EV・充電インフラ
EV充電設備の電気代は、充電器の出力(kW)× 稼働時間 × kWh単価で概算できます。 ただし法人利用では、従量料金に加えて 基本料金(契約電力)への影響が見過ごせません。 とくに急速充電器(50kW以上)を入れると契約区分を低圧から高圧へ切り替える必要が出てくるケースがあり、 基本料金の構造変化が月額コストの主因になります。
このページでは、普通充電・急速充電・超急速充電ごとの月額コスト試算、 既存契約で収まるかの判定ライン、時間帯別単価を活用した充電タイミング最適化までを整理します。
法人向けEV充電器は、普通充電(3〜6kW)、急速充電(20〜50kW)、超急速充電(90〜150kW以上)の3分類が主流です。 充電器の定格出力 × 稼働時間 で月間消費電力を概算します。
| 充電器タイプ | 定格出力 | 1時間あたり | 1日あたり(想定) | 月間使用量 |
|---|---|---|---|---|
| 普通充電(6kW・単相200V) | 6 kW | 6 kWh/時 | 48 kWh(8時間稼働) | 約1,000 kWh(22営業日) |
| 急速充電(50kW・三相200V) | 50 kW | 50 kWh/時 | 200 kWh(4時間稼働) | 約4,400 kWh(22営業日) |
| 超急速充電(150kW・三相) | 150 kW | 150 kWh/時 | 300 kWh(2時間稼働) | 約6,600 kWh(22営業日) |
※ 上記は定格フル稼働前提の最大値です。実際の稼働率は30〜60%程度で変動します。
月額コストは「従量料金(kWh × 単価)+ 基本料金への追加分」の合計で見ます。 急速充電を入れると、kWh従量よりも基本料金インパクトの方が大きくなることに注意が必要です。
| 構成 | 月間使用量 | 従量料金 | 基本料金影響 | 月額合計 |
|---|---|---|---|---|
| 普通充電 1基(6kW) | 約1,000 kWh/月 | 約25,000円(25円/kWh) | 低圧契約内で収まるケース多い | 約25,000〜30,000円/月 |
| 普通充電 3基(18kW相当) | 約3,000 kWh/月 | 約75,000円 | 契約電力見直し必要の可能性 | 約80,000〜95,000円/月 |
| 急速充電 1基(50kW) | 約4,400 kWh/月 | 約88,000円(20円/kWh・高圧) | 基本料金 +約85,000円/月 | 約170,000〜180,000円/月 |
※ 基本料金単価は高圧 1,700円/kW/月で試算。低圧は契約アンペア単価が異なります。
契約電力50kW未満は低圧、50kW以上は高圧(特別高圧は2,000kW以上)に区分されます。 普通充電(6kW)を数基設置する程度なら既存の低圧契約で収まるケースが多い一方、 急速充電(50kW)1基を入れると、既存の契約電力に50kWが上乗せされて高圧切替が必要になりやすくなります。
高圧切替は受変電設備(キュービクル)設置と電気主任技術者の選任が必要になり、 初期投資は300万〜1,000万円、年間の保安費用も数十万円発生します。 この固定費を上回る使用量メリットが出るかを、3〜5年の中期視点で試算するのが実務です。
詳しい区分は法人EV充電の基礎、既存契約への影響はEV充電設備の電力契約タイプで整理しています。
EV充電コストは、時間帯別料金(TOU)や深夜電力プランとの組合せで大幅に下げられます。 業務車両の運行時間とセットで充電スケジュールを設計します。
社用車の普通充電は、22時〜8時のオフピーク帯に集中させると、単価は10〜15円/kWhまで下がります。日中の25〜30円/kWhと比べて約半額になる計算です。業務終了後にタイマー充電することで、1台あたり月3,000〜5,000円の削減が可能です。
急速充電は基本料金へのインパクトが大きいため、デマンド値が立つ13〜16時帯を避けるのが鉄則。業務車両の走行後、翌朝までに間に合わせる運用計画にすれば、デマンドのピーク形成を回避できます。
屋根上太陽光を自家消費している事業所では、日中の余剰電力でEV充電することでkWh単価を実質ゼロ近くまで圧縮できます。日射条件の良い10〜14時の充電スケジューリングが効果的です。
多くの業務用EV充電器は充電開始時刻・終了時刻の予約機能を持ちます。契約プランの時間帯料金と電気自動車の運用パターン(次回使用時刻)をマッピングし、充電器設定として反映するのが実装ステップです。
契約区分・使用量・充電器構成を入力すると、基本料金変化を含む年間コスト影響を試算できます。