燃料費調整額上昇で法人の電気料金はどう上がるか
燃料費調整額(燃調費)は、電気料金の構成要素のうち、燃料価格の変動を反映する項目です。LNGや石炭などの燃料価格が上昇すると、数カ月後に燃調額がプラス方向に大きく振れ、法人の月次請求が急増することがあります。
燃料費調整額は、固定プランを選んでいても多くのケースで変動します。「固定プランだから安心」と思っていたにもかかわらず、燃調額の急増で請求が想定を大きく上回るケースが2021〜2022年に多数報告されました。このページでは、燃調額上昇の仕組みと、法人が確認すべきポイントを整理します。
このページでわかること
- 燃料費調整額が上昇する仕組みとタイミング
- 上昇が法人の月次請求に与える影響の試算方法
- プランの確認ポイント(上限設定など)
- 燃調リスクへの備え方
燃料費調整額の上昇が起きるシナリオ
燃料費調整額はLNG・石炭・石油の価格指数に基づいて算定されます。これらの国際商品価格が上昇すると、数カ月後に調整額がプラス方向に振れます。代表的な上昇シナリオは以下の通りです。
- LNG国際価格の高騰:地政学的リスクや欧州での需要急増により、LNG調達コストが急上昇するシナリオ。
- 原油価格の長期上昇:原油とリンクして算定されるケースでは、原油高騰が直接影響します。
- 円安進行:燃料は外貨建てで調達されるため、円安が進むと円換算での調達コストが上昇し、燃調額に反映されます。
燃料費調整額の基本的な仕組みは 燃料費調整額(燃調費)とは で詳しく確認できます。
法人の月次請求への影響:試算の考え方
燃料費調整額の変動が月次請求に与える影響は、次の計算で求められます。
影響額の計算式
月次コスト増加額(円)= 月間使用量(kWh)× 燃調額変化分(円/kWh)
例1:月間使用量 30,000kWh × 燃調 +2円/kWh = 月額 +60,000円
例2:月間使用量 100,000kWh × 燃調 +5円/kWh = 月額 +500,000円
例3:月間使用量 50,000kWh × 燃調 +10円/kWh = 月額 +500,000円
2021〜2022年には燃料費調整額が10円/kWhを超えて上昇したケースもあり、年間換算では事業規模に応じて数百万〜数千万円の想定外コストが発生しました。
プランで確認すべき4つのポイント
燃料費調整額のリスクを管理するために、現在の契約プランで以下の点を確認しておくことが重要です。
上限設定の有無
契約プランに燃料費調整額の上限(キャップ)が設けられているかを確認します。上限があれば高騰時の影響が一定額でキャップされます。ただし上限超過分は電力会社が吸収する構造のため、供給継続リスクも別途確認が必要です。
調整方式(基準燃料価格との差額計算)
基準となる燃料価格から実際の調達価格との差額を算出し、電力量料金に加減算する仕組みです。基準価格からの乖離が大きいほど調整額が大きくなります。
適用月のラグ
燃料費調整額は通常、2〜3カ月前の燃料価格に基づいて算定されます。燃料価格が上昇してから請求に反映されるまでにラグがあるため、いつの燃料価格が現在の請求に影響しているかを理解することが重要です。
プランごとの算定式の違い
旧来の規制料金メニューと新電力のプランでは算定方式が異なる場合があります。見積書に記載されている燃調の算定方式を確認し、他のプランと比較する際に注意が必要です。
影響を受けやすい企業の特徴
燃料費調整額の上昇で特に大きな影響を受けやすい企業の特徴を以下に示します。
- 電力使用量が大きい法人:製造業、冷蔵倉庫、大型商業施設など。使用量に比例して影響額が拡大します。
- 燃調上限がないプランを契約している法人:上限なしのプランでは、燃料価格がどれだけ上がっても全額が請求に反映されます。
- 利益率が低い業種:スーパー、飲食、物流など。電気料金の数%上昇が直接的に営業利益を圧迫します。
- 価格転嫁が難しい法人:医療機関、介護施設、公定価格で運営する機関。コスト増をサービス価格に転嫁できないため直接的に収益を損ないます。
備え方:燃調上昇リスクへの対策
燃料費調整額の上昇リスクに対して、以下の対策が有効です。
- 上限設定のあるプランに切り替える:燃調上限付きのプランを選ぶことで、高騰時のリスクをキャップできます。
- 複数シナリオで年間コストを試算する:燃調が現状、+3円、+7円、+10円となった場合を想定して年間コストを比較します。
- 予算策定時に変動幅を織り込む:燃調額の過去の変動幅を参考に、予算に幅(バッファ)を持たせます。
- 省エネで使用量を削減する:同じ燃調上昇率でも、使用量が少なければ影響額は小さくなります。
関連ページ
燃調上昇シナリオを自社の数字で確認する
燃料費調整額が上昇した場合の年間コスト増加額を、シミュレーターで試算できます。プランごとの比較にも活用できます。
