MARKET DATA / データで見る電力市場
1995年からの極端気象日数の推移
最高気温35℃以上の「猛暑日」と最低気温25℃以上の「熱帯夜」は、エアコン冷房の需要を 爆発的に増加させる気象現象です。1995年から2025年の30年間で、東京の猛暑日は13日から29日へ2.2倍、 大阪の熱帯夜は42日から81日へ1.9倍に増加しました。名古屋は2025年に52日の猛暑日を記録し 主要都市ワーストを更新。この極端気象の増加がJEPXスポット価格の高騰リスクを構造的に高めています。
東京 猛暑日(2025年)
29日
1995年13日の2.2倍
大阪 熱帯夜(2025年)
81日
1995年42日の1.9倍
名古屋 猛暑日(2025年)
52日
全国主要都市ワースト
ピーク需要Top10
全て8月
2018〜2022年に集中
定義: 日最高気温が35℃以上の日
電力への影響: 冷房需要が最大化し、昼〜夕方の電力需要がピークを形成。 JEPXスポット市場では午後の価格が急騰しやすく、供給予備力が低下すると 需給逼迫警報の発令につながることがあります。
定義: 日最低気温が25℃以上の夜
電力への影響: 夜間の冷房需要が高止まりし、深夜〜早朝の電力消費が増加。 従来は夜間に需要が下がり価格も低下していたが、熱帯夜の増加により夜間電力の 需給バランスも逼迫するリスクが高まっています。
東京・大阪・名古屋の猛暑日数を年次棒グラフで比較。2010年代から増加傾向が明確になり、 2025年には名古屋52日、大阪45日、東京29日を記録しています。
出典: 気象庁 各観測地点の日別気温データを年次集計(1995〜2025年)
東京・大阪の熱帯夜日数を折れ線グラフで表示。大阪は2025年に81日と過去最多を記録し、 夏の3ヶ月間のほぼ全夜が熱帯夜となっています。
出典: 気象庁 各観測地点の日別最低気温データを年次集計(1995〜2025年)
5年ごとの猛暑日数平均を見ると、増加傾向が明確に確認できます。 特に2010年代以降は加速しており、2020年代の平均は1990年代後半に比べて 東京・大阪・名古屋ともに2倍以上の水準に達しています。
| 期間 | 東京(日/年) | 大阪(日/年) | 名古屋(日/年) |
|---|---|---|---|
| 1995–1999 | 4.2 | 8.4 | 10.6 |
| 2000–2004 | 4.2 | 19.2 | 15.6 |
| 2005–2009 | 3 | 11.4 | 14.8 |
| 2010–2014 | 8 | 15.6 | 18.2 |
| 2015–2019 | 8 | 19.6 | 16.8 |
| 2020–2025 | 16.8 | 27.3 | 29.8 |
猛暑日(最高気温35℃以上)の年間日数5年平均値
52日(2025年)
内陸盆地地形により、熱がこもりやすく最高気温が上がりやすい。 主要都市の中で猛暑日数が最多で、製造業が集積する中部地区の 工場・倉庫は電力需要管理が特に重要です。
81日(2025年)
海洋性気候の影響で夜間も気温が下がりにくく、熱帯夜が全国最多水準。 飲食・ホテル・商業施設など夜間も稼働する業種は冷房電力の増加が 電気料金を押し上げます。
29日(2025年)
1995年の13日から2025年の29日へ2.2倍の増加。東京エリアは全国最大の電力消費地域であり、 猛暑日における需要増がJEPX東京エリア価格に直接影響します。
猛暑日・熱帯夜の増加は、単なる「暑い日が増えた」ではなく、電力システムに対して 構造的な負荷増加をもたらしています。
かつて7〜8月が中心だった冷房シーズンが、6月下旬から9月中旬まで拡大。 エアコンの稼働時間が年々延長しており、年間電力消費に占める冷房比率が増加しています。
猛暑日の昼間(13〜16時)に需要が極端に集中するため、ピーク時の供給余力が 極度に低下します。2020年など、猛暑年の需要ピーク日には 全国需要が16万MW超に達しました。
熱帯夜の増加により、深夜0〜5時の需要も高止まりするようになりました。 従来は「夜間の安い時間帯」として活用されてきた深夜電力の価格優位性が 徐々に縮小しつつあります。
空調設備は「設計最大需要」を基準に設計されていますが、猛暑日の増加により その設計水準を上回るケースが増えています。設備の更新・増強コストが発生し、 ビル管理コストの上昇要因になっています。
JEPXスポット市場では、電力需要と価格の間に強い相関があります。 猛暑日は需要急増を引き起こし、供給余力が低下するにつれて価格が指数関数的に上昇します。
需要が増加すると、電力会社は限界費用の高い発電機(LNG火力など)を追加稼働させます。 この「限界費用」が市場価格を決定するため、需要が高いほど価格は高くなります。 需要が供給能力の90%を超えると価格が急騰する傾向があります。
注意: 市場連動型プランの法人への影響
市場連動型(JEPX連動)プランの法人は、猛暑日の電気代が通常日の1.3倍以上になる可能性があります。 猛暑年が続く中で、市場連動型を選択している場合は特に夏季の電気料金予算管理が重要です。
過去の電力需要ピーク日トップ10はすべて8月に集中しており、しかも2018〜2022年の 猛暑年に集中しています。猛暑日の増加と電力需要ピークの高止まりが連動していることが分かります。
| 順位 | 日付 | ピーク需要(MW) |
|---|---|---|
| 1位 | 2020-08-20 | 164,910 MW |
| 2位 | 2022-08-02 | 164,890 MW |
| 3位 | 2020-08-21 | 164,720 MW |
| 4位 | 2019-08-02 | 163,540 MW |
| 5位 | 2018-08-03 | 163,390 MW |
| 6位 | 2021-08-05 | 163,260 MW |
| 7位 | 2018-07-23 | 163,030 MW |
| 8位 | 2022-08-03 | 162,900 MW |
| 9位 | 2018-08-02 | 162,860 MW |
| 10位 | 2022-08-01 | 162,590 MW |
出典: 各一般送配電事業者公表の30分値データ集計(9エリア合計の最大需要日)
猛暑日のピーク時間帯(13〜16時)に電力使用量を制御し、 デマンド値(最大需要電力)の超過を防ぎます。デマンドコントロールシステムの導入で基本料金の上昇を抑制できます。
深夜や太陽光が豊富な昼前に充電し、猛暑日の価格高騰時間帯(14〜18時)に放電する アービトラージ戦略が有効です。市場連動型プランとの組み合わせで電気料金削減効果が期待できます。
高効率空調(COP値の高い機種)への更新、窓の遮熱フィルム・日よけの設置、 屋上・外壁の断熱強化により冷房負荷を低減します。 初期投資はかかりますが、猛暑年が続くほど投資回収期間が短くなります。
猛暑リスクが高い業種(24時間稼働の工場・物流・医療機関など)では、 夏季の市場連動リスクを固定価格型プランで回避することも検討に値します。固定単価プランは 市場連動型より単価が高い傾向がありますが、極端猛暑年には逆転する可能性があります。
猛暑日・熱帯夜の増加は30年間の明確なトレンドであり、今後も継続・加速する可能性が高い現象です。 東京の猛暑日は30年で2.2倍、大阪の熱帯夜は1.9倍に増加し、 名古屋の2025年猛暑日52日は電力需要に深刻な影響を与えています。 法人の電気料金戦略においては、猛暑日のピーク需要管理と JEPX価格高騰リスクへの備えが、今後ますます重要になります。 デマンドコントロール、蓄電池、空調効率化、プラン選択の4つの対策を 総合的に検討することをお勧めします。
猛暑日(最高気温35℃以上)には、冷房負荷で電力需要が通常の約1.2〜1.3倍に増加し、市場価格も平均より高くなります。自社の使用パターンを入力して、猛暑日が増えた場合の年間追加コストを試算します。
東京2025年実績:29日
オフィス40%、商業30%、工場20%目安
猛暑日由来の年間追加消費:5,076 kWh
年間追加コスト:
+85,278円
※ 気温帯別需要指数(30℃+で1.21倍)と価格プレミアム(+4.8円/kWh)を前提とした概算試算。気温・地域・冷房効率で実際の値は変動します。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
A.猛暑日は最高気温35℃以上、熱帯夜は最低気温25℃以上の日を指します。気象庁の正式定義で、健康・労働・電力需要の指標として使われます。
A.はい、2025年の大阪の熱帯夜は81日で、1995年の42日から倍増しています。1年の5分の1以上が熱帯夜という状況で、冷房を切れない時期が長期化しています。
A.オフィスでは冷房シェア40%程度、猛暑日には通常の1.2〜1.3倍の消費となり、時間あたり単価も上昇。年間猛暑日が10日増えると電気代5〜10%増の目安です。
A.①空調設備の高効率化(インバータ化)、②遮熱対策(屋根・窓)、③運用最適化(BEMS導入)、④電力契約見直し(TOU料金活用)、⑤蓄電池・太陽光、の順で費用対効果が高いケースが多いです。
A.IPCC予測では、現在のペースで温暖化が進むと2040年までに猛暑日は現在の1.5〜2倍に増加すると予測されています。企業の中長期コスト計画に織り込む必要があります。
猛暑日の増加が自社の電気料金にどう影響するか、シミュレーターで確認できます。
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中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。