ホテル・宿泊業の夏季電気代は、客室空調が稼働率に連動して増える点に最大の特徴があります。シティ/ビジネス/リゾート/旅館で電力構成が異なり、共用部空調・厨房・ランドリー・大浴場・プールの負荷が夏季の稼働ピークに重なります。本ページでは客室在室連動制御、夏季稼働率とインバウンド需要、規模別の投資パターン、代表シナリオ、デマンド管理・契約調達・補助金・チェックリストまでを実務に直結する観点で整理します。本記載は特定の電力会社・契約形態を推奨するものではありません。
当法人は法人向け電気料金の高騰リスク分析・脱炭素対応支援を行う非営利法人です。本記事は公的データ(経済産業省・OCCTO・JEPX・環境省等)と実務知見を基に編集しています。
この記事の著者: 江田 健二(一般社団法人エネルギー情報センター 理事 / RAUL株式会社 代表取締役)— 電力・エネルギー業界20年以上、書籍20冊以上執筆、内閣府・中小企業庁・商工会議所登壇多数プロフィール →
このページでわかること
ホテルの夏季電気代は『客室空調(稼働率連動)/共用部空調(大空間負荷)/厨房・ランドリー(内部発熱)/大浴場・プール(給湯循環)/業態別ピーク時間帯』の5論点で構造化できます。客室空調が稼働率に比例して動く点が、他業種と最も異なるホテル特有の論点です。なお本記載は特定の電力会社・契約形態を推奨するものではありません。
客室空調 — 稼働率連動の最大変動要素
ホテルの夏季電力で最も振れ幅が大きいのが客室空調です。『稼働=在室=空調稼働』が基本のため、夏季の客室稼働率上昇がそのまま空調負荷増に直結します。在室判別をせず全館一律で運転すると不在客室まで冷房が回りピークを押し上げ、在室連動制御の有無が同じ稼働率でも電気代を分けます。
共用部空調 — ロビー・宴会場・レストランの大空間負荷
ロビー・宴会場・レストラン・会議室は天井が高く外気導入も多く、客室より単位面積あたりの冷房負荷が重くなります。宴会・婚礼が集中する週末やレストランの昼夜ピークに共用部空調が立ち上がり、客室ピークと重なると施設全体のデマンドが跳ね上がります。
厨房・ランドリー — 内部発熱と通年高負荷
厨房はコンロ・オーブン・冷蔵冷凍機・食洗機が集中し、夏季は内部発熱が厨房空調の冷房負荷を二重に押し上げます。ランドリー(洗濯・乾燥・プレス)は乾燥機・ボイラーが電力・熱を多く消費し、館内洗濯を行う旅館・リゾートでは無視できない固定負荷です。
大浴場・プール — 給湯・加温・循環の連続負荷
大浴場・温浴施設・屋内外プールは給湯・加温・ろ過循環ポンプが連続稼働します。夏季は冷房需要と給湯・循環負荷が重なり、特に旅館・リゾートでは大浴場が施設全体の電力構成で大きな比率を占めます。ヒートポンプ給湯への転換余地が大きい領域です。
夏季ピーク時間帯 — 業態で異なる山
シティ/ビジネスは夕方チェックイン以降の在室集中(17〜23時)、リゾート/旅館は入浴・夕食・空調が重なる時間帯(16〜22時)に山ができ、レストラン主体施設は昼ピークも加わります。業態ごとの時間帯把握がデマンド対策の起点です。
夏季電気代の全体像は 夏季ピーク電気代の基礎とCFO視点、5戦略の全体像は 業種横断ピークカット5戦略で確認できます。ホテルの料金見直し一般は ホテルの電気料金見直しを参照してください。
ホテルの夏季電気代水準は業態と施設構成で大きく異なります。業界統計と公開データから整理した目安値を自社水準との比較に活用してください。
シティホテルの夏季電気代水準(対通年比)
宴会・レストラン・大規模共用部を持つシティホテルは夏季に対通年+15〜25%が目安。婚礼・宴会の稼働が重なる週末にデマンドが集中しやすく、共用部空調比率が高いほど夏季の上振れが大きくなります。数値は公開情報の目安です。
ビジネス/リゾート/旅館の夏季水準
ビジネスホテルは客室空調主体で対通年+10〜18%、リゾートはプール・宴会・空調が重なり+18〜28%、旅館は大浴場・厨房・空調の合算で+15〜25%が目安レンジです。大浴場・プールを持つ業態ほど夏季比率が上がります。
用途別の夏季電力構成比(目安)
夏季ホテルの電力構成は空調(客室+共用部)40〜55%、給湯・大浴場15〜30%、厨房10〜20%、照明・動力・ランドリー10〜20%が目安。業態と施設構成で配分は変わり、リゾート・旅館では給湯・大浴場比率が相対的に高くなります。
※ 単価・統計・削減率は公開情報の目安です。出典: 業界団体・経産省/エネ庁・OCCTO・JEPX等から整理した目安値です。再エネ賦課金は2026年度4.18円/kWh。実値は業態・施設構成・地域で1.5〜2倍ぶれます。出典: 新電力ネット(https://pps-net.org/unit)を加工して整理。
ホテルの夏季電気代上昇は、猛暑トレンド、インバウンド稼働率上昇、給湯・厨房・ランドリーの電化、燃料費調整額・市場価格の変動、再エネ賦課金・容量拠出金などの公的賦課という構造的要因が並列します。
猛暑トレンドと冷房負荷の構造的増加
夏季平均気温の上昇と猛暑日の増加が続き、客室・共用部の冷房稼働時間が長期化しています。同じ稼働率でも外気温が高いほど冷房負荷とピークデマンドが押し上げられ、夏季電気代がトレンド的に増える構造です。
インバウンド回復と夏季稼働率の上昇
訪日需要の回復で夏季の客室稼働率が高水準で推移する施設が増えています。稼働率が上がると在室客室数=空調稼働客室数が増え客室空調負荷が直接増加し、繁閑が大きいほど契約電力(デマンド)とのミスマッチも起きやすくなります。
電化シフト(給湯・厨房・ランドリー)
脱炭素・脱ガス/脱重油の流れで、給湯・厨房・ランドリーの熱源を電気ヒートポンプへ転換する施設が増えています。省エネ・CN対応に資する一方、電力使用量と夏季ピークデマンドの上振れ要因にもなり、契約電力の見直しと一体で検討します。
燃料費調整額・市場価格の変動
燃料価格やJEPXスポット価格の変動は、燃料費調整額や市場連動メニューを通じて電気代に波及します。将来の単価は想定・目安レンジでしか語れないため、夏季ピーク時に市場高騰が重なるシナリオの感度を持っておくことが重要です。
再エネ賦課金・容量拠出金などの公的賦課
再エネ賦課金は2026年度4.18円/kWhで、使用電力量(kWh)に単価を掛けて課金されます。容量拠出金など制度コストも料金に織り込まれます。個別交渉の余地が小さい固定的コストで、まず使用量削減で母数を抑える発想が有効です。
夏季ピーク前提のプラン選択は 市場連動と固定の比較、夏のピークシフトは DR入門・夏のピークシフトで確認できます。将来のJEPX・燃料費調整額は想定・目安レンジでしか語れないため、感度分析の前提として扱ってください。
夏季ピーク対策投資は施設規模で異なります。中小はLED・客室在室連動制御を即時実施、中規模は高効率空調+BEMS+ヒートポンプ給湯、大型リゾートは自家消費太陽光・蓄電池・DRを総合活用します。本記載は特定の電力会社・契約形態を推奨するものではありません。
中小ビジネスホテル(年間電気代1,000万〜5,000万円)
客室中心・宴会/大浴場が小規模または無し
投資 300万〜2,000万円で年100万〜800万円削減(目安)
LED化・客室在室連動制御(カードキー連動/人感)・高効率空調更新を優先。投資回収2〜4年が目安。
中規模シティ/旅館(年間電気代5,000万〜2億円)
宴会・レストラン・大浴場を備える複合施設
投資 2,000万〜1.5億円で年800万〜4,000万円削減(目安)
高効率空調+BEMS+ヒートポンプ給湯+契約電力見直しを3年計画で組合せ。投資回収3〜5年が目安。
大型リゾート(年間電気代2〜15億円)
大浴場・複数プール・宴会場・館内ランドリーを保有
投資 1.5〜10億円で年5,000万〜4億円削減(目安)
高効率空調フル+自家消費太陽光・蓄電池・DR参加+ヒートポンプ給湯統合が標準。投資回収4〜6年が目安。
公開事例・業界団体ヒアリングから整理した3つの代表シナリオをBefore/Afterで提示します。業態特性に応じた施策の組合せと削減レンジ(目安)を確認できます。数値はいずれも目安で、本記載は特定の電力会社・契約形態を推奨するものではありません。
代表シナリオ1:中小ビジネスホテル(年間約14%削減・目安)
Before(見直し前):都市部・客室120室のビジネスホテル(年間電気代 約3,500万円、契約電力 約350kW)。客室空調は全館一律タイマー運転で不在客室も冷房継続、照明は一部蛍光灯、夏季の稼働率上昇で夕方〜夜のデマンドが上振れ。公開事例・業界団体ヒアリングから整理した代表シナリオです。
After(実施施策):①客室空調のカードキー連動/人感センサーによる在室連動制御/②全館LED化/③高効率パッケージ空調への計画更新/④契約電力の実績見直し/⑤フロントでのデマンド監視運用。
Result(削減効果・目安):Result: 年間電気代 約3,500万円 → 約3,010万円(▲約14%、▲490万円・目安)/契約電力 350→320kW/投資 約1,500万円・補助金後 投資回収 2〜3年前後(目安)。5年累計では ▲490万円×5年=▲2,450万円(目安)。いずれも代表シナリオの目安であり、本記載は特定の電力会社・契約形態を推奨するものではありません。
代表シナリオ2:中規模シティホテル(年間約16%削減・目安)
Before(見直し前):地方中核都市・客室250室+宴会場・レストラン・小規模大浴場のシティホテル(年間電気代 約1.2億円、契約電力 約1,100kW)。共用部空調が週末宴会で立ち上がり客室ピークと重複、給湯は重油ボイラー、夏季デマンドが年間最大値を更新。公開事例・業界団体ヒアリングから整理した代表シナリオです。
After(実施施策):①BEMSによる共用部・客室空調の統合最適化/②客室在室連動制御/③ヒートポンプ給湯への部分転換/④宴会・レストラン稼働に合わせた空調スケジュール最適化/⑤契約電力見直し+デマンド警報運用。
Result(削減効果・目安):Result: 年間電気代 約1.2億円 → 約1.008億円(▲約16%、▲1,920万円・目安)/契約電力 1,100→980kW/投資 約8,000万円・補助金後 投資回収 3〜4年前後(目安)/CO₂削減 約400t/年(目安)。5年累計では ▲1,920万円×5年=▲9,600万円(目安)。数値はいずれも代表シナリオの目安です。
代表シナリオ3:大型リゾートホテル(年間約15%削減・目安)
Before(見直し前):観光地・客室400室+大浴場・屋内外プール・複数宴会場・館内ランドリーの大型リゾート(年間電気代 約4.5億円、契約電力 約3,200kW)。給湯循環が連続稼働、夏季はプール・空調・宴会が重なり日中〜夕方のデマンドが急増。公開事例・業界団体ヒアリングから整理した代表シナリオです。
After(実施施策):①高効率空調フル更新+BEMS統合制御/②客室在室連動制御+共用部スケジュール最適化/③大浴場・プールのヒートポンプ給湯+高効率循環ポンプ・断熱強化/④自家消費太陽光1MW+蓄電池+DR参加/⑤ランドリー設備更新・夜間運転シフト。
Result(削減効果・目安):Result: 年間電気代 約4.5億円 → 約3.825億円(▲約15%、▲6,750万円・目安)/契約電力 3,200→2,850kW/DR収入 年300万円前後(目安)/投資 約4.5億円・補助金後 投資回収 4〜6年前後(目安)/CO₂削減 約1,800t/年(目安)。5年累計では ▲6,750万円×5年=▲3.375億円(目安)。いずれも代表シナリオの目安であり、自社条件での試算が前提です。
市場連動への切替を実際に行ったホテルの動きは ホテルの市場連動切替事例で確認できます。
ホテルのデマンド管理は『客室空調の在室連動制御』『BEMSによる全館統合制御』『ヒートポンプ給湯・循環の高効率化』『デマンド監視と稼働連動の運用ルール』の4論点を組合せて最適化します。客室快適性を損なわずにピークを抑えることが要点です。
客室空調の在室連動制御
カードキー連動・人感センサー・PMS連携で不在・空室時に空調をセットバック/停止。夏季の不在客室冷房を抑え、客室空調電力を目安で15〜30%削減。投資が小さく効果が早期に出やすい施策です。
BEMSによる共用部・全館統合制御
BEMSで客室・共用部・厨房・大浴場の負荷を見える化し、宴会・レストラン稼働に合わせて空調を時間帯最適化。ピーク時間帯の同時立ち上げを抑え、デマンドのピークカットに直結します。
ヒートポンプ給湯・循環の高効率化
大浴場・客室給湯・プールの熱源をヒートポンプ給湯へ転換し、深夜蓄熱で日中ピークを回避。循環ポンプのインバータ化・配管断熱と組合せて給湯系電力を目安で10〜25%削減します。
デマンド監視と稼働連動の運用ルール
デマンド監視装置で目標デマンドを設定し、超過予兆時に共用部空調・ランドリー等を一時抑制。稼働率(予約状況)に連動した空調エリア開放ルールで、繁閑差の大きいホテルでも契約電力の上振れを抑えられます。
デマンド管理の基礎は デマンドコントロール入門、削減効果は デマンドコントロール削減効果、契約電力は 契約電力(デマンド)とはで確認できます。
業態別の最適戦略は大きく4パターンに分類できます。自社の施設構成と稼働特性に応じた組合せ設計が経営判断の基礎です。
シティホテルの最適戦略
ビジネスホテルの最適戦略
リゾートホテルの最適戦略
旅館の最適戦略
オフィスビルのピーク対策との比較は オフィスビルのピークカット、夏のピークシフトの考え方は DR入門・夏のピークシフトで確認できます。
ホテルは稼働率の繁閑差が大きく、夏季ピークと閑散期で電力プロファイルが変わります。契約電力の過不足、固定/市場連動の選択、燃料費調整額の条件を夏季ピーク前提で総合評価することが重要です。将来の単価は想定・目安レンジでしか語れないため、複数シナリオの感度分析を前提とします。本記載は特定の電力会社・契約形態を推奨するものではありません。
プラン選択の判断軸
調達実務の要点
プラン比較の考え方は 市場連動と固定の比較、固定が向く法人像は 固定プランが向く法人、業種別の試算は 業種別電気料金シミュレーターで確認できます。
ホテルの夏季ピーク対策に活用しやすい補助金は4本柱。設備投資のタイミングを補助金スケジュールと合わせると投資回収を短縮できます。複数補助金の組合せ申請(SII+PPA+GX)で採択率が高くなる傾向です。本記載は特定の電力会社・契約形態を推奨するものではありません。
省エネ補助金(経産省 SII/業務用建築物)
対象:高効率空調・ヒートポンプ給湯・BEMS・LED
補助率:中小1/2、大企業1/3(公募回で変動・目安)
ホテルの夏季ピーク対策で最も活用しやすい主力補助金。複数施策の組合せで採択率が上がる傾向。
需要家主導型 PPA/蓄電池併設補助金
対象:自家消費型太陽光・蓄電池・DR連動
補助率:1/2以内(公募回で変動・目安)
屋上・駐車場・敷地が広いリゾート向き。夏季ピーク削減と再エネ調達を両立。
脱炭素・GX関連補助(環境省・経産省)
対象:ヒートポンプ・高効率設備・自家消費再エネ
補助率:1/2前後(公募回で変動・目安)
CN対応の大型投資向け。給湯電化・空調更新との連動に有効。
中小企業向け省エネ設備等支援補助金
対象:中小ホテル・旅館の設備更新
補助率:2/3前後(公募回で変動・目安)
中小・地方旅館向け。空調・給湯・LED更新で採択率が高い傾向。
個別制度の詳細は SII省エネ補助金の活用、自家消費太陽光の費用対効果は 自家消費型太陽光の費用対効果で確認できます。
夏季ピーク対策の立案前に、このチェックリストで自社状況を整理してください。1項目でも未確認があれば、新電力相見積の精度や交渉力が下がります。本記載は特定の電力会社・契約形態を推奨するものではありません。
ピークカット施策の全体像は 業種横断ピークカット5戦略、業種別の試算は 業種別電気料金シミュレーターで確認できます。
ホテルの夏季電気代は業態・施設構成・稼働率で大きく異なります。シミュレーターで自社条件における夏季上振れ幅と、客室在室連動制御・BEMS・ヒートポンプ給湯・自家消費太陽光・DR参加のメリットを定量化できます。
A.電力多消費業種(製造・冷凍倉庫・データセンター)は基本料金比率が高く、サービス業は使用量料金中心。業種特性に応じた最適化アプローチが異なります。
A.業種別ベンチマークデータは省エネルギーセンター・経産省統計で公表されています。自社の使用量を業種平均と比較することで改善余地が見えます。
A.①売上原価における電気代比率、②時間帯別消費パターン、③契約区分(高圧/低圧)、④地域分散度、の4軸で業種特性が変わります。
A.①製造業:デマンド管理・生産シフト、②飲食店:冷蔵冷凍効率化、③オフィス:空調・照明制御、④物流:冷凍倉庫運用、⑤データセンター:冷却最適化が定番です。
A.事業所別・業種別に契約・プランを最適化し、グループ全体で集中管理するハイブリッド型が効果的です。業種別の電力原単位管理を起点にします。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
業態で異なり、ビジネスホテルで対通年+10〜18%、シティで+15〜25%、リゾートで+18〜28%、旅館で+15〜25%が目安レンジです。大浴場・プール・宴会など共用部負荷が大きい業態ほど夏季比率が高くなります。数値は公開情報の目安です。
客室空調の在室連動制御です。カードキー連動・人感センサー・PMS連携で不在・空室の冷房をセットバック/停止し、客室空調電力を目安で15〜30%削減できます。投資が比較的小さく効果が早期に出やすい施策です。
ヒートポンプ給湯への転換、循環ポンプのインバータ化、配管・浴槽断熱の強化、深夜蓄熱運転による日中ピーク回避が基本です。給湯系電力を目安で10〜25%削減でき、給湯比率が高い旅館・リゾートほど効果が大きくなります。
厨房は局所排気・厨房空調の高効率化と内部発熱対策、ランドリーは高効率乾燥機・夜間シフト・廃熱回収が有効です。いずれも内部発熱が冷房負荷を二重に押し上げるため、空調負荷とセットで考えると削減効果が高まります。
繁閑差が大きいホテルでは、夏季ピーク時の市場高騰リスクをどこまで許容できるかで判断します。価格変動を避けたい場合は固定プラン、相場が落ち着いた局面の最適化を狙う場合は市場連動が候補です。将来の単価は想定・目安レンジでしか語れず感度分析が前提で、本記載は特定の電力会社・契約形態を推奨するものではありません。
屋上・敷地が広く日中の空調・プール負荷が大きいリゾートは相性が良い傾向で、日中の自家消費でピーク電力量を削減でき補助金で投資回収が短縮します。屋根面積が限られる都市型ビジネスホテルでは効果が限定的になりやすく、自社条件での試算が前提です。
共用部空調・ランドリー・蓄電池・自家発電の調整余地があるリゾート・大型シティホテルで適性があります。客室快適性を損なわない範囲で共用部負荷を一時抑制でき、目安で年数百万円規模のDR収入を得る事例もあります。
経産省SII省エネ補助金(高効率空調・ヒートポンプ給湯・BEMS・LED)、需要家主導型PPA補助金(屋上太陽光・蓄電池)、脱炭素・GX関連補助、中小企業向け省エネ補助の4本柱です。複数施策の組合せ申請で採択率が上がる傾向です。
著者: 江田健二(一般社団法人エネルギー情報センター 代表理事)
公開日: 2026-06-12
温浴施設の電気料金リスクと見直し
給湯・循環・空調の高負荷を踏まえた温浴施設の見直しの考え方。
季節別の電気代対策(一覧)
夏季ピーク対策・DR・業種別戦略のハブ。
ホテルの電気料金見直し
宿泊業の電力プロファイルと見直し一般。
ホテルの市場連動切替事例
市場連動への切替の実例と判断。
夏季ピーク電気代の基礎とCFO視点
夏季電気代の構造とCFO向けレポーティング。
業種横断ピークカット5戦略
5戦略のROI比較とフェーズドアプローチ。
DR入門・夏のピークシフト
DRの経済性と夏のピークシフト。
オフィスビルのピークカット
BEMS・テナント連動でピーク削減。
デマンドコントロール入門
デマンド管理の基礎と進め方。
デマンドコントロール削減効果
デマンド管理の削減効果試算。
契約電力(デマンド)とは
契約電力の決まり方と最適化。
SII省エネ補助金の活用
高効率空調・給湯更新の主力補助金。
自家消費型太陽光の費用対効果
屋上・敷地太陽光の投資回収。
市場連動と固定の比較
稼働変動を踏まえたプラン選択。
固定プランが向く法人
価格変動を避けたい法人の選択。
業種別電気料金シミュレーター
業種・規模別に夏季上振れを試算。
業態・施設構成・稼働率をもとに、夏季電気代の上振れ幅と客室在室連動制御・BEMS・ヒートポンプ給湯・自家消費太陽光・DR参加のメリットを試算できます。フェーズドアプローチの計画策定にもご活用ください。本ページは特定の電力会社・契約形態を推奨するものではありません。
記事を読んで気になった点があれば、エネルギー情報センターにお気軽にご相談ください。法人・自治体の電力契約に精通したスタッフが、中立的な立場で判断材料を整理します。初回相談は無料です。
中立的な立場で、特定の電力会社への勧誘は一切行いません。