デマンドコントロールとは、30分平均の需要電力(デマンド値)が契約電力を超えないよう、事前に監視・警報・制御する仕組みのことです。高圧契約の基本料金は過去12か月の最大デマンドで決まるため、一度のピーク発生が1年分の基本料金に跳ね返ります。 これを抑える手段として、多くの法人で採用されています。
本記事では、装置の種類・費用相場・削減効果の目安・投資回収期間・導入判断の軸を整理します。
スマートメーターや専用計測器で30分ごとの使用電力を計測し、予測デマンド値(現時点の使用ペースをその30分枠末まで延長した推定値)がしきい値を超える見込みのとき、警報または自動制御で設備の運転を抑制します。 制御の対象は空調・照明・冷凍設備などが一般的で、「優先度の低い設備から順に段階的に落とす」方式が採用されます。
重要なのは、30分の平均値を下げることが目的という点です。瞬間的な電力が高くても、30分通算で契約電力を超えなければ問題にならないため、設備を完全停止するのではなく、数分単位で間引き運転する制御が主流です。
デマンドコントロールの装置は、大きく3種類に分かれます。施設規模や運用体制に合わせて選定するのが基本です。
警報型(監視のみ)
本体 5〜15万円(工事費別途3〜8万円)
予測デマンド値が閾値を超えるとブザー・ランプで通知。制御は人が手動で行う。
向く施設: 担当者が現場にいる事業所、設備停止の判断を人が下したいケース。
簡易制御型
本体 15〜40万円(工事費別途5〜15万円)
事前設定した優先順位で空調・照明など2〜4系統を自動で段階制御。
向く施設: 店舗・小規模工場など、制御対象が限定的な施設。
EMS連動型(本格制御)
30〜150万円(BEMS/FEMS全体では200〜500万円規模)
複数設備を柔軟にスケジュール+負荷連動で制御。クラウド遠隔監視・レポート機能あり。
向く施設: 中規模以上の工場・商業施設・複数拠点運営の法人。
※ 上記は参考相場。実際の費用は既存の受電設備、配線工事の難易度、制御対象数で変動します。
デマンドコントロールの効果は、ピークをどれだけ抑えられるかで決まります。目安としてはピーク10〜20%の抑制が現実的なラインで、その場合の基本料金削減は▲5〜15%程度になります。 電力量料金は使用量そのものが減るわけではないため大きく変わりません。効果の主軸は基本料金です。
月間電気代 30万円のクリニック(契約電力 40kW)
効果: ピーク10%抑制で基本料金 ▲約8%、年間削減 10〜15万円
回収期間: 警報型導入(15万円)で1〜2年
月間電気代 80万円の中小工場(契約電力 150kW)
効果: ピーク15%抑制で基本料金 ▲約12%、年間削減 40〜60万円
回収期間: 簡易制御型(50万円)で1年前後
月間電気代 200万円のオフィスビル(契約電力 400kW)
効果: ピーク10〜15%抑制で基本料金 ▲約10%、年間削減 70〜100万円
回収期間: EMS連動型(120万円)で1.5年
※ 試算は契約電力あたり基本料金単価を 1,700〜2,400円/kW 前後と仮定した概算。地域・契約区分・力率により増減します。
次のいずれかに当てはまる施設では、デマンドコントロールの投資効果が出やすい傾向があります。
逆に、年間を通じて電力使用が安定している施設(データセンター・24時間工場の定常運転部分)ではピーク抑制の余地が少なく、効果が限定的になりやすい点には注意が必要です。
単に機械を置くだけでは効果が出にくい施策です。高圧電力の基本料金を下げる5つの方法と組み合わせて、契約電力の見直しまでを一連で設計するのが効果的です。
デマンド推移の定量評価から始めたい場合は、過去12か月のデータ取得と基本料金試算がスタート地点です。導入判断に迷う場合はご相談ください。