電力契約の見直しは、事業継続性に直結する供給の安定性や、切替に伴う設備への影響を伴います。施設管理部門は、現場の設備状況・電力需要パターン・切替時の作業対応など、他の部門にはわかりにくい実態を最もよく把握しています。
このページでは、電力契約見直しにおいて施設管理部門が確認・関与すべき事項を整理します。
このページでわかること
高圧・特別高圧の電力契約を切り替える場合、一般的には以下のプロセスが発生します。施設管理部門は各ステップで現場対応が求められることがあります。
スイッチング申請
新しい電力会社が一般送配電事業者(託送)に対してスイッチング申請を行う。この段階では施設側の作業は不要なことが多いが、申請に際して設備情報の提供を求められる場合がある。
メーター工事の有無確認
スマートメーター未設置の場合、切替時に交換工事が必要になることがある。工事の有無・日程・立会いの要否を新電力会社に確認する。
供給開始日の確認と現場対応
新契約の供給開始日に停電が発生しないことを確認する。切替は通常「切替日の深夜0時」に自動的に行われる場合が多いが、念のため切替日の翌朝に供給状況を確認する。
施設管理の観点で最も重要なのは「安定して電力が供給されるか」です。以下の点を確認します。
高圧・特別高圧契約では、基本料金が「最大需要電力(デマンド)」に基づいて決まることが多く、施設管理部門がデマンド管理を行うことでコスト削減につながります。
デマンドとは
30分ごとに計測される平均使用電力(kW)の最大値。この値に基づいて「契約電力」が決まり、基本料金が算定される。
デマンド管理の効果
ピーク時間帯に設備の同時稼働を分散させることで最大需要電力を抑制し、基本料金を下げることができる。空調・照明・生産設備の起動タイミングを調整する施策が有効。
デマンドコントローラーの活用
デマンドコントローラー(デマンド監視装置)を導入することで、リアルタイムでピークを監視・制御できる。既存設備での設置可否を確認する。
高圧・特別高圧で受電している施設では、キュービクル(受変電設備)の管理責任が需要家側にあります。電力切替に関連して、以下の点を確認します。
施設管理部門は、実際の電力使用パターンを最もよく知っている立場にあります。この情報を見積依頼時に提供することで、より精度の高い見積が得られます。
これらの情報は 新電力の相見積もり前に整理したい情報 としてまとめて担当部門に提供することで、見積の精度向上に貢献できます。
A.契約満了の3〜6ヶ月前が理想です。現契約の解約通知期限を過ぎると自動更新で見直し機会を失うため、満了時期の1年前からモニタリング開始することを推奨します。
A.①単価、②契約期間、③違約金条項、④燃料費調整の仕組み、⑤市場価格調整の有無、⑥更新通知期限、⑦値上げ通知時の解約権、の7項目です。単価比較だけでは不十分。
A.一概に決まりません。新電力は単価で有利なケースが多い一方、供給安定性・サポート体制は大手が優勢。2022〜2023年の新電力撤退リスクを教訓に、事業継続性も評価軸に含めるべきです。
A.①スケールメリットで単価交渉力向上、②契約管理工数の集約、③データ統合によるエネマネ高度化、④グループCO2削減戦略の統一、が得られます。年間5億円規模で年数千万円の削減も。
A.①見積条件(契約電力・使用kWh想定)を統一、②全費用項目を含む総額比較、③契約期間の統一、④違約金条項の差を見落とさない、⑤長期のシナリオ試算を加える、の5点に注意します。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
現在の使用量・デマンド・料金体系を入力してシミュレーションを行うことで、見直しによる削減効果とリスク低減の効果を数値で確認できます。
記事を読んで気になった点があれば、エネルギー情報センターにお気軽にご相談ください。法人・自治体の電力契約に精通したスタッフが、中立的な立場で判断材料を整理します。初回相談は無料です。
中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。