再エネ賦課金は、2012年度の制度開始から現在まで単調に上がり続けたわけではありません。特に2023年度に大幅下落、 2024〜2025年度に急反発するなど、近年は年度ごとの変動が大きくなっています。このページでは、単価推移を グラフと数値で追いながら、なぜ上がる・下がるのかを FIT 認定量と回避可能費用の観点から解説します。
出典: 資源エネルギー庁「再生可能エネルギー発電促進賦課金」単価告示。
再エネ賦課金の単価は、年度ごとに次の考え方で決まります。
単価 = (当該年度の買取費用見込み − 回避可能費用 − 広域的運営推進機関費用交付金 ±調整額) ÷ 販売電力量見込み
制度開始当初は 0.22 円/kWh と小さな負担でしたが、FIT 認定量(主に太陽光)の急拡大により、 買取費用の総額は毎年数千億円単位で増加しました。この時期は回避可能費用も比較的安定しており、 2012 年度 → 2022 年度で 15 倍以上に上昇しています。
2012年度
0.22 円/kWh
制度開始
2017年度
2.64 円/kWh
5年で約12倍
2022年度
3.45 円/kWh
過去最高(当時)
2023 年度は単価が 3.45 円/kWh → 1.40 円/kWh と、前年比 59% 減(2.05 円/kWh マイナス)の異例の下落となりました。 これは 2022 年度の JEPX スポット価格が平均 20 円/kWh 台まで高騰した影響で、 「回避可能費用」が大幅に増えたためです。
賦課金単価の算定では、回避可能費用が買取費用を相殺する方向に働きます。2022 年度のウクライナ危機起点の 卸電力市場高騰が、結果として 2023 年度の賦課金を大きく引き下げました。
要点:賦課金の下落は再エネ普及が落ち着いたからではなく、「電気全体の市況が上がったために相対的に賦課金の取り分が小さくて済んだ」結果です。
2024 年度は 3.49 円/kWh、2025 年度は 3.98 円/kWh、2026 年度は 4.18 円/kWh と、 再び単調な上昇トレンドに戻っています。背景には次の要因があります。
2030 年代前半までに単価ピークを迎える見込みで、その後は FIT 買取期間満了案件の減少により緩やかに下落していく見通しです。
| 年度 | 単価 | 前年差 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 2012年度 | 0.22 円/kWh | — | — |
| 2013年度 | 0.35 円/kWh | +0.13 円 | +59% |
| 2014年度 | 0.75 円/kWh | +0.40 円 | +114% |
| 2015年度 | 1.58 円/kWh | +0.83 円 | +111% |
| 2016年度 | 2.25 円/kWh | +0.67 円 | +42% |
| 2017年度 | 2.64 円/kWh | +0.39 円 | +17% |
| 2018年度 | 2.90 円/kWh | +0.26 円 | +10% |
| 2019年度 | 2.95 円/kWh | +0.05 円 | +2% |
| 2020年度 | 2.98 円/kWh | +0.03 円 | +1% |
| 2021年度 | 3.36 円/kWh | +0.38 円 | +13% |
| 2022年度 | 3.45 円/kWh | +0.09 円 | +3% |
| 2023年度 | 1.40 円/kWh | -2.05 円 | -59% |
| 2024年度 | 3.49 円/kWh | +2.09 円 | +149% |
| 2025年度 | 3.98 円/kWh | +0.49 円 | +14% |
| 2026年度 | 4.18 円/kWh | +0.20 円 | +5% |
A.燃料費(LNG・石炭)の国際価格上昇、再エネ賦課金の増加、容量拠出金の新設、託送料金改定、カーボンプライシング導入が主な要因です。複数要因が同時に進行し、中長期的に上昇圧力が続きます。
A.LNG・石炭・原油の輸入価格変動を電気料金に反映する調整額です。kWhあたりで加減算され、原油価格が高騰すると料金全体が大きく上昇します。毎月更新され、請求書に別項目で記載されます。
A.2012年度の0.22円/kWhから2024年度は3.45円/kWh程度まで上昇。再エネ普及とともに今後も上昇傾向で、2030年度には4円/kWh超の可能性があります。年間使用量100万kWhなら賦課金だけで約345万円の負担です。
A.将来の供給力確保のため、小売電気事業者が負担する料金で、2024年度から本格稼働。需要家には小売料金を通じて転嫁されます。kWhあたり数十銭〜1円程度の上昇要因となります。
A.①プラン見直し(固定・市場連動・TOU)、②切替先との相見積もり、③デマンド削減による基本料金圧縮、④再エネPPA・自家発電の検討、⑤省エネ投資、の順で取り組むのが効果的です。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
再エネ賦課金は使用量に正比例するため、シミュレーターで月間使用量を入力すると影響額を確認できます。
燃調費や市場連動、再エネ賦課金など、料金が上がる要因を自社の契約に当てはめると、今後の影響額が具体的に見えてきます。読み解きに不安があるときや、社内説明の材料が必要なときは、専門家へお気軽にご相談ください。
記事を読んで気になった点があれば、エネルギー情報センターにお気軽にご相談ください。法人・自治体の電力契約に精通したスタッフが、中立的な立場で判断材料を整理します。初回相談は無料です。
中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。