中小規模のオフィスは、大型施設と比べると電気使用量は少ないものの、基本料金の比率が相対的に高く、見直しの効果が出やすい場合があります。テナントビルの制約や、空調・OA機器の稼働パターンを踏まえたうえで、適切な契約条件を選ぶことが重要です。
このページでは、中小オフィス特有の負荷特性を踏まえ、契約見直しの着眼点を整理しています。
このページでわかること
中小オフィスは使用量が少ないにもかかわらず、料金構造の特性から割高になりやすい場合があります。主な要因は以下のとおりです。
電気料金の上昇要因の全体像は 法人の電気料金が上がる理由 で確認できます。
中小オフィスの電力使用は、以下の設備カテゴリに大きく分けて考えることができます。各設備の負荷特性を理解しておくと、契約見直しや設備対策の優先順位が見えてきます。
空調設備
執務室の空調はオフィスの電力使用の中心を占めます。中小規模では個別エアコンを利用しているケースが多く、始業・終業時に集中して稼働するパターンが典型的です。夏・冬のピーク期には使用量が倍増することがあります。
照明
蛍光灯からLEDへの切替えが進んだオフィスでは照明の比率は低下しています。ただし、執務室・廊下・トイレなどをまとめると一定の割合を占めます。在室管理センサーやタイマー制御で削減できる余地が残っている場合もあります。
OA機器・サーバー
PC・コピー機・ネットワーク機器などのOA機器は、業務時間中は常時稼働します。小規模なサーバーをオフィス内に置いている場合、24時間稼働するため夜間のベースロードを形成します。クラウド移行によって削減できるケースもあります。
給湯・衛生設備
電気温水器や電気ケトルなどの給湯設備は、朝のピーク時間帯に集中して使用されることがあります。使用量としては小さいものの、デマンドのピーク形成に寄与する場合があります。
中小オフィスは、使用量の絶対値が小さいため、プランの選択による金額差が大企業と比べると小さくなりがちです。一方で、電気料金は事業経費に対する比率として見たときに影響が大きい場合があります。
固定プランが向きやすい理由
市場連動を検討する場合の注意
固定プランが向く法人の特徴は 固定プランが向く法人の特徴 で詳しく解説しています。
中小オフィスでは使用量(電力量料金)が少ない一方、基本料金(契約電力 × 単価)が月額費用に占める比率が高くなりがちです。契約電力が実際のピーク需要に対して過大に設定されていないかを確認することが第一歩です。直近12か月のデマンド実績(最大需要電力)と契約電力を比較してみると、引き下げ余地が見えることがあります。
テナントとしてオフィスを借りている場合、建物一括受電が採用されているケースがあります。この場合、個別に新電力と契約することができず、ビルオーナーが決める電気料金が適用されます。まず自社の契約形態がどちらかを確認し、個別契約が可能な場合に見直しの選択肢が広がります。
月〜金の日中のみ稼働するオフィスは、電力使用の時間帯が集中しています。深夜・土日の使用量が極めて少ない場合、時間帯別料金プランよりも単純な低圧従量プランの方が合う場合もあります。請求書から月ごとの使用量推移を12か月分確認し、変動幅を把握しておきましょう。
複数の事務所・拠点を持つ場合、まとめて見積依頼をすることで交渉力が高まる場合があります。ただし、各拠点の契約種別(低圧・高圧)や使用量が大きく異なる場合は、個別の条件精査も必要です。拠点ごとの現状を一覧化しておくと見積依頼が進めやすくなります。
契約見直しの全体的な進め方は 法人の電力契約見直しチェックリスト で整理しています。
契約見直しと並行して、設備面での対策を検討することで、電気料金の削減効果をさらに高められる場合があります。中小オフィスで比較的導入コストが抑えられる設備対策を以下に整理します。
LED照明への切替え
まだ蛍光灯が残っている場合、LEDへの切替えは初期投資回収が早く効果が明確。照明制御(センサー・タイマー)の導入も合わせて検討できる。
空調設備の更新・管理
10年以上経過した旧型エアコンは効率が低下しています。高効率機への更新のほか、フィルター清掃・設定温度管理などの運用改善も効果があります。
スマートタップ・電力可視化
待機電力の削減やOA機器の電源管理に活用できます。電力使用量を可視化することで、削減効果の測定と継続改善が可能になります。
クラウド移行によるサーバー削減
オンプレミスサーバーをクラウドに移行することで、24時間稼働の設備電力を削減できます。ITコスト削減と電気代削減を同時に検討できる機会です。
中小オフィスの契約見直しでは、以下の観点でシミュレーターを活用すると、判断材料を数値で把握できます。使用量が少なくても、料金構造の違いによって年間コストに差が生じることを確認できます。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
はい。使用量が少ない中小オフィスでも、基本料金(デマンド料金)の比率が高い場合は見直し効果が出やすいです。契約電力の設定が実態より高くなっている場合、引き下げるだけで毎月の基本料金を削減できます。
テナントビルの場合、一括受電方式では個別に電力会社を変えられないことがあります。まず自社の電力契約が直接契約か一括受電かを確認し、直接契約であれば新電力への切り替えや料金プランの見直しが可能です。
電力使用量が少ない中小オフィスでは、価格変動の絶対額が小さいため市場連動のメリット・デメリットも限定的です。ただしモニタリング体制が取れない場合は固定プランの方が管理しやすく、予算予測も立てやすいです。
著者: 江田健二(一般社団法人エネルギー情報センター 代表理事)
公開日: 2026-04-10
固定プランが向く法人の特徴
予算管理と安定性を重視する法人に固定プランが向きやすい理由。
法人の電力契約見直しチェックリスト
見直しの準備段階で確認すべき項目を一覧で整理。
法人向け電気料金請求書の見方
請求書の各項目を見積比較に活用するためのポイント。
スーパーマーケットの電気料金見直しポイント
冷蔵・空調負荷を踏まえた食品小売の契約見直しの考え方。
コンビニの電気料金見直しポイント
24時間営業と多拠点を踏まえた考え方。
市場連動プランと固定プランの違い
料金の動き方とリスクの差を比較。
業種別・電気料金の相場と目安
中小オフィスの電気料金水準を業界平均と比較し、コスト見直しの根拠を把握する。
オフィスビルの電気代
入居先となるオフィスビル全体の電気代構造を理解すると、共用部と専有部の費用按分や交渉余地を見極めやすくなります。
オフィス電気代ベンチマーク
規模・面積別のオフィス電気代相場と比較し、自社の小規模オフィスの電力支出が業界平均と乖離していないかを点検できます。
SOHO・個人事業主の電気代
在宅勤務やシェアオフィスを併用する小規模事業者の電気代取扱いを整理し、家庭と事業の按分や経費計上の論点も把握できます。
中小企業電気代削減ステップ
中小企業向けの段階別削減ステップを示しており、社内体制が小さい小規模オフィスでも実行可能な対策の優先順位が分かります。
中小オフィスの契約条件をもとに、電気料金の上振れ幅をシミュレーターで試算できます。固定プランと市場連動プランの比較にも活用できます。
記事を読んで気になった点があれば、エネルギー情報センターにお気軽にご相談ください。法人・自治体の電力契約に精通したスタッフが、中立的な立場で判断材料を整理します。初回相談は無料です。
中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。