最終保障供給の料金は、通常の小売契約より 2〜3 割高い設定です。 2022 年の急増局面では、JEPX 連動部分の算定が見直されるまで、通常契約の 1.5〜2 倍になった月もありました。 このページでは、料金の構造、通常契約との差の理由、実額試算までを詳しく解説します。
最終保障供給の料金は、一般送配電事業者が経済産業大臣の認可を受けた料金表に基づいて算定されます。 通常の小売料金と同様に、基本料金+電力量料金+燃料費調整額+再エネ賦課金の構成ですが、 標準メニュー(旧一般電気事業者の規制料金)に比べて 20% 程度高い単価設定になっています。
料金構成
2022 年 9 月以前の最終保障供給料金は、標準メニューに対して固定で 1.2 倍の割増でした。 しかし 2022 年の急増で問題化したのは「通常契約より安く見える時期があった」ことです。 JEPX 価格が高騰した 2022 年夏、最終保障供給に敢えて移行する事業者が現れ、制度の趣旨と矛盾しました。
これを受けて、2022 年 10 月から最終保障供給料金に「市場価格調整額」が追加され、JEPX 高騰時はより高くなる仕組みに見直されました。
中規模工場(500kW 高圧契約、月10万kWh)を例に、通常契約と最終保障供給の月額を比較します。
| 項目 | 通常契約(固定) | 最終保障供給 |
|---|---|---|
| 基本料金 | 約 80 万円 | 約 96 万円 |
| 電力量料金 | 約 180 万円 | 約 216 万円 |
| 燃料費調整額 | 約 25 万円 | 約 25 万円 |
| 再エネ賦課金 | 約 35 万円 | 約 35 万円 |
| 月額合計 | 約 320 万円 | 約 372 万円 |
| 年額換算 | 約 3,840 万円 | 約 4,460 万円 |
※ 概算試算。実際の料金は地域・契約区分・JEPX 連動部分により変動します。 年額で 620 万円(16%)、月額で 52 万円程度の差が出ます。
使用量が大きいほど、最終保障供給と通常契約の差額が急拡大します。月1万kWhから月50万kWhまでの規模別試算です。
最終保障供給は標準料金の1.2倍。自社の契約条件を入力して、通常小売契約と比べた追加コストを試算します。早期切替の経済合理性が確認できます。
通常契約の月額
3,858,000円
最終保障供給の月額
4,629,600円
月差: +771,600円(+20.0%)
6ヶ月累計の追加コスト
+4,629,600円
※ 最終保障供給は標準料金の1.2倍を基本とした概算試算。実際にはJEPXスポット価格に連動し、需給逼迫時はさらに上昇する可能性があります。早期切替推奨。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
| 使用量規模 | 通常契約 月額 | 最終保障 月額 | 月額差 | 年額差 |
|---|---|---|---|---|
| 月1万kWh(小規模オフィス) | 約18万円 | 約26万円 | +8万円 | +96万円 |
| 月5万kWh(中規模ビル・工場) | 約90万円 | 約130万円 | +40万円 | +480万円 |
| 月20万kWh(大規模工場・商業施設) | 約360万円 | 約520万円 | +160万円 | +1,920万円 |
| 月50万kWh(大型施設・特別高圧) | 約900万円 | 約1,300万円 | +400万円 | +4,800万円 |
※ 通常契約は電力量料金約18円/kWh、最終保障供給は約26円/kWhで概算。基本料金・燃調・再エネ賦課金は別途加算。実際の料金はエリア・契約区分・JEPX連動部分により変動します。
最終保障供給の料金は通常の小売契約より一般的に2〜3割高く設定されています。JEPXの市場価格が高騰した2022年ピーク時には通常の数倍に達したケースもありました。月間使用量が多いほど差額も大きくなるため、早期の通常契約への切替が推奨されます。
政府の電気代補助(激変緩和措置)は最終保障供給にも適用される場合がありますが、補助の終了後は通常の料金水準に戻ります。補助に頼った状態を継続することは中長期のコスト管理上リスクがあるため、通常契約への移行を早めに進めることが重要です。
割高な料金が継続し、月額電気代が数十万〜数百万円規模で増加する可能性があります。自治体の場合は補正予算の計上が必要になることもあります。長期化するほど損失が積み上がるため、切替先が決まり次第、速やかに移行手続きを進めてください。
著者: 江田健二(一般社団法人エネルギー情報センター 代表理事)
公開日: 2025-08-01
最終保障供給は長期利用を前提にしていない制度です。早めの切替準備を。
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