契約見直し時に施設管理が見るポイント
電力契約の見直しは、事業継続性に直結する供給の安定性や、切替に伴う設備への影響を伴います。施設管理部門は、現場の設備状況・電力需要パターン・切替時の作業対応など、他の部門にはわかりにくい実態を最もよく把握しています。
このページでは、電力契約見直しにおいて施設管理部門が確認・関与すべき事項を整理します。
このページでわかること
- 電力切替の手順と設備への影響
- 供給安定性の確認ポイント
- デマンド管理と基本料金削減の関係
- 受変電設備の管理と関連確認事項
- 電力使用パターンの整理と見積精度への貢献
電力切替の手順と施設側の対応
高圧・特別高圧の電力契約を切り替える場合、一般的には以下のプロセスが発生します。施設管理部門は各ステップで現場対応が求められることがあります。
スイッチング申請
新しい電力会社が一般送配電事業者(託送)に対してスイッチング申請を行う。この段階では施設側の作業は不要なことが多いが、申請に際して設備情報の提供を求められる場合がある。
メーター工事の有無確認
スマートメーター未設置の場合、切替時に交換工事が必要になることがある。工事の有無・日程・立会いの要否を新電力会社に確認する。
供給開始日の確認と現場対応
新契約の供給開始日に停電が発生しないことを確認する。切替は通常「切替日の深夜0時」に自動的に行われる場合が多いが、念のため切替日の翌朝に供給状況を確認する。
供給安定性の確認ポイント
施設管理の観点で最も重要なのは「安定して電力が供給されるか」です。以下の点を確認します。
- 送配電は変わらない:電力の物理的な「送電線・配電網」は一般送配電事業者が管理する公共インフラであり、電力会社を切り替えても停電リスクは変わらない。切替による電気の品質(電圧・周波数)への影響はない
- 新電力の財務状況・継続性:電力会社が撤退した場合は最終保障供給に切り替わるため、電力は途絶えないが料金が上昇する。施設運用に影響する事業継続性の観点から、電力会社の安定性を確認することが望ましい
- 需給逼迫時の対応方針:電力需給が逼迫した際の節電要請・計画停電への対応方針を事前に確認しておく
- 緊急時の連絡体制:電気に関するトラブル発生時の連絡先・対応時間を新電力会社に確認する
デマンド管理と基本料金削減
高圧・特別高圧契約では、基本料金が「最大需要電力(デマンド)」に基づいて決まることが多く、施設管理部門がデマンド管理を行うことでコスト削減につながります。
デマンドとは
30分ごとに計測される平均使用電力(kW)の最大値。この値に基づいて「契約電力」が決まり、基本料金が算定される。
デマンド管理の効果
ピーク時間帯に設備の同時稼働を分散させることで最大需要電力を抑制し、基本料金を下げることができる。空調・照明・生産設備の起動タイミングを調整する施策が有効。
デマンドコントローラーの活用
デマンドコントローラー(デマンド監視装置)を導入することで、リアルタイムでピークを監視・制御できる。既存設備での設置可否を確認する。
受変電設備の管理と関連確認事項
高圧・特別高圧で受電している施設では、キュービクル(受変電設備)の管理責任が需要家側にあります。電力切替に関連して、以下の点を確認します。
- 受変電設備(キュービクル)の保守点検状況と更新時期を確認する
- 電気主任技術者(選任または委託)の対応範囲に変更が生じないかを確認する
- スマートメーターへの交換が必要な場合、設備工事の日程調整が必要になることがある
- 太陽光発電・蓄電池設備がある場合、切替後も引き続き正常に機能するかを確認する
電力使用パターンの整理と見積精度への貢献
施設管理部門は、実際の電力使用パターンを最もよく知っている立場にあります。この情報を見積依頼時に提供することで、より精度の高い見積が得られます。
- 昼間・夜間・深夜の使用量比率(時間帯別料金プランの適否判断に使用)
- 季節変動の状況(冬・夏のピーク使用量と春・秋の谷間使用量の比較)
- 最大需要電力(デマンド)の推移と、今後削減できる見込みがあるか
- 今後1〜3年の設備変更・増設・移転などの予定
- スマートメーター設置状況と30分値データの取得可否
これらの情報は 新電力の相見積もり前に整理したい情報 としてまとめて担当部門に提供することで、見積の精度向上に貢献できます。
切替後の施設管理チェックポイント
- 切替日翌日・翌週に電力の供給が正常であることを確認する
- 初回請求書を受け取ったら、メーター値・使用量・請求金額が想定と一致しているかを確認する
- デマンド値の推移を引き続きモニタリングし、基本料金への影響を確認する
- 省エネ施策を継続し、コスト削減効果を把握する
- 電力会社の緊急連絡先・担当者情報を施設管理の連絡先リストに追加する
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設備状況を踏まえたリスクを試算する
現在の使用量・デマンド・料金体系を入力してシミュレーションを行うことで、見直しによる削減効果とリスク低減の効果を数値で確認できます。
