特別高圧で最終保障供給を使うときの注意点
最終保障供給は、電力小売会社の倒産や契約失効などで電力供給を受けられなくなった法人が、一時的に電力の供給を確保できるセーフティネット制度です。高圧需要家でもよく知られていますが、特別高圧需要家が最終保障供給を利用する場合には、さらに注意が必要な事項があります。
特別高圧の大規模需要家では、最終保障供給に切り替わった際のコスト増が事業運営に甚大な影響を与えるケースがあります。このページでは、特別高圧需要家が留意すべき注意点を整理します。
このページでわかること
- 特別高圧の最終保障供給の基本的な仕組み
- 高圧との違いと特別高圧特有の注意点
- 料金水準と影響額の把握
- 早期脱出のための準備事項
最終保障供給とは
最終保障供給(Last Resort Supply)は、一般送配電事業者(旧一般電気事業者)が提供する制度で、電力小売業者との契約が失効した法人に対して一定期間、電力供給を継続する制度です。電力自由化後のセーフティネットとして位置づけられています。
ただし、最終保障供給の料金は通常の小売契約に比べて高く設定されており、あくまでも「緊急避難的」な利用が前提です。早期に通常の小売契約に戻ることが求められます。
最終保障供給の基本的な仕組みは 最終保障供給とは で確認できます。
特別高圧の最終保障供給:高圧との違いと注意点
供給の仕組みが複雑
特別高圧では、最終保障供給を提供できる電力会社が高圧に比べて限られます。また、大型の変電設備が絡むため、供給条件の調整に時間がかかることがあります。
影響額が非常に大きい
特別高圧の使用量は非常に大きいため、最終保障供給の高い料金単価が適用されると、月次コストが通常時の数倍〜十数倍規模になることがあります。
代替供給先の確保が困難
特別高圧を受け入れられる電力会社・新電力の数は限られています。最終保障供給から早期に脱出するための代替先を素早く確保することが高圧より困難になる場合があります。
供給期間の上限への注意
最終保障供給には供給期間の上限(通常9カ月程度)があります。特別高圧では新規供給の調整に時間がかかるため、期間内に代替契約を結べるよう早期に動く必要があります。
料金水準と影響額
最終保障供給の料金は、通常の高圧・特別高圧小売契約に比べて高い水準に設定されています。一般的に、電力量料金は通常契約の1.5倍〜2倍以上になるケースがあります(電力会社・時期によって異なります)。
影響額のイメージ
※ 電力量料金が1.5倍になった場合の試算例
月間使用量 500,000kWh × 追加コスト +10円/kWh = 月額 +500万円
月間使用量 1,000,000kWh × 追加コスト +10円/kWh = 月額 +1,000万円
大規模工場やデータセンターでは、最終保障供給に長期間留まることで事業採算性が大きく悪化するリスクがあります。
早期脱出のための準備事項
最終保障供給に入る前、または入った直後から、以下の準備を並行して進めることが重要です。
- 代替供給先の早期打診:特別高圧を受け入れられる電力会社・大手新電力に直ちに相談を開始します。新規調達には数カ月かかることがあるため、最終保障供給に切り替わった直後から動くことが重要です。
- 使用量データの迅速な提供:見積依頼には過去の使用量データが必要です。30分コマ別のデータを準備しておきます。
- 供給期間の残日数を把握する:最終保障供給には供給期間の上限があります。残余期間を常に把握し、余裕を持って代替契約を締結します。
- 経営層への報告と意思決定の迅速化:最終保障供給への移行は速やかに経営層に報告し、代替先選定の意思決定を早める体制を整えます。
最終保障供給に入らないための事前の備え
最終保障供給リスクを回避するためには、契約先の電力会社の経営状況を定期的に確認し、供給停止リスクを事前に察知することが重要です。
- 契約先の決算・財務状況を年に一度確認する。
- 燃料費調整額の上限超過が継続している場合、電力会社の経営圧迫の可能性を検討する。
- 契約更新時期が近い場合は複数社から見積を取り、代替候補を持っておく。
最終保障供給に近づいている状況の対応手順は 最終保障供給に入りそうなときの対応手順 で確認できます。
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現在の使用量をもとに、最終保障供給水準の料金になった場合のコスト増加額をシミュレーターで試算できます。
