EV・充電インフラ
社用車10台をEV化するか否かの判断は、TCO(総保有コスト)ベースの比較が必須です。 初期費用はEVが高くつく一方で、年間のランニングコスト(燃料費・メンテナンス)で逆転が起こるかどうかは、 年間走行距離と保有年数に強く依存します。
このページでは、年間5,000km・15,000km・30,000kmの3パターンで損益分岐点を試算し、 5年保有と10年保有のTCO差分、電池劣化・出先充電・冬季電費悪化といった隠れたコストまで整理します。
EV車両は本体価格がガソリン車の1.5〜2倍程度と高額ですが、CEV補助金や地方自治体の上乗せ補助金で50万〜100万円が還元されます。 加えて、共有充電設備のコストが1台あたり10〜20万円発生します。 補助金反映後の実質初期費用で、両者の差額を把握します。
| 項目 | ガソリン車 | 電気自動車(EV) |
|---|---|---|
| 車両本体(1台・小型乗用) | 250万円 | 450万円 |
| 補助金(CEV補助金等・2026年度想定) | なし | ▲55万円 |
| 充電設備(1台あたり按分) | 0円 | 15万円(共有6kW普通充電) |
| 実質的な初期費用(1台あたり) | 250万円 | 410万円 |
| 10台分の実質初期費用 | 2,500万円 | 4,100万円 |
10台ベースで 初期費用差は約1,600万円。この差額を何年で回収できるかが、EV化判断の一次評価軸です。
燃料費・メンテナンス・税金の年間コストは、EVの方が大幅に低くなります。 一般的な社用車(15,000km/年)の試算では、1台あたりの年間差は約20万円、10台で年約207万円の差が出ます。
| 項目 | ガソリン車 | 電気自動車(EV) |
|---|---|---|
| 燃料費/電気代 | 約212,500円(170円/L・12km/L) | 約75,000円(25円/kWh・5km/kWh) |
| 車検・定期点検 | 約80,000円 | 約45,000円 |
| オイル交換等の消耗品 | 約30,000円 | 約5,000円 |
| 自動車税 | 約34,500円 | 約25,000円(グリーン化特例) |
| 1台あたり年間合計 | 約357,000円 | 約150,000円 |
| 10台分の年間合計 | 約357万円 | 約150万円 |
初期費用差1,600万円を、ランニングコスト差で何年で回収できるかを年間走行距離別に試算しました。年間15,000km以上走る車両構成なら、10年保有でEVが有利になるのが目安です。
| 年間走行距離 | 10台の年間差分 | 損益分岐点 | 5年保有時 | 10年保有時 |
|---|---|---|---|---|
| 5,000 km/年(営業軽利用) | 約110万円/年 | 約14.5年 | EV不利(△1,050万円) | EV不利(△500万円) |
| 15,000 km/年(一般的な社用車) | 約207万円/年 | 約7.7年 | EV不利(△560万円) | EV有利(+470万円) |
| 30,000 km/年(配送・営業ハード利用) | 約414万円/年 | 約3.9年 | EV有利(+470万円) | EV有利(+2,540万円) |
※ 初期費用差 約1,600万円(10台)を基準に試算。燃料価格・電気料金の変動、補助金の拡充・縮小で結論は変動します。
上の試算には含めていないものの、実運用で無視できない4つの要素を整理します。 案件評価では、これらの要素の見積を1つ1つ加算した「厳密TCO」で最終判断するのが堅実です。
EVの駆動用電池は、走行距離・充電回数・気温条件により8〜10年で容量が70〜80%まで劣化します。交換費用は1台あたり100〜200万円と高額で、10年保有前提ならこの項目をTCOに組み込むか、前提として除外するかで結論が変わります。リース契約ではこの劣化リスクをリース料に転嫁されるのが通例です。
自社充電比率が100%なら電気代は上の試算どおりですが、現実には出先で急速充電を使う機会が発生します。公共急速充電の単価は50〜80円/kWhとレートが高く、利用比率が20%を超えると自社充電前提の試算から月数千円〜1万円上振れします。配送業など稼働距離が長い業態では、自社充電インフラの整備が必須要件になります。
リチウムイオン電池は低温環境で出力・容量が低下します。冬季(12〜2月)は暖房用電力も加わって電費が夏季より20〜30%悪化し、実走行の電気代試算にバッファが必要です。北海道・東北・北陸の事業者は、年間電費を5km/kWhではなく4km/kWh前提で保守的に試算することを推奨します。
急速充電でも30〜40分、普通充電で8時間かかるため、給油5分のガソリン車より実働時間が短くなります。業務車両の稼働率が高い業態では、この機会損失を金銭換算(ドライバー人件費×待ち時間)してTCOに入れる検討が必要です。
走行距離・保有年数・充電インフラの3軸で、EV化が有効な事業者を類型化すると以下の通りです。
走行距離・保有台数・事業所の充電環境など、個別条件を踏まえたTCO試算のご相談を受け付けています。初回相談は無料です。