電力契約の見直しは、単にコスト削減の話だけでなく、経理部門にとっては予算計画・会計処理・支払い管理に影響を及ぼします。特に料金体系の変更(固定型から変動型への移行など)は、予算計上の考え方を変える必要が生じることもあります。
このページでは、電力契約見直しにおいて経理部門が確認・関与すべき事項を整理します。
このページでわかること
契約見直しの第一歩として、現行の電気代予算と見直し後の予算見込みを比較します。以下の手順で進めます。
現行の実績確認
直近12か月の月別実績(電気代支払額)を集計し、年間総額・月別平均・ピーク月の水準を把握する。
見直し後の予算見込み
新契約の見積を基に年間予算見込みを試算する。燃料費調整額・容量拠出金・市場価格調整額を含めた年間総額ベースで比較する。
変動要素の予算化
変動型の要素が含まれる契約では、「標準シナリオ」と「上振れシナリオ」の2つを試算し、上振れ余裕を予算に組み込むかどうかを検討する。
電力契約の料金体系によって、予算管理の難しさが変わります。
固定型(単価固定)
単価が固定されているため、使用量の変動のみが予算差異の原因となる。予算計画が立てやすく、差異分析も明確。
ただし燃料費調整額が別途変動する場合は、その分の変動管理が必要。
変動型(市場連動型を含む)
単価が変動するため、使用量が同じでも請求額が月によって大きく変わる可能性がある。予算の上振れ余裕を多めに確保する必要がある。
需給逼迫時(冬・夏)に特に上振れリスクが高まる。
電力会社が変わると、請求書の発行方式や支払い方法が変わることがあります。経理処理への影響を事前に確認します。
電力会社の変更自体は会計科目を変える必要はなく、引き続き「水道光熱費」「動力費」などの科目で処理します。ただし以下の点を確認します。
燃料費調整額や市場価格調整額が含まれる契約では、実績が予算を上回るリスクがあります。以下の方法で管理します。
月次モニタリング
請求書を受け取った際に、前月・前年同月と比較してコストの変動要因を確認する。燃料費調整額の動きを追うことで、今後の変動を予測しやすくなる。
予算差異の要因分解
電気代の予算差異が生じた際に、「使用量の増減」か「単価・調整額の変動」かを分けて把握することで、対策(省エネか契約見直しか)を判断しやすくなる。
上振れ余裕の確保
変動型の要素が含まれる契約では、予算策定時に過去の変動幅を参考にした上振れ余裕(5〜15%程度)を見込んでおく。
上振れリスクの具体的な幅は シミュレーター で試算できます。現行契約の条件を入力し、燃料費高騰シナリオの影響を確認してください。
電力契約の変更は、コストへの影響が大きいため稟議が必要なケースが多いです。経理部門が関与する場合は以下を確認します。
A.契約満了の3〜6ヶ月前が理想です。現契約の解約通知期限を過ぎると自動更新で見直し機会を失うため、満了時期の1年前からモニタリング開始することを推奨します。
A.①単価、②契約期間、③違約金条項、④燃料費調整の仕組み、⑤市場価格調整の有無、⑥更新通知期限、⑦値上げ通知時の解約権、の7項目です。単価比較だけでは不十分。
A.一概に決まりません。新電力は単価で有利なケースが多い一方、供給安定性・サポート体制は大手が優勢。2022〜2023年の新電力撤退リスクを教訓に、事業継続性も評価軸に含めるべきです。
A.①スケールメリットで単価交渉力向上、②契約管理工数の集約、③データ統合によるエネマネ高度化、④グループCO2削減戦略の統一、が得られます。年間5億円規模で年数千万円の削減も。
A.①見積条件(契約電力・使用kWh想定)を統一、②全費用項目を含む総額比較、③契約期間の統一、④違約金条項の差を見落とさない、⑤長期のシナリオ試算を加える、の5点に注意します。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
稟議や予算策定の根拠として、現行・候補プランの上振れリスク幅を数値で確認してください。
記事を読んで気になった点があれば、エネルギー情報センターにお気軽にご相談ください。法人・自治体の電力契約に精通したスタッフが、中立的な立場で判断材料を整理します。初回相談は無料です。
中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。