電力の相見積もりを依頼する際、事前に情報を整理しておくかどうかで、返ってくる見積の精度と比較可能性が大きく変わります。前提条件が不明確なまま依頼すると、各社がそれぞれの前提で見積もるため、単純比較ができなくなります。
このページでは、見積依頼を行う前に整理しておくべき情報を4つのカテゴリに分けて解説します。
このページでわかること
見積依頼時に情報が不足していると、以下のような問題が発生します。
情報を整理して依頼することで、見積の精度が高まり、比較検討が実質的になります。
月別使用電力量(kWh)
直近12か月分が理想。季節変動のパターンを示すためにも12か月そろえる。
月別最大需要電力(kW)
契約電力の決定に使われる。請求書の「最大需要電力」または「デマンド値」を確認。
30分値データ(取得可能な場合)
スマートメーター設置済みの場合、30分単位の使用量データを取得できることがある。市場連動型プランの評価に有効。
使用量の変動予定
設備増設・省エネ投資・生産計画の変更など、今後1〜2年の使用量変化の見込みがあれば伝える。
供給地点特定番号(22桁)
請求書または契約書に記載。電力会社の切替手続きに必要な番号で、見積依頼の際に提示を求められることがある。
現行の契約メニュー名・電圧区分
高圧か特別高圧か、また現行プランの名称を確認。見積の前提条件を揃えるために必要。
現行の契約電力(kW)
基本料金の計算基準となる数値。請求書の「契約電力」欄で確認。
契約満了日と自動更新条項
切替可能タイミングを確認するために必要。解約予告期限と合わせて確認する。
中途解約条項(違約金の有無・算定方法)
現行契約から切り替える場合のコストを把握するために必要。
供給場所の住所・建物概要
見積の対象拠点を特定するために必要。複数拠点の場合は全拠点の一覧を用意する。
受変電設備の有無と容量
特別高圧・高圧受電の場合、受変電設備(キュービクル等)の有無が関係する。
営業時間・使用パターンの概要
昼間と夜間の使用量の比率など、負荷パターンの概要を伝えることで、料金体系との相性を評価しやすくなる。
見積の基準期間(月・年)
「直近12か月の実績ベースで見積もってほしい」と明示することで、各社の見積条件が揃う。
希望する契約期間
1年・2年・3年など、希望する契約期間があれば明記する。複数の期間で比較したい場合も伝える。
固定か市場連動かの希望
どちらのタイプの見積を求めるかを明示しないと、各社がバラバラな条件で見積もってくることがある。
回答期限
見積の回答期限を明示する。2週間程度が目安だが、複数拠点や特殊条件がある場合は3週間以上を見込む。
供給地点特定番号(22桁の数字)は、電力切替手続きに必要な番号です。請求書に記載されていることが多く、「供給地点番号」「地点番号」「お客様番号」などの名称で記載されています。見つからない場合は現行の電力会社に問い合わせることで確認できます。
複数拠点がある場合は、拠点ごとに異なる番号があります。拠点一覧と対応する供給地点特定番号を表にまとめておくと、見積依頼の際にスムーズです。
電話や口頭ではなく、書面(メールや見積依頼書)で依頼することで、前提条件を明確にしたまま複数社に同条件で依頼できます。見積依頼書には以下の内容を記載します。
見積を受け取ったら、まず前提条件が揃っているか確認します。使用量・契約電力・契約期間が統一されているかを確認し、ズレがある場合は同じ条件で再提出を求めます。その後、基本料金・電力量料金・調整額の各項目を比較し、年間総額でも試算します。見積比較の詳細な手順は 法人向け電気料金見積書の見方 で確認できます。
A.契約満了の3〜6ヶ月前が理想です。現契約の解約通知期限を過ぎると自動更新で見直し機会を失うため、満了時期の1年前からモニタリング開始することを推奨します。
A.①単価、②契約期間、③違約金条項、④燃料費調整の仕組み、⑤市場価格調整の有無、⑥更新通知期限、⑦値上げ通知時の解約権、の7項目です。単価比較だけでは不十分。
A.一概に決まりません。新電力は単価で有利なケースが多い一方、供給安定性・サポート体制は大手が優勢。2022〜2023年の新電力撤退リスクを教訓に、事業継続性も評価軸に含めるべきです。
A.①スケールメリットで単価交渉力向上、②契約管理工数の集約、③データ統合によるエネマネ高度化、④グループCO2削減戦略の統一、が得られます。年間5億円規模で年数千万円の削減も。
A.①見積条件(契約電力・使用kWh想定)を統一、②全費用項目を含む総額比較、③契約期間の統一、④違約金条項の差を見落とさない、⑤長期のシナリオ試算を加える、の5点に注意します。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
現行契約の条件でシミュレーションを行うことで、見直しの優先度を判断する根拠を作れます。見積依頼の準備と並行して活用してください。
記事を読んで気になった点があれば、エネルギー情報センターにお気軽にご相談ください。法人・自治体の電力契約に精通したスタッフが、中立的な立場で判断材料を整理します。初回相談は無料です。
中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。