電気代を製造原価・部門別に配賦し、正確な製品原価を把握するためのABC(活動基準原価計算)の考え方を整理します。
製造業・サービス業では、電気代は間接費として集計され、何らかのルールで製品・部門に配賦されます。配賦ルールが雑だと、製品別収益性が歪み、誤った価格決定・投資判断につながります。
特に電力多消費業種(冷凍倉庫・データセンター・半導体など)では、電気代配賦の精度が原価管理の品質を大きく左右します。
①売上高按分:最も簡便だが、電力消費量と売上は必ずしも比例せず歪みが大きい。②人員数按分:間接部門向けで使うが、製造業には不適。③設備時間按分:設備ごとの稼働時間で按分、精度はまずまず。
これらは手軽だが、精度は限定的です。
ABC(Activity-Based Costing)は、活動(設備運転・空調・照明など)を基準に電気代を配賦する方法です。各活動の電力消費量を計測し、製品・部門が使う活動量に応じて配賦します。
精度は最も高いですが、計測機器の設置・データ集計コストが発生します。高コスト製品群・差別化が必要な業種ほどABCの効果が大きく現れます。
Step1:主要活動(コストプール)の特定。例:生産ラインA・B、空調、照明、倉庫冷蔵。
Step2:活動別の電力消費量計測。サブメーター設置、またはインバータ・機器別電力計の設置。
Step3:活動ドライバ(配賦基準)の決定。例:ラインAは稼働時間、空調は面積×時間。
Step4:製品・部門別に活動使用量を集計し、電気代を按分。
初期投資:メーター設置費用、BEMS/原価計算システムで数百万円〜。効果:製品別採算の精度向上、無駄のある製品の特定。
原価計算基準(企業会計原則)は管理会計の基本ルールですが、ABCは公式ルールではなく実務の選択肢です。
中小企業庁「原価管理ガイド」や、日本管理会計学会の実務事例集が導入時の参考になります。
本記事は上記の公的資料・公式サイトを参考に編集しています。最新の制度・数値は各出典元で必ずご確認ください。
このテーマの理解を深めたら、シミュレーターで自社の電気料金リスクを確認しましょう。