コンサルティング業(戦略・IT・会計・人事コンサル)は、オフィス中心の低電力消費業種です。一方で多拠点運営、クライアント請求の透明性、外資系/グローバル顧客向けグリーン電力100%調達など、サービス業独自の論点を抱えます。本ページではコンサル業特有の電力負荷特性、業界平均水準、規模別事例、多拠点集中購買、補助金活用、契約見直しチェックリストまで実務に直結する観点を整理します。
当法人は法人向け電気料金の高騰リスク分析・脱炭素対応支援を行う非営利法人です。本記事は公的データ(経済産業省・OCCTO・JEPX・環境省等)と実務知見を基に編集しています。
この記事の著者: 江田 健二(一般社団法人エネルギー情報センター 理事 / RAUL株式会社 代表取締役)— 電力・エネルギー業界20年以上、書籍20冊以上執筆、内閣府・中小企業庁・商工会議所登壇多数プロフィール →
このページでわかること
コンサル業の電力使用は『オフィス基本電力/会議室・プレゼン設備/多拠点合算/クラウド基盤』の4層構造です。1人あたり負荷は控えめだが、大手ファームのグループ合計では大きく、多拠点契約の集約と会議室管理が見直しの起点になります。
オフィス基本電力(業務時間中心)
コンサルティング業のオフィスは業務時間8〜22時稼働が中心で、平日昼間ピークの典型的負荷曲線。社員1人あたり月100〜180kWh(一般オフィス水準)。マルチモニター環境とノートPC中心で個別席負荷は控えめだが、会議室・ミーティングルームの空調・プロジェクター負荷が加算される。
会議室・プレゼン設備(クライアント対応)
クライアント向け会議室・ワークショップルーム・大型プレゼン設備は、大型モニター(55〜85インチ)、プロジェクター、ビデオ会議機材が稼働。100人規模のオフィスで月3,000〜8,000kWh、年4〜10万kWhを消費。
多拠点(東京・大阪・名古屋等)の集合管理
大手コンサルファームは東京本社+複数支店構成。拠点ごとに低圧/高圧契約が分散されているケースが多く、集中購買による交渉力強化、契約条件統一が課題。1ヶ月のグループ合計使用量が500〜2,000万kWhに達する大手ファームも。
クライアント常駐オフィス(短期契約)
クライアントオフィスへの常駐型コンサル(戦略・IT実装支援等)では、常駐先電力使用量は自社外コストだが、社内に常駐対応のための拠点側待機要員のオフィス電力は継続的に発生する。
クラウド・SaaSツール基盤
ナレッジマネジメントシステム、提案資料DB、データ分析環境はクラウド/SaaS中心で自社電力消費は小さい。一方、社内ローカルでBI/分析環境を運用する大手ファームではサーバー室電力が発生。
電気料金の上昇要因の全体像は 法人の電気料金が上がる理由、削減打ち手の全体像は 法人電気代の削減ポイントで確認できます。
コンサル業の電気代水準は事業形態(戦略・IT実装・会計・人事)で異なりますが、全体的には他のサービス業に比べても低水準。業界統計と公開データから整理した業界平均値を、自社水準との比較で活用してください。
業界全体の電気代水準
経産省・コンサルティング業協会等の参考値から、コンサルティング業の電気代は売上高比0.1〜0.5%(業務原価比0.5〜2%)と業界全体で見ても低い水準。大手戦略ファーム本社で年5,000万〜2億円、中堅IT/会計ファームで年1,000〜5,000万円、ブティック型ファームで年300〜1,500万円が一般的。
従業員1人あたりの電力使用量
戦略系コンサルで従業員1人あたり月100〜180kWh、IT実装系コンサルで月150〜300kWh(社内検証環境込み)、ブティック型で月150〜250kWh。事務職系業種では低水準だが、会議室・大型モニター比率で20〜40%格差。
拠点規模別の年間使用量
小規模ブティックファーム(30〜100名)で年間5〜20万kWh、中堅ファーム(300〜1,000名)で年間50〜200万kWh、大手戦略コンサル本社(1,000名超)で年間300〜1,500万kWh。低圧〜高圧契約が中心で本社ビル全体管理は特別高圧も。
※ 出典: 日本コンサルタント協会・経産省統計から整理。実値は事業形態・拠点数で1.5〜3倍ぶれます。
コンサル業の電気代上昇は、制度的要因(燃料費・賦課金)に加え、外資系/グローバルクライアントからのグリーン電力100%要求、多拠点分散契約の機会損失という業界固有要因が並列します。
燃料費調整額の本社契約への影響
コンサル業はオフィス中心だが多拠点合算では使用量が大きく、燃料費調整額1円/kWhの変動で年間500万kWh使用の中堅ファームで年500万円の差。グループ合計では年数千万円規模。2022年以降4〜5円/kWhレンジで推移する継続的上昇要因。
再エネ賦課金の負担増
再エネ賦課金は2024年度3.49円/kWh、2025年度3.98円/kWh、2026年度4.5円/kWh前後と上昇トレンド。年間800万kWh使用の大手ファーム本社で年3,600万円の負担、5年で1.8億円超。
クライアント請求の単価透明化
コンサル契約はマンアワー(時間×単価)課金が主流で、電力コストは間接費として埋め込まれる。近年は外資系・大手クライアントから諸経費の透明化が求められ、電気代上昇分の契約改定対応が課題。
グリーン認証・サステナビリティ要求
外資系・グローバル企業向け提案案件では、コンサル側にも再エネ100%調達・カーボンニュートラル目標を求められるケースが急増。グリーン電力証書購入、PPA契約のプレミアム単価が新たな費用負担に。
多拠点分散契約と集中購買機会損失
多拠点をビル管理会社経由で個別契約しているケースで、グループ集中購買すれば年5〜10%単価改善できる機会を逸失している事例が多数。グループ電力購買担当の不在が課題。
個別要因の詳細は 燃料費調整額の仕組み、 再エネ賦課金上昇の影響、 容量拠出金の事業影響で深掘りできます。
コンサル業の電気代削減は規模帯ごとに最適施策の組合せが異なります。実在事業者の公開事例・業界団体ヒアリングから整理した3つのパターンをBefore/Afterで提示します。
事例1:ブティック型ファームの年間9%削減(Before/After)
Before(見直し前):都内ブティック型戦略ファームA社(低圧 60kW、年間 15万kWh、年間電気代 450万円)。市場連動プラン継続、LED未更新、空調個別制御なし、グリーン電力未対応。
After(実施施策):新電力切替(固定3年)/全照明LED化(投資 50万円)/空調個別制御化/グリーン電力証書 20% 部分調達/クライアント請求書にグリーン認証反映。
Result(削減効果):年間電気代 450万円 → 410万円(▲9%、▲40万円)/契約 kW 60→55/投資回収 1.5年(SII補助 1/2 活用)
事例2:中堅IT/会計ファームの年間13%削減
Before(見直し前):東京本社+大阪支店のIT/会計コンサル B社(高圧 400kW、年間 130万kWh、年間電気代 3,900万円)。各拠点個別契約、市場連動プラン継続、空調最適化未実施。
After(実施施策):本社+支店をグループ一括契約化/固定5年プラン切替/本社・支店ともLED化100%/空調BEMS導入/会議室自動制御/グリーン電力30%調達。
Result(削減効果):年間電気代 3,900万円 → 3,393万円(▲13%、▲507万円)/契約 kW 合計 400→350/投資回収 2.5年(補助金後 1.5年)
事例3:大手戦略コンサル本社年間4,500万円削減
Before(見直し前):丸の内大手戦略コンサルC社本社+関西支店(特別高圧 3,000kW、年間 800万kWh、年間電気代 2.4億円)。長期固定契約継続もグループ統一管理なし、グリーン電力対応40%止まり。
After(実施施策):電力契約の8年長期固定締結/拠点集中購買体制構築/オフサイトPPA 1.5MW(再エネ100%対応)/本社屋上太陽光 500kW/BEMS全拠点導入/DR契約/クライアント請求書での透明化。
Result(削減効果):年間電気代 2.4億円 → 1.95億円(▲18.7%、▲4,500万円)/契約 kW 3,000→2,700/投資回収 6年(補助金後 4年)/CO₂削減 約2,800 t/年
関連業種の事例は オフィスビルの電気料金見直し、 小規模オフィスの電気料金見直し、 広告業の電気料金見直し。
中堅・大手コンサルファームの電気代削減で最大の効果が見込まれるのが多拠点グループ集中購買。各拠点をビル管理会社経由で個別契約しているケースから、グループ一括契約に切り替えるだけで電力単価▲5〜10%の改善が一般的です。
集中購買による直接効果
グループ契約化の進め方
多拠点企業の電気代対応は 多拠点企業の料金高騰リスクで確認できます。
コンサル業のデマンド管理は『会議室自動制御』『夜間・週末シャットダウン』『多拠点集中契約』『リモートワーク対応ダウンサイズ』の4論点を組合せて最適化します。
会議室・ミーティングルーム自動制御
会議室の空調・照明・大型モニターを在室センサー+スケジューラで自動制御することで、空室時の電力消費を100%削減。BEMS導入で月の電力使用量▲10〜20%削減事例。
夜間・週末の自動シャットダウン
オフィスPC、ドッキングステーション、空調・照明を業務時間外に自動シャットダウン。コンサル業は夜間・週末利用が比較的少ないため効果大。月の電力▲15〜25%削減。
多拠点の集中購買・グループ契約化
各拠点個別契約をグループ一括契約に切替えるだけで電力単価▲5〜10%削減事例。新電力との交渉力強化、契約条件統一による管理コスト削減効果も。
リモートワーク後のオフィス契約電力ダウンサイズ
コロナ後のリモートワーク併用で実出社率50〜70%が定着しているファームでは、契約電力(kW)が過剰なケース多数。実デマンド実績に合わせたダウンサイズで基本料金10〜20%削減。
デマンド管理の削減効果試算は デマンドコントロール削減効果で確認できます。
コンサル業はオフィス中心でベースロードは小さいですが、多拠点合算では月の使用量が大きく、市場価格高騰局面で年数百万〜数千万円のインパクトが発生します。グリーン電力100%対応とも整合する固定プラン採用が経営判断レベルの論点。
固定プランが向く理由
市場連動を選んだ場合のリスク
プラン選択論点は 市場連動プランが向かない法人、固定プラン適性は 固定プランが向く法人、比較は 市場連動と固定プランの違い。
コンサル業向けの省エネ施策は『会議室自動制御』『LED+空調BEMS』『グリーン電力調達』『多拠点集中購買』が4本柱。投資回収1〜3年で実行可能な施策が多数存在します。
会議室自動制御
オフィス全体LED+BEMS
グリーン電力100%調達
多拠点グループ集中購買
コンサル業向けに活用しやすい補助金は4本柱。設備投資のタイミングを補助金スケジュールと合わせると投資回収を1〜2年短縮できます。
省エネ補助金(経産省 SII / オフィス・事業場型)
対象:LED・空調・BEMS・会議室自動制御
補助率:中小1/2、大企業1/3、上限15億円
コンサル業の本社・支店設備更新で活用しやすい主力補助金。BEMS導入で大規模採択事例あり。
需要家主導型 PPA / 蓄電池併設補助金
対象:本社屋上太陽光・オフサイトPPA
補助率:1/2以内、kWh定額補助型もあり
大型本社ビルを保有するファームで活用可能。賃借ビルの場合はオフサイトPPAで対応。
グリーン電力・非化石証書購入補助
対象:外資系/グローバルクライアント対応の再エネ調達
補助率:制度別、自治体補助との併用
サステナビリティ重視ファーム向けの差別化施策に活用可能。
中小企業省エネルギー設備等支援補助金
対象:中小コンサル会社のオフィス設備更新
補助率:2/3、上限数千万円
従業員数300名以下のブティックファームで活用可能。LED・空調更新で採択率高い。
個別制度の詳細は SII省エネ補助金、 蓄電池・自家消費太陽光の補助金、 補助金スケジュールと採択率。
契約見直し前にこのチェックリストで自社状況を整理してください。1項目でも未確認があれば、新電力相見積の精度や交渉力が下がります。
見直し全体手順は 法人電力契約見直しチェックリスト、契約更新3か月前の準備は 契約更新3か月前にやることで確認できます。
コンサル業は多拠点運営と外資系クライアント対応で電力契約が複雑化しやすい業種です。シミュレーターで自社条件における上振れ幅を試算し、固定プラン切替・グリーン電力調達のメリットを定量化できます。
A.電力多消費業種(製造・冷凍倉庫・データセンター)は基本料金比率が高く、サービス業は使用量料金中心。業種特性に応じた最適化アプローチが異なります。
A.業種別ベンチマークデータは省エネルギーセンター・経産省統計で公表されています。自社の使用量を業種平均と比較することで改善余地が見えます。
A.①売上原価における電気代比率、②時間帯別消費パターン、③契約区分(高圧/低圧)、④地域分散度、の4軸で業種特性が変わります。
A.①製造業:デマンド管理・生産シフト、②飲食店:冷蔵冷凍効率化、③オフィス:空調・照明制御、④物流:冷凍倉庫運用、⑤データセンター:冷却最適化が定番です。
A.事業所別・業種別に契約・プランを最適化し、グループ全体で集中管理するハイブリッド型が効果的です。業種別の電力原単位管理を起点にします。
原発全停止により火力依存上昇。LNG輸入急増、電気料金構造が大きく変化。
再エネ普及の起点。再エネ賦課金が新たな料金構成要素に。
低圧需要家も電力会社を選択可能に。新電力急増。
全国初のエリア全停電。BCP・分散電源への注目高まる。
LNG在庫不足と寒波で年末年始に異常高騰。新電力撤退の発端。
LNG・石炭価格急騰。法人電気料金の歴史的高騰の引き金に。
全国初の警報発令。需給ひっ迫対応の重要性が認識される。
国の補助金で電気代を一時的に抑制。2024年度以降段階的縮小。
送配電事業者の総収入規制を本格運用。長期の料金安定化を狙う。
GX-ETS・化石燃料賦課金の段階導入が決定。中長期のカーボンコスト上昇要因。
容量拠出金が小売事業者・需要家のコスト増要因として顕在化。
排出量取引が義務化。電力会社の排出枠コストが料金に転嫁される段階へ。
※ 主要な電力市場・料金に影響を与えたイベントを年表化したものです。詳細は各種公的資料をご参照ください。
売上高比0.1〜0.5%、業務原価比0.5〜2%と業界全体で低い水準です。ブティック型で年150〜600万円、中堅ファームで年1,500〜6,000万円、大手戦略コンサル本社で年1〜5億円規模になります。
オフィス中心で連続稼働ではないため市場連動も検討可能ですが、外資系/グローバルクライアント対応で再エネ100%調達が要求される場合は固定プラン+オフサイトPPAが推奨されます。
各拠点個別契約をグループ一括契約に統合すると、電力単価▲5〜10%、年間100〜800万円規模の削減事例が多数あります。新電力との交渉力強化と契約条件統一の管理コスト削減効果も発生します。
現実的です。実デマンド実績が契約電力の70%以下になっているケースが多く、ダウンサイズで基本料金▲10〜20%、年100〜500万円規模の削減が可能です。直近12ヶ月のkWh実績を電力会社に開示してもらい再算定するのが第一歩。
可能で、近年は外資系・グローバルクライアントからの要求で増加傾向です。マンアワー単価に含めるか、諸経費として明示するかの2パターン。透明性確保が大型案件獲得のアドバンテージになります。
本社ビルの屋上面積が1,500m²以上で、オフィス稼働時間が長い大手ファームなら検討余地。300kW太陽光で年30〜35万kWh発電、年300〜350万円削減、投資回収7〜10年(補助金後5〜7年)。賃借ビルの場合はオフサイトPPAが現実的。
経産省SII省エネ補助金(BEMS・空調・LED更新)、需要家主導型PPA補助金(本社太陽光)、グリーン電力購入補助(クライアント対応)、中小企業補助の4本柱です。
現状の電力契約に対して単価+1〜3円/kWhのプレミアムが発生する事例が多く、年間100万kWh使用で年100〜300万円の追加負担。長期PPA契約で安価化可能(10年契約で+0.5〜1円/kWh)。
著者: 江田健二(一般社団法人エネルギー情報センター 代表理事)
公開日: 2026-05-21
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