クリニック・診療所は規模こそ大規模病院より小さいものの、医療機器・空調・滅菌設備など電力消費の大きい設備が集中する施設です。診療時間中はほぼすべての設備が同時稼働するため、ピーク時の電力需要が高く、デマンド超過やピーク料金の影響を受けやすい構造があります。
このページでは、クリニック特有の負荷特性と、電気料金見直しの考え方を整理しています。
このページでわかること
当法人は法人向け電気料金の高騰リスク分析・脱炭素対応支援を行う非営利法人です。本記事は公的データ(経済産業省・OCCTO・JEPX・環境省等)と実務知見を基に編集しています。
この記事の著者: 江田 健二(一般社団法人エネルギー情報センター 理事 / RAUL株式会社 代表取締役)— 電力・エネルギー業界20年以上、書籍20冊以上執筆、内閣府・中小企業庁・商工会議所登壇多数プロフィール →
クリニックの電気料金が上昇しやすい背景には、業態固有の構造的な要因があります。
電気料金の構造や上がる理由については、法人の電気料金が上がり続ける理由でも詳しく解説しています。
クリニックの電力使用は、以下の設備カテゴリに大きく分かれます。各設備の特性を把握することで、契約条件の見直し優先度が整理できます。
医療機器(診断・治療機器)
レントゲン・超音波診断装置・内視鏡・レーザー治療器など、診療科によって使用機器は異なりますが、瞬間的な電力消費が大きい機器が多く、デマンドのピーク形成要因になります。特に放射線科や整形外科では大型機器が集中します。
空調(診察室・待合室・処置室)
患者が常時滞在する待合室、感染予防のため換気が必要な診察室、清潔環境が求められる処置室など、各エリアで独立した空調管理が必要です。開閉の多いドアや外来患者の出入りにより、空調効率が落ちやすい構造でもあります。
滅菌・洗浄設備
オートクレーブや超音波洗浄機は診療の合間に繰り返し使用します。電力使用量は個々には小さいものの、加熱を伴うため電力消費が集中する時間帯があります。
照明・電子カルテ端末
診察室・廊下・待合室の照明に加え、各診察ブースや受付に設置されたパソコン・タブレット端末が終日稼働します。LED化により削減余地がある施設も少なくありません。
給湯・厨房(規模による)
デイケアや訪問看護と併設する場合など、給湯・簡易厨房が追加される施設もあります。規模は小さいものの、継続的な電力消費となります。
クリニックは、病院と同様に固定プランとの相性が良い業種です。その背景には以下の理由があります。
固定プランが向く理由
市場連動を検討する場合の前提条件
固定プランの選び方の考え方は 固定プランが向く法人の特徴で、市場連動リスクについては 市場連動プランが向かない法人の特徴で詳しく解説しています。
クリニックの見積比較では、単純な単価比較だけでなく以下の観点を確認することが重要です。
運用面の確認
見積書の読み方は 法人向け電気料金見積書の見方を、見直しの手順は 法人の電力契約見直しチェックリストを参考にしてください。
契約見直しと並行して以下の設備対策を講じることで、コスト削減効果を高められます。
クリニックの契約見直しにあたって、シミュレーターを活用することで以下の情報を数値で整理できます。
シミュレーターの具体的な使い方は シミュレーターの使い方で確認できます。
A.電力多消費業種(製造・冷凍倉庫・データセンター)は基本料金比率が高く、サービス業は使用量料金中心。業種特性に応じた最適化アプローチが異なります。
A.業種別ベンチマークデータは省エネルギーセンター・経産省統計で公表されています。自社の使用量を業種平均と比較することで改善余地が見えます。
A.①売上原価における電気代比率、②時間帯別消費パターン、③契約区分(高圧/低圧)、④地域分散度、の4軸で業種特性が変わります。
A.①製造業:デマンド管理・生産シフト、②飲食店:冷蔵冷凍効率化、③オフィス:空調・照明制御、④物流:冷凍倉庫運用、⑤データセンター:冷却最適化が定番です。
A.事業所別・業種別に契約・プランを最適化し、グループ全体で集中管理するハイブリッド型が効果的です。業種別の電力原単位管理を起点にします。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
はい、使用パターン・ピーク時間帯・契約区分が業種ごとに異なるため、見直しの着眼点も変わります。
経済産業省の電力取引報や新電力ネットの統計データで業種別の目安を確認できます。
著者: 江田健二(一般社団法人エネルギー情報センター 代表理事)
公開日: 2026-04-11
クリニックの契約条件をもとに、電気料金の上振れ幅をシミュレーターで確認できます。見直しの根拠資料としてご活用ください。
記事を読んで気になった点があれば、エネルギー情報センターにお気軽にご相談ください。法人・自治体の電力契約に精通したスタッフが、中立的な立場で判断材料を整理します。初回相談は無料です。
中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。