理し、自社に合った契約区分の選び方フローを解説します。
電力会社との契約区分は、受電する電圧と契約電力の大きさによって決まります。電圧が高くなるほど単価(円/kWh)は下がる傾向がありますが、受電設備の設置・維持コストが発生します。まず自社の使用量と契約電力を把握し、該当する区分を確認しましょう。
| 契約区分 | 電圧 | 契約電力 | 受電設備 | 典型的な施設 | 月間使用量目安 | 月額電気代目安 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 低圧電灯 | 100V/200V(単相) | 60A以下 or 6kVA〜50kVA | 不要 | 小規模オフィス・店舗 | 500〜3,000kWh | 1.5〜10万円 |
| 低圧電力(動力) | 200V(三相) | 0.5〜50kW | 不要 | 飲食店・クリニック・小型工場 | 1,000〜15,000kWh | 3〜30万円 |
| 高圧 | 6,000V | 50〜2,000kW | キュービクル必要 | 中規模工場・商業施設・病院 | 10,000〜500,000kWh | 30〜1,500万円 |
| 特別高圧 | 20,000V〜 | 2,000kW超 | 特高受電設備 | 大規模工場・データセンター | 500,000kWh〜 | 1,500万円〜 |
※月間使用量・月額電気代は目安です。業種・稼働時間・設備構成により大きく異なります。
契約区分によって、基本料金の算定方法・電力量料金の単価体系・燃料費調整額の扱い・市場連動の有無が異なります。特に高圧・特別高圧は燃調費の上限がない場合が多く、市場価格の変動リスクを直接受けやすい点に注意が必要です。
| 項目 | 低圧電灯 | 低圧電力 | 高圧 | 特別高圧 |
|---|---|---|---|---|
| 基本料金の決まり方 | 契約アンペア×単価 | 契約kW×単価 | 契約kW×単価×力率 | 個別交渉 |
| 電力量料金 | 段階制(3段階) | 一律単価 | 一律or時間帯別 | 個別交渉(時間帯別) |
| 燃調費の扱い | 上限あり(規制料金) | 上限あり/なし混在 | 上限なし(多くの場合) | 上限なし |
| 市場連動の有無 | なし(多くの場合) | 一部あり | あり(選択可能) | あり(多くの場合) |
| 見積の取り方 | Web申込み中心 | Web/電話 | 個別見積依頼 | 完全個別交渉 |
| 切替の自由度 | 高い | 高い | 中程度 | 低い(手続き複雑) |
※電力会社・メニュー・契約時期によって異なります。詳細は各社の供給約款を確認してください。
業種と施設規模の組み合わせによって、一般的に対応する契約区分が異なります。下表はあくまで目安ですが、競合他社の契約区分を把握する際や、新規出店・増床時の電力コスト試算に活用できます。
| 業種・施設 | 小規模 | 中規模 | 大規模 |
|---|---|---|---|
| オフィス | 低圧電灯(〜30名) | 高圧(30〜500名) | 特別高圧(500名超・ビル全体) |
| 飲食店 | 低圧電力(1店舗) | 高圧(大型店・チェーン本部) | ― |
| 工場 | 低圧電力(町工場) | 高圧(中規模ライン) | 特別高圧(24時間大規模) |
| 商業施設 | 低圧電灯(個人店) | 高圧(SC・モール) | 特別高圧(百貨店) |
| 病院 | 低圧電力(クリニック) | 高圧(200床規模) | 特別高圧(大学病院) |
| 学校 | 低圧電灯(小規模塾) | 高圧(中学・高校) | 特別高圧(大学キャンパス) |
自社に最適な契約区分を判断するには、現在の使用量・契約電力を起点に5つのステップで検討します。特に低圧から高圧への切替は初期投資を伴うため、年間コスト削減効果との比較が重要です。
直近3か月の電気代明細で月間使用量(kWh)を確認する。10,000kWh未満であれば低圧が基本。10,000kWh以上なら高圧以上の検討に進む。
現在の契約電力または最大需要電力を確認する。50kW未満であれば低圧、50kW以上であれば高圧の対象となる。
契約電力または最大需要電力が2,000kWを超える場合は特別高圧の対象。大規模工場やデータセンターが典型例。
高圧以上に切り替える場合はキュービクル(受変電設備)の設置が必要。設置スペース・初期費用(数百万円〜)・維持管理コストを事前に確認する。
高圧切替によるkWh単価の削減効果と、受電設備の初期費用・維持費を比較して投資回収年数を試算する。一般に年間電気代が数百万円以上になると高圧切替の経済合理性が生まれやすい。
判断の目安:月間電気代が50万円以上(年間600万円以上)になる場合、高圧切替による単価削減効果が受電設備コストを上回るケースが多いとされています。ただし施設の構造・設置スペース・電力会社のメニューによって異なるため、複数社からの見積比較が不可欠です。
各契約区分の料金体系・メリット・注意点・見直しポイントを詳しく解説したページです。自社が該当する区分のページから読み進めることをお勧めします。
低圧電灯(100/200V・家庭用と同じ)、低圧電力(3相200V・動力用)、高圧(6,600V・50kW〜2,000kW未満)、特別高圧(20kV以上・2,000kW以上)の4つがあります。使用電力量と施設規模によって適切な区分が決まります。
使用量が大幅に増減したとき(特に50kWの壁・2,000kWの壁に近づいたとき)、施設の増改築時、既存設備の撤廃・追加時などに見直しを検討します。区分変更には電力会社への申請と設備工事が必要です。
毎月の電気料金の請求書・検針票に記載されています。「高圧電力」「特別高圧電力」など契約種別が明記されています。複数拠点がある場合は拠点ごとに異なる区分になることがあります。
著者: 江田健二(一般社団法人エネルギー情報センター 代表理事)
公開日: 2026-04-13
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中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。