BENCHMARK / 相場・削減効果
製造・小売・飲食・宿泊・医療・物流
法人の電気代は、業種・規模・操業形態によって大きく異なります。製造業の大規模工場では月額数百万円に達する一方、小規模飲食店では月10万円未満のケースも珍しくありません。 自社の電気代が業界平均と比べて高いのか低いのかを把握することが、コスト削減の第一歩です。本ページでは、主要業種ごとの月額電気代相場を規模別に整理して一覧にまとめました。
電気代の大きさを決める要因は主に3つです。①契約電力(kW)=ピーク需要に応じた基本料金の大きさ、 ②月間使用量(kWh)=実際に消費するエネルギー量、③燃料費調整額・再エネ賦課金などの変動コスト。 製造業や宿泊業は設備稼働時間が長く契約電力も大きいため、電気代が高くなりやすい業種です。
また同じ業種でも、地域(電力会社エリア)・築年数・設備の省エネ性能・操業シフトのパターンによって30〜50%程度の差が出ることもあります。 以下の相場データはあくまで参考目安としてご活用ください。
2024〜2025年度の高圧・特別高圧料金水準を参考にした概算値
| 業種・規模 | 事業規模の目安 | 契約電力 | 月間使用量 | 月額電気代 | 年間換算 |
|---|---|---|---|---|---|
| 製造業(軽工業・小規模) | 従業員10〜30名 | 50〜150kW | 1〜4万kWh | 15〜60万円 | 180〜720万円 |
| 製造業(中規模) | 従業員50〜200名 | 200〜500kW | 10〜30万kWh | 150〜450万円 | 1,800〜5,400万円 |
| 製造業(大規模) | 従業員200名以上 | 500kW〜数MW | 30万kWh以上 | 450万円〜 | 5,400万円〜 |
| 小売業(コンビニ1店) | 24時間営業 | 20〜30kW | 4,000〜6,000kWh | 10〜20万円 | 120〜240万円 |
| 小売業(ドラッグストア) | 売場200〜400坪 | 30〜60kW | 5,000〜1万kWh | 15〜30万円 | 180〜360万円 |
| 小売業(ショッピングモール) | テナント込み大型 | 500kW〜3MW | 50〜300万kWh | 750万〜4,500万円 | 9,000万〜5億円 |
| 飲食業(居酒屋・40席) | 17〜24時営業 | 15〜30kW | 3,000〜5,000kWh | 8〜15万円 | 96〜180万円 |
| 飲食業(ファミレス) | 100席規模 | 40〜80kW | 7,000〜1.5万kWh | 20〜45万円 | 240〜540万円 |
| 宿泊業(ビジネスホテル・100室) | 中規模 | 200〜400kW | 10〜20万kWh | 150〜300万円 | 1,800〜3,600万円 |
| 宿泊業(リゾートホテル・200室) | 大規模 | 500kW〜2MW | 30〜100万kWh | 450万〜1,500万円 | 5,400万〜1.8億円 |
| 医療機関(診療所) | 外来中心・小規模 | 20〜50kW | 3,000〜8,000kWh | 9〜24万円 | 108〜288万円 |
| 医療機関(病院・100床) | 入院設備あり | 300〜800kW | 15〜40万kWh | 225〜600万円 | 2,700〜7,200万円 |
| 物流倉庫(小規模) | 冷蔵なし・1,000坪 | 30〜80kW | 3,000〜1万kWh | 9〜30万円 | 108〜360万円 |
| 物流倉庫(冷蔵・冷凍) | 温度管理あり | 200〜500kW | 10〜25万kWh | 150〜375万円 | 1,800〜4,500万円 |
| オフィス(中規模・50名) | 一般事務主体 | 50〜100kW | 1.5〜3万kWh | 45〜90万円 | 540〜1,080万円 |
各業種の代表的な規模における月額中央値の比較
※上記は各業種の代表的な中規模事業者の概算値です。
電気代は単一の料金ではなく、複数の費目から構成されています。それぞれの比率を把握することで、どこを削減すべきかが明確になります。
| 費目 | 構成比の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 基本料金(デマンド) | 25〜40% | 契約電力に基づく固定費 |
| 電力量料金 | 30〜45% | 使用kWhに応じた変動費 |
| 燃料費調整額 | 5〜15% | 燃料価格に連動して毎月変動 |
| 再生可能エネルギー賦課金 | 8〜12% | 固定単価×使用kWh |
| その他(容量拠出金等) | 1〜5% | 2024年度より順次拡大 |
生産ラインの稼働時間が長く、モーター・コンプレッサー・加熱設備など大電力機器を多数使用するため、業種別では最も電気代が高くなりやすい。 特別高圧契約(2,000kW以上)では年間数億円規模に達する工場も存在します。 省エネ余地としてはデマンドコントロール・インバータ導入・コンプレッサー最適化が有効です。
1店舗あたりの電気代は比較的小さいですが、多店舗展開では合計額が膨大になります。 照明・冷蔵設備・空調が主な消費源であり、LED化と省エネ型冷ケースへの切り替えが即効性の高い対策です。 飲食店はコンロ・フライヤー・厨房換気が加わるため、同規模の小売店より電気代が高い傾向があります。
24時間365日の操業が基本で、空調・給湯・照明・厨房の稼働が常時続きます。 夏冬のピーク時には契約電力が大きく跳ね上がり、デマンド超過による割増料金が発生しやすいのも特徴です。 省エネ対策としては熱源設備の更新・客室の個別制御・深夜電力の活用が有効です。
病院はMRI・CT・手術室設備など特殊大電力機器を持ち、24時間稼働の部門も多いため、規模の割に電気代が高くなります。 冷蔵・冷凍倉庫は冷凍機の常時稼働により使用量が多く、圧縮機の効率が大きくコストを左右します。 どちらも停電リスクへの備えとして自家発電設備を持つ場合が多く、維持費も考慮が必要です。
※本ページの金額は業界平均を参考にした概算値です。契約区分(低圧・高圧・特別高圧)・地域(電力会社エリア)・設備の省エネ性能・使用パターンにより大きく変動します。 正確な自社コストの評価や見直し提案は、専門家またはエネルギー管理士にご相談ください。 また、燃料費調整額・再生可能エネルギー賦課金は毎月変動するため、上記の金額レンジは変わる場合があります。
本ページの相場データは以下の公的統計・業界データを参考に、エネルギー情報センターが独自に整理・概算したものです。
重要: 本ページの数値は上記データをもとにした概算・目安であり、 特定の契約条件や時期における正確な請求額を保証するものではありません。 実際の電気料金は契約プラン・使用パターン・地域・時期により大きく異なります。 最終的な判断には、必ず電力会社の見積書や請求書の実データをご確認ください。
最終更新: 2026年4月(2024〜2025年度の料金水準を反映)
A.業種別・契約区分別のベンチマークと比較します。本サイトの相場データや経産省統計、コンサル会社の調査レポートが参考になります。
A.高圧で18〜25円/kWh、特別高圧で15〜22円/kWh、低圧で25〜35円/kWhが2026年時点の一般的レンジ。業種・地域・契約条件で変動します。
A.①契約区分の一致、②地域差の考慮、③時期(年度)の同期、④業種特性、⑤契約電力規模、の5項目を統一しないと正確な比較ができません。
A.電力多消費業種(製造・データセンター)で10〜20%、サービス業で5〜15%、自治体で7〜20%が削減事例の平均レンジです。
A.本サイトでは月次・四半期で更新。市場価格・燃料費・制度改正の影響を反映するため、3ヶ月以内のデータを参照することを推奨します。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
当法人は法人向け電気料金の高騰リスク分析・脱炭素対応支援を行う非営利法人です。本記事は公的データ(経済産業省・OCCTO・JEPX・環境省等)と実務知見を基に編集しています。
この記事の著者: 江田 健二(一般社団法人エネルギー情報センター 理事 / RAUL株式会社 代表取締役)— 電力・エネルギー業界20年以上、書籍20冊以上執筆、内閣府・中小企業庁・商工会議所登壇多数プロフィール →
業種・契約電力・使用量を入力するだけで、現在の電気代水準と今後の上昇リスクをスコアで確認できます。
記事を読んで気になった点があれば、エネルギー情報センターにお気軽にご相談ください。法人・自治体の電力契約に精通したスタッフが、中立的な立場で判断材料を整理します。初回相談は無料です。
中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。