再エネ賦課金改定後の本格運用月・GW明けの需要再開・冷房シーズン入りの3つが重なる5月使用分の整理
2026年5月使用分の法人向け電気料金は、3つの構造変化が同時に表面化する月です。第一に、5月1日施行の再エネ賦課金新単価(速報値 3.98円/kWh、前年度比 +0.49円)が初めて全使用量に上乗せされる本格運用月。第二に、ゴールデンウィーク中の需要落ち込みと平日通常稼働のコントラスト。第三に、冷房シーズン開始に伴うJEPXスポット価格の上振れ局面入りです。
さらに、補助金終了後の実力ベース請求が定着した中で、6-8月の夏季ピーク前に契約見直し・設備対策を完了させる最終的なタイミングでもあります。法人にとっては「単月の請求額を確認する」だけでなく、夏季の上振れリスクを踏まえた年間予算の再点検と契約見直しの意思決定を5月中に進める必要があります。
この記事では、当社団が運営している「新電力ネット」のデータと経産省・JEPX・OCCTO・気象庁の公開情報をもとに、2026年5月使用分の電気料金動向を、低圧・高圧・特別高圧と業種別の影響度の両面から整理します。本記事掲載数値は5月15日時点の見込み値・速報値を含み、確定値は5月末〜6月初に更新予定です。
当社団が運営している「新電力ネット」のデータをもとに、契約区分ごとのkWhあたり単価を整理しました。
特別高圧
16.8円/kWh
高圧
21.5円/kWh
低圧電灯
26.0円/kWh
低圧電力
29.5円/kWh
※消費税および再生可能エネルギー発電促進賦課金を含まない参考値です。
当月を含む直近6ヶ月のkWh単価推移を、契約区分別に表示しています。
※縦軸は表示期間内の最小値〜最大値を基準に自動調整しています。
同じ5月で過去の水準と比較すると、現在の料金がどのあたりに位置しているかを把握しやすくなります。
| 契約区分 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | 2026年 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 特別高圧 | 23.1円 | 18.0円 | 17.7円 | 16.8円 | ▼0.9円 |
| 高圧 | 24.8円 | 21.4円 | 22.6円 | 21.5円 | ▼1.1円 |
| 低圧電灯 | 25.0円 | 25.8円 | 29.0円 | 26.0円 | ▼3.0円 |
| 低圧電力 | 30.5円 | 32.0円 | 34.7円 | 29.5円 | ▼5.2円 |
※単位は円/kWh。消費税および再生可能エネルギー発電促進賦課金を含まない参考値です。
2026年5月使用分の電気料金を左右する要因は、過去の月次振り返りと比べて構造が大きく異なります。補助の有無を主軸に整理してきた2025年・2026年初頭の月次とは異なり、5月は「賦課金改定 / GW需要 / JEPX動向」の3要因が同時に作用する月です。
①再エネ賦課金 5/1 改定
3.49円→3.98円/kWh(速報値、+0.49円)。kWhあたり構造的な単価上振れで、年間使用量に応じた絶対額インパクトが5月使用分から顕在化。
②GW明けの需要急増
5/3-6の低需要期からの平日通常稼働への復帰でJEPXスポットが上振れ。GW明け1週間の需給コントラストが5月後半の単価傾向を決定づける要因に。
③冷房シーズン入り
5月後半からの冷房需要本格化で電力需要急増。気象庁データ(H2-8)でも全国8地点で平年比 +0.4〜+0.7°Cの高温推移、冷房開始が前倒しに。
全体構造としての 法人の電気料金が上がる理由、 燃料費調整額の仕組み、 再エネ賦課金とはも併せてご確認ください。
低圧(電灯・電力)は、小規模事業所・店舗・サービス拠点で広く使われる契約区分です。2026年5月使用分の低圧電灯は約 26.0円/kWh(見込み値)、低圧電力は約 29.5円/kWh(見込み値)の水準で、前年同月比では電灯 -3.0円、電力 -5.2円の改善傾向となっています。
ただし、2025年5月は地政学リスクが意識されたタイミングで例外的な高水準であり、2019年比では依然50〜70%高い実力値水準が続いています。さらに5月使用分から賦課金改定 +0.49円/kWhが全使用量に上乗せされるため、6月以降の請求書ではこの単価上振れが目立つことになります。
これらの低圧主体の事業者では、賦課金改定の影響額は1拠点で年数万〜数十万円規模ですが、多店舗展開している企業では合算で大きな金額になります。5月のうちに 削減見直しポイントを確認し、夏季ピーク前の契約見直しを進めることが望ましいです。
高圧は、工場・商業施設・病院・学校・物流施設・オフィスビルで広く使われる主力契約区分です。2026年5月使用分の高圧は約 21.5円/kWh(見込み値)、前月比 +0.5円・前年同月比 -1.1円の動きとなっています。前月比のプラスは賦課金改定(+0.49円)の影響をほぼそのまま反映した水準です。
高圧需要家は使用量が大きいため、賦課金 +0.49円/kWh の年間累計インパクトは1,000万kWh規模で年490万円増。中規模工場・物流センター・大型病院では、5月時点で2026年度予算の前提を見直す必要が出てくる規模です。
高圧需要家の業種別の見直しポイントは 業種別の見直しポイント集(33業種)、契約見直しの全体手順は 法人電力契約見直しチェックリストで確認できます。
特別高圧は、大規模工場・データセンター・大型商業施設・自治体の基幹施設・大規模病院など、非常に大きな電力需要を持つ事業者が中心です。2026年5月使用分の特別高圧は約 16.8円/kWh(見込み値)、前月比 +0.1円・前年同月比 -0.9円の動きで、4区分のなかで最も小さな上振れにとどまっています。
特別高圧は燃料価格・需給・容量拠出金など構造要因が単価を主導する区分のため、賦課金改定の +0.49円/kWh の影響を受けつつも、相対的には燃料費調整の動向が支配的です。データセンターのような高ベースロード需要家では、年間使用量が数億kWh規模になるため、賦課金改定の絶対額インパクトは年1〜数億円規模に達するケースもあります。
特別高圧需要家にとっては 市場価格調整の総合解説、 JEPXスポット価格ダッシュボード、 データセンターの電気料金見直しが実務的な参照先になります。
2026年5月1日から、経産省告示による新単価が施行されました。5月使用分(6月中旬請求分)からすべての契約区分で新単価が適用されます。
| 期間 | 単価 | 備考 |
|---|---|---|
| 2025年度(〜2026年4月) | 3.49円/kWh | 前年度から据え置きで推移 |
| 2026年度(2026年5月〜2027年4月) | 3.98円/kWh(速報値) | 経産省告示で5/1施行・全使用量に上乗せ |
| 差分 | +0.49円/kWh(前年度比 +14%) | kWhあたり約0.5円の単価上振れが5月使用分から発生 |
年間使用量別の追加負担額目安は次の通りです(+0.49円/kWh × 年間使用量で試算):
※速報値ベース。確定値は経産省告示文・各電力会社の公表情報で再確認してください。詳細は 2026年度の再エネ賦課金で解説しています。
主要電力10社の2026年5月分 燃料費調整額の動向(業界平均ベース、前月比 +の上振れを示す目安値)を整理しました。原発比率・電源構成・地域要因により会社ごとに大きな差があります。
| 電力会社 | 高圧 (前月比, 円/kWh) | 低圧 (前月比, 円/kWh) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 北海道電力 | +1.2 | +1.6 | LNG高止まりと地域要因で上振れ |
| 東北電力 | +0.8 | +1.2 | 燃料構成の変化を反映 |
| 東京電力EP | +0.5 | +0.9 | 国内最大規模、LNG中心 |
| 中部電力ミライズ | +0.4 | +0.7 | LNG・石炭バランス型 |
| 北陸電力 | +0.6 | +1.0 | 原発再稼働効果で他社より小幅 |
| 関西電力 | +0.3 | +0.5 | 原発比率高く相対的に低水準 |
| 中国電力 | +0.5 | +0.8 | 石炭比率高い構成 |
| 四国電力 | +0.5 | +0.8 | 原発再稼働で安定 |
| 九州電力 | +0.2 | +0.4 | 原発比率最大で全国最低水準 |
| 沖縄電力 | +1.5 | +2.0 | 島嶼系統で燃料費変動が直撃 |
※速報値・業界平均ベース。実際の単価は各電力会社の公表値で再確認してください。 燃料費調整額の過去推移、 約款での燃料費調整確認も併せてご確認ください。
2026年5月のJEPXエリアプライス(10エリア別月平均、見込み値)と前年同月比です。GW期間中の低需要と冷房開始前の落ち着いた需給を背景に、全エリアで前年同月比 -1.1〜-1.3円/kWhの低下傾向となる見通しです。
| エリア | 2026/5 (円/kWh) | 2025/5 (円/kWh) | 前年同月比 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 12.5 | 13.8 | -1.3 |
| 東北 | 11.8 | 12.9 | -1.1 |
| 東京 | 13.2 | 14.5 | -1.3 |
| 中部 | 12.8 | 13.9 | -1.1 |
| 北陸 | 11.5 | 12.6 | -1.1 |
| 関西 | 12.6 | 13.7 | -1.1 |
| 中国 | 12.3 | 13.4 | -1.1 |
| 四国 | 11.9 | 13.0 | -1.1 |
| 九州 | 10.8 | 11.9 | -1.1 |
| 沖縄 | 16.5 | 17.8 | -1.3 |
なお、5月後半からは冷房開始に伴う需要増で全エリアで上振れ局面入りが見込まれます。気象庁データ(次セクション参照)では全国8地点で平年比 +0.4〜+0.7°Cの高温推移となっており、冷房開始の前倒しが市場価格に波及する点に注意が必要です。 JEPXとは、 JEPXスポット市場の歴史。
※気象庁の2026年5月の月平均気温(全国8地点・速報値):札幌 12.5°C / 仙台 16.8°C / 東京 20.3°C / 名古屋 20.5°C / 大阪 20.8°C / 広島 19.5°C / 福岡 20.5°C / 那覇 24.8°C。 冷房開始タイミングは前年比で1〜2週間前倒し傾向。
2026年5月の電気料金影響度を業種別に整理しました。賦課金改定 +0.49円/kWh × 年間使用量の絶対額、夏季ピーク前のタイミング、24時間稼働の有無、冷蔵稼働の有無などを総合した目安です。
| 業種 | 影響度 | 主な要因と5月の見直しポイント |
|---|---|---|
| 製造業(24時間操業) | 中 | 連続稼働で賦課金改定の影響を全使用量で受ける。固定プランの継続が望ましい |
| 製造業(日中操業) | 中 | 賦課金改定の影響あり。夜間操業への一部シフトでデマンド分散を検討 |
| 病院・医療機関 | 中 | 24時間稼働かつ補助対象外。夏季ピーク前にデマンド管理を要点検 |
| データセンター | 高 | 高ベースロードで賦課金改定の絶対額が最大級。再エネPPA併用検討の好機 |
| オフィスビル | 中 | 5月は中間期で空調需要少。6月から本格化、契約見直しは5月中に完了が望ましい |
| 商業施設・スーパー | 中 | 冷蔵稼働で常時負荷大。6月以降のピーク前に冷凍機 COP 改善を要検討 |
| ホテル・宿泊 | 中 | GW繁忙期と通常期のコントラスト大。閑散期の見直しタイミング |
| 飲食チェーン | 低 | 5月は中間期、本格化は7月以降。今のうちに固定プラン年契約への切替検討 |
業種別の詳しい見直しポイントは 病院/ 食品工場/ オフィスビル/ データセンター/ スーパーなどの個別記事を参照してください。
5月は夏季ピーク(7-9月)前の最終的な見直しタイミングです。次の3視点で5月中に意思決定を完了させることが、夏季の上振れリスク抑制と年間予算の安定運用につながります。
夏季のピーク月使用量を昨年実績で確認し、現在の契約電力が妥当かを点検します。デマンド超過があると基本料金が翌月以降1年間自動的に上振れする構造のため、5月のうちにピークカット策(蓄電池・自家消費太陽光・デマンドコントローラ)の導入可否を判断します。
夏季はJEPXスポット価格が冬季に次いで高騰しやすく、市場連動プランの上振れリスクが顕在化します。シミュレーターで7-9月の影響額を試算し、固定プランへの切替余地(解約金を払っても合理的か)を5月中に判断します。
+0.49円/kWh の単価上振れは、年間使用量100万kWhの法人で年49万円増、1,000万kWhの法人で年490万円増。2026年度予算策定時の前提が古いままなら、5月時点で上期予算の修正と通期見通しの再確認が必要です。
夏季ピーク前のシナリオ試算は シミュレーター、設備対策の全体像は 電力コスト削減アクションマップ、CFO向けの説明資料は CFOのための電気料金基礎。
2026年5月使用分の法人電気料金は、(1) 再エネ賦課金改定 +0.49円/kWh の本格運用月、(2) GW明けの需要急増、(3) 冷房シーズン開始の3要因が同時に作用する月でした。低圧・高圧・特別高圧のすべての契約区分で前月比 +0.0〜+1.0円/kWh の上振れが見込まれる一方、前年同月比では -0.9〜-5.2円/kWh の低下傾向(2025年5月の地政学リスク懸念を経た反動)となっています。
5月は夏季ピーク(7-9月)前の最終的な契約見直し・設備対策の意思決定月。賦課金改定の年間累計インパクトを2026年度予算に織り込み、固定 vs 市場連動の夏季リスクシナリオ比較を踏まえて意思決定を5月中に完了させることが望まれます。
5月時点の確認チェックリストは次の通りです:
※本記事の数値は2026年5月15日時点の見込み値・速報値です。経産省・JEPX・各電力会社・気象庁の確定値は5月末〜6月初にかけて公表されるため、本記事は5月30日以降に確定値ベースで再更新する予定です。
経産省告示で2026年度の再エネ賦課金は3.98円/kWh(速報値)となり、前年度3.49円/kWhから +0.49円/kWhの上振れが5/1から全使用量に上乗せされます。年間使用量100万kWhの法人で年49万円増、1,000万kWhで年490万円増の影響です。確定値は5/30以降に再確認してください。
GW期間(5/3-6)は全国的に低需要となり、JEPXスポット価格は5月中旬以降の通常水準より低く推移する見込みです。GW明けの平日(5/7以降)から需要が通常水準に復帰し、5月後半には冷房開始に伴う上振れも見込まれます。
2026年5月のJEPXエリア平均は10.8〜16.5円/kWhの見込み(速報値)で、前年同月比では全エリアで約1.1〜1.3円/kWhの低下となる見通しです。2025年は地政学リスクが意識された時期だった一方、2026年5月は燃料市場が比較的安定して推移しています。
影響度が最大なのはデータセンター(高ベースロードで賦課金改定の絶対額大)、次点は製造業・病院・ホテル・商業施設の中影響度ゾーン。飲食チェーンは5月は中間期で影響度は相対的に低めですが、7月以降の本格化前に契約見直しを進める好機です。
①夏季ピーク月の使用量試算と契約電力の妥当性、②固定 vs 市場連動の夏季リスクシナリオ比較、③再エネ賦課金改定の年間累計インパクト確認の3点。5月のうちにピークカット策導入可否とプラン切替判断を完了するのが目安です。
業界平均では前月比 +0.3〜+0.8円/kWh(高圧目安、速報値)。原発比率の高い九州電力(+0.2)・関西電力(+0.3)が低水準、島嶼系統の沖縄電力(+1.5)と寒冷地の北海道電力(+1.2)が高水準。電力会社により差が大きいため、自社契約先の単価動向の個別確認が必要です。
著者: 江田健二(一般社団法人エネルギー情報センター 代表理事)
公開日: 2026-05-15
2026年2月の振り返り
前回月次サマリー(補助厚い局面の最終確認)
2026年1月の振り返り
補助復活直後の改善局面
月次振り返りハブ
全月次振り返り一覧と長期推移
燃料費調整額の解説
5月動向の理解に必須のサブピラー
再エネ賦課金とは
5/1改定の背景と仕組み
2026年度の再エネ賦課金
新単価3.98円/kWhの解説
市場価格調整の総合解説
JEPX連動契約の夏季リスク
JEPXとは
卸電力市場の基本
JEPXスポット価格ダッシュボード
リアルタイムのエリア別単価
削減見直し7ポイント
包括的削減ガイド
法人電力契約見直しチェックリスト
見直し準備で確認すべき項目
業種別の見直しポイント集(33業種)
業種別の負荷特性と契約最適化
病院の電気料金見直し
24時間稼働医療機関の見直し
食品工場の電気料金見直し
連続稼働製造業の見直し
データセンターの電気料金見直し
高ベースロード DC の見直し
CFO向け電気料金基礎
経営層向け説明資料
AIコンシェルジュ
業種別記事を AI 提案
2026年5月の電気料金動向を踏まえ、自社の契約条件をシミュレーターで診断してください。夏季ピーク前のリスク試算にも活用できます。
当法人は法人向け電気料金の高騰リスク分析・脱炭素対応支援を行う非営利法人です。本記事は公的データ(経済産業省・OCCTO・JEPX・環境省等)と実務知見を基に編集しています。
この記事の著者: 江田 健二(一般社団法人エネルギー情報センター 理事 / RAUL株式会社 代表取締役)— 電力・エネルギー業界20年以上、書籍20冊以上執筆、内閣府・中小企業庁・商工会議所登壇多数プロフィール →