電力会社の仕入れは、すべて卸電力市場で完結しているわけではありません。市場を介さず、売り手と買い手が個別に条件を決めて取引する相対契約も、 重要な調達手段の一つです。
相対契約では、数量、価格、受け渡しの考え方、契約期間などを当事者間で取り決めます。そのため、市場価格に比べて安定的な条件をつくりやすい半面、 柔軟性や見直しのしやすさでは別の論点も出てきます。
相対契約は、市場を通さず、発電事業者や電源保有者などと個別条件で電気を取引する仕組みです。価格、数量、契約期間、受渡の考え方などを 当事者同士で決められるため、市場価格だけに依存しない調達ルートを持てます。
JEPXは市場参加者同士が短期の需給調整を行う場であり、価格は市場で決まります。相対契約はそれに対して、 個別の相手と条件を組み立てる取引です。必要な量を柔軟にその都度買いやすいのはJEPXですが、価格や契約条件の見通しを持ちやすいのは相対契約です。
| 比較項目 | JEPX | 相対契約 |
|---|---|---|
| 価格の決まり方 | 市場での約定価格に連動する | 当事者間で価格式や固定条件を個別に決める |
| 数量の持ち方 | 必要な量をその都度調達しやすい | 契約量をあらかじめ設定するケースが多い |
| 柔軟性 | 短期の需給変動に対応しやすい | 条件変更は契約次第で柔軟性が限られる |
| 価格安定性 | 需給逼迫時は大きく動く可能性がある | 市場急変の影響を和らげやすい |
| 実務上の役割 | 不足分や当日調整の吸収 | ベース需要の一部を安定的に確保 |
実務では、相対契約の相手先、契約期間、供給数量、価格式、受渡条件、環境価値の扱いなどが論点になります。期間は短期から複数年まで幅がありますが、 ベース需要の一部を一定条件で確保する目的で使われることが多くなります。
ただし、需要予測と実需はずれるため、相対契約で全量をぴったり合わせるのは簡単ではありません。契約で押さえた量から外れる分は、 市場や別契約で補うことになります。
相対契約のメリットは、価格安定性を持たせやすいこと、市場急騰の影響を一部和らげやすいこと、調達条件を見通しやすいことです。 一方で、需要変動への追随力は市場より低く、契約条件が固定化すると相場下落時の見直しはしにくくなります。
A.①自社発電、②相対契約(特定発電事業者から購入)、③JEPX市場、④先物市場、⑤再エネPPA、の5経路が主流です。各事業者の調達構成は公表されています。
A.需給バランスで決まります。需要が高い・供給が逼迫すると価格上昇、再エネ大量発電や需要低下で価格下落。30分単位で売買されます。
A.将来の供給力(発電所)を確保するための市場です。2020年に初回オークション開始、2024年から供給開始。コストは小売事業者経由で需要家に転嫁されます。
A.容量市場は「将来の発電能力」を取引、需給調整市場は「リアルタイムの調整力」を取引。両者は補完関係にあり、安定供給の二本柱です。
A.東京商品取引所(TOCOM)・欧州エネルギー取引所(EEX)で取引可能。大手法人がリスクヘッジ目的で活用する事例があります。中小企業には敷居が高め。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
相対契約を押さえたら、期間を長く取る長期契約や、リスク管理全体へつなげると調達構造が見えやすくなります。
相対契約の次は、期間を長く取る長期契約を見ると、価格安定と柔軟性のトレードオフをより具体的に整理できます。
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読む順番を意識して、前後の記事へつなげて読めるようにしています。調達手段の違いを単発で見るより、 全体像から順に追う方が背景をつかみやすくなります。
電力の仕入れ構造を押さえたうえで、自社の契約がどんな価格リスクに晒されているかをシミュレーターで数値化できます。調達戦略の壁打ちが必要なときは、専門家にお気軽にご相談ください。
記事を読んで気になった点があれば、エネルギー情報センターにお気軽にご相談ください。法人・自治体の電力契約に精通したスタッフが、中立的な立場で判断材料を整理します。初回相談は無料です。
中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。