暑い夏は使用量が増えるだけでなく、電気の単価そのものが上がりやすい場面があります。法人・企業・自治体では空調負荷が大きく、 請求額の増加が予想より大きくなるケースもあります。
このページでは、猛暑時の上振れ構造と、契約メニューごとの見え方を整理します。見直しや比較の前提としてご活用ください。
猛暑リスクは、主に7月〜9月に電気料金・電気代が上振れしやすくなる要因です。冷房需要が集中しやすく、特に午後から夕方にかけて 需給が厳しくなることがあります。
市場全体の需要が高まる局面では、使用量の増加と単価上昇が同時に起こる場合があるため、夏場は月次コストの管理で注意が必要です。
気温上昇により空調負荷が増えると、使用量が増加します。さらに需要が集中すると市場価格が上がりやすくなり、 市場価格の影響を受ける契約では単価面の上振れも起こり得ます。
法人や自治体では、床面積が大きい施設、稼働時間が長い施設、ピークが集中しやすい施設ほど影響が出やすい傾向があります。
市場連動プランは、夏場の価格変動の影響を受けやすく、上振れが見えやすい契約です。一方で、固定プランでも、使用量が増えれば請求額は上がります。
契約の見方は単価だけでなく、使用量、ピーク、デマンドまで含めて考えることが重要です。違いの整理は 市場連動プランと固定プランの比較ページが参考になります。
施設用途ごとに負荷特性が異なるため、自社・自施設の運用実態に合わせて確認することが大切です。
見直し時期の考え方は 電力契約を見直すタイミング、比較の進め方は 新電力を比較するときのポイントのページで確認できます。
まずはベースケースとの差分を確認し、次にワーストシナリオと比較すると、夏要因の寄与を把握しやすくなります。自社・自施設に近い使用条件で確認することが精度向上につながります。
歴代ピーク需要Top10は全て7-8月の平日に記録。最大は2020年8月20日の164,910MW。 これらのデータはOCCTO(電力広域的運営推進機関)の公表データを集計したものです。
| 順位 | 日付 | 曜日 | ピーク需要(MW) |
|---|---|---|---|
| 1 | 2020-08-20 | 木 | 164,910 |
| 2 | 2022-08-02 | 火 | 164,890 |
| 3 | 2020-08-21 | 金 | 164,720 |
| 4 | 2019-08-02 | 金 | 163,540 |
| 5 | 2018-08-03 | 金 | 163,390 |
| 6 | 2021-08-05 | 木 | 163,260 |
| 7 | 2018-07-23 | 月 | 163,030 |
| 8 | 2022-08-03 | 水 | 162,900 |
| 9 | 2018-08-02 | 木 | 162,860 |
| 10 | 2022-08-01 | 月 | 162,590 |
夏の14時台は全国需要が123,372MWに達し、冷房需要が集中。 この時間帯にJEPX価格も急騰しやすく、市場連動プランの上振れリスクが最大化します。
猛暑リスクは単なる「今年の暑さ」ではなく、30年単位で構造的に拡大しています。気象庁データが示す長期トレンドを確認することで、夏の電気代上振れリスクが今後も続く理由が分かります。
各10年間における猛暑日の累計日数(気象庁データより集計)。
| 都市 | 1990年代 | 2000年代 | 2010年代 | 2020年代 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 札幌 | 1 | 2 | 0 | 8 | 8.0倍 |
| 仙台 | 1 | 5 | 15 | 32 | 32.0倍 |
| 東京 | 21 | 36 | 80 | 101 | 4.8倍 |
| 名古屋 | 53 | 152 | 175 | 179 | 3.4倍 |
| 金沢 | 18 | 32 | 42 | 62 | 3.4倍 |
| 大阪 | 42 | 153 | 176 | 164 | 3.9倍 |
| 広島 | 25 | 63 | 111 | 109 | 4.4倍 |
| 松山 | 8 | 42 | 78 | 83 | 10.4倍 |
| 福岡 | 18 | 50 | 136 | 126 | 7.0倍 |
1995〜99年平均と2020〜25年平均の比較(気象庁データより)。
| 都市 | 1995〜99年 | 2020〜25年 | 上昇幅 |
|---|---|---|---|
| 札幌 | 25.6℃ | 28.2℃ | +2.6℃ |
| 仙台 | 27.2℃ | 30.0℃ | +2.7℃ |
| 東京 | 30.7℃ | 32.5℃ | +1.8℃ |
| 名古屋 | 32.0℃ | 33.7℃ | +1.7℃ |
| 金沢 | 30.0℃ | 32.1℃ | +2.0℃ |
| 大阪 | 32.4℃ | 33.7℃ | +1.3℃ |
| 広島 | 31.7℃ | 32.7℃ | +1.0℃ |
| 松山 | 31.6℃ | 32.8℃ | +1.2℃ |
| 福岡 | 31.3℃ | 33.2℃ | +1.9℃ |
冷房度日(基準温度22℃)は冷房電力需要の規模感を示す指標。1995〜99年平均と2020〜24年平均を比較(主要5都市)。
| 都市 | 1995〜99年 | 2020〜24年 | 増加率 |
|---|---|---|---|
| 東京 | 470 | 583 | +24% |
| 大阪 | 602 | 747 | +24% |
| 名古屋 | 500 | 702 | +40% |
| 福岡 | 534 | 739 | +38% |
| 広島 | 530 | 672 | +27% |
| 年 | 熱帯夜日数 |
|---|---|
| 2010年 | 56日 |
| 2018年 | 42日 |
| 2019年 | 28日 |
| 2020年 | 27日 |
| 2021年 | 19日 |
| 2022年 | 27日 |
| 2023年 | 57日 |
| 2024年 | 47日 |
| 2025年 | 55日 |
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
猛暑の夏(7〜9月)は電力需要が急増し、JEPXスポット価格が通常比+3〜8円/kWh程度上昇することがあります。市場連動プランでは月額電気代が10〜30%程度増加するケースもあり得ます。2023年の猛暑では一時的に15円/kWhを超えるエリアもありました。
市場連動プラン(JEPXスポット価格に連動)は猛暑時の需給逼迫による価格上昇を直接受けます。固定プランは短期の市場変動の影響を受けにくいですが、翌年の更新時に市場水準を反映した料金に改定されることがあります。
夏期の需要実績(月間使用量・ピーク電力)を事前に確認し、市場連動プランと固定プランの比較を行うことが有効です。特に空調使用が多い業種・施設では、夏季の上振れ幅を考慮した年間予算計画を立てることをお勧めします。
著者: 江田健二(一般社団法人エネルギー情報センター 代表理事)
公開日: 2026-03-28
猛暑リスクの次は、ほかのシナリオ・長期推移・診断比較・上昇要因へ進むと、予算と契約の説明が揃いやすくなります。
猛暑リスクの構造を押さえた後は、比較ページやシミュレーションで自社に近い条件を試算すると、契約見直しの判断がしやすくなります。
猛暑以外にも、法人の電気料金に影響するリスク要因があります。要因ごとに上振れのパターンが異なるため、自社に関係の深いシナリオから確認できます。
記事を読んで気になった点があれば、エネルギー情報センターにお気軽にご相談ください。法人・自治体の電力契約に精通したスタッフが、中立的な立場で判断材料を整理します。初回相談は無料です。
中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。